ルイデンリッフィの憂鬱13
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「何にぃ!」
「ウヴァヌスは教えてくれねえのか?神は不死の存在、不死殺しでもなきゃぁ傷1つつけられねえんだ。」
マルトゥムの聖剣は魔神によって真っ二つに折れた。
「に、逃げるんだ!私がここを引き受ける!」
「いや、メシェル!ここは私がくい止める!」
不死殺しは私とメシェルに生まれつき備わっている神器の事だ。
つまり魔神と戦えるのは私とメシェルの2名しかいないのだ。
「いや、だから戦う気はねえって……とっとと帰れよ。」
「魔神の言う事など信じられるか!」
「んじゃあどうしたら良いんだ?ダンジョンを解放すれば良いか?」
「そ、そうだが……!」
「俺だってヴェヌの命令でここに来ているだけだからヒトに危害を加える気はねえ。しかもハズレを引いちままった……俺はこれからアイリーンへ帰るつもりだし、別にここにこだわるつもりもねえ。」
「なっ!……バカな……」
魔神はそう言うとあっさりダンジョンコアを破壊し姿を消した。
今まで圧倒的な力で敵をねじ伏せて来た我々にとってそれは良い薬になったのかも知れない。
上には上がいる事を痛感した旅であった……
そして教皇猊下にありのままを報告しにジョヌラーダへ向かった時の事であった。
街中が騒がしく、慌てふためいていた。
「どうしたのですか?」
私は街の者に状況の確認をした。
「おお、ダルアード様!お戻りになられたのですね!ロヴェヌ様が謀反を起こして牢に幽閉されたようなんです!」
「何ですって!」
私は動揺を隠しつつ急ぎ足で聖殿へ向かった。
我々聖天上神教会の騎士は全員が父ロヴェヌの訓練を受けている。
故に誰も父の謀反など考えられなかった……
「おお!ダルアード!戻ったか。」
「あれ?父上……」
聖殿の奥に拘束もされず正座をしていた父を見てマヌケな声を上げてしまった。
「ロヴェヌは今、自我を保つのがやっとの状態なのじゃ。」
「一体なにが……」
「竜の騎士の代償じゃ。竜の騎士はあるきっかけで竜と進化するのじゃ。」
「そのきっかけとは……」
「それは分からん。ただロヴェヌはあそこでじっとしておる。世間には自分が謀反を起こし幽閉されたと言い回すように手配したようじゃが……」
そういう事か……
私は父のもとへと駆け寄った。
「父上……」
「戻ったかルイデンリッフィ。俺はもうすぐ竜になる。それも竜帝だ。強そうだろ?」
「はは、さすがは大陸最強の騎士ですね。スケールが違い過ぎますよ……」
「泣くなルイデンリッフィ、これは定めだ。竜の騎士は竜神王につかわされたオーブを守る宿命がある。竜と化した俺を倒し、オーブを手にする者がマキュリファウンスの救世主となるだろ。それがお前であって欲しいが……そうでなかった場合は…その者と共に混沌の邪竜を倒してくれ……俺はもうす……ぐ……。短いあいだ……であったが……有難う……息子よ……」
父の体はみるみると大きくなり、巨大な竜へと変化を遂げていった……
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