迫る混沌の影8
眠れなかったのでもう1話……
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一日休みして少し回復した私達は巨大な火山へと向かった。
「ちょいとアンタ達、女だけで何処へ行こうって言うんだい?」
頭に猫の耳、お尻からは尻尾がはえている女の子が私達の前に立ち塞がった。
獣人かな?Cawaii!モフモフさせてほしい!
そんな邪な気持ちを抑え私は目的を伝える。
「私達はそこの火山へ向かうのですが。」
「はぁ?マウントフェジにかい?今はここから先は立ち入り禁止だよ。ん?見ない顔だねぇ?余所者かい?」
「えぇ。私はエルファーナ・レイムリファウンと申します。ミラルド大陸からやって来ました。」
私は素直に素性を話す事にした。
ここで嘘をついた場合、相手に警戒心を抱かせてしまい最悪は他国での行動も制限される可能性だってある。
「ミラルド大陸!?ミラルド大陸にはアルデルシア・ヴェルクハイブって化け物がいるんだろ!?ヨーコ姉ちゃんが言ってたんだ。ちっこいのに鬼をボッコボコにぶっ倒したって!」
「…………そ、それ私のフィアンセです……強さで言えばそんな事も出来る方ですね……」
バーンはこんなところでもバーンなんだね……
「やっぱり!姉ちゃんはウソつきなんかじゃ無かったんだ!そいつがシンテンジのディースをぶっ倒したって噂も本当だったんだ!一度会ってみたいなぁ~。」
「やめたほうがいいですよ!モフモフちゃん!」
ティナはバーンにどんな印象をもっているのだろうか……
「モフモフ?あぁ、まだ名乗ってなかったね。アタイはミナミ・ムラサキってんだ。見ての通り獣人だがくノ一をやっているんだ。まぁ捨て子だから純粋なヒノモトの者ではないけどね。」
どうやら複雑な子のようだ。
「横から失礼、なぜここを通してくれないのだ?」
ユフォが本題へと話しを戻してくれる。
「火竜王ブラドが暴走しているんだ。シンテンジの面々がくい止めているがね……こんな時にディースはどこに行ったんだかぁ……」
「私達もその火竜王にようがあるのです。」
「正気かい?半端な相手じゃないよ?」
「ふん。ファナ様は風竜王、水竜王を倒しているのだ。火竜王もファナ様にかかれば……」
「本当かい!?直ぐに案内するから!」
ミナミと名乗るくノ一は、ユフォの話しも半ばに表情をパッと明るくし、私の手をギュッと握ってきた。
こうして私達は火山へ向かう事を許された。
そしてその先には狂ったように高熱のマグマブレスを吐き続ける火竜の王がいた。
「水の精霊神ウィルドよ!熱を遮断する壁をつくり賜え!ウォーターウォール!」
ティナが水の壁をつくり周囲の熱を下げる。
「長くはもちません!早めに決着をつけましょう!」
大きく消耗する為、なるべく使いたくは無かったが、他に攻撃手段もなく、混沌の力を使用せざるを得なかった……
「混沌の力よ……水の刃となり、目の前の者を切り裂け!」
私は水の刃をイメージし火竜王に向けて混沌の力を放った。
すると前回同様に混沌の力は竜王の首をあっさりと刎ねた。
しかし今回は力を抑えたぶん周囲に影響はなく、前回と比較すると上手くコントロールが出来たようだ。
「はぁ……はぁ……う、上手く行きましたね。」
「す、すごい!流石は主!アレだけの力をもう制御出来るとは!」
制御出来たのではなく自己防衛本能も少なからずあったと思う。
しかし、あれだけ抑えて放ってもこの威力とは……
混沌の力とは恐ろしいものだ……
私は力に溺れぬよう、自分を戒めた。
今度こそ寝ます!




