ルイデンリッフィの憂鬱11
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教皇猊下が選抜したメンバーの強さは強烈だった。
我々魔神討伐隊は瞬く間にジョヌラーダ近辺の魔物を殲滅することに成功した。
「フフフ、皆さんも中々お強いですね。」
「楽勝じゃん!」
「このままダンジョンも一気に制圧しましょうね。」
皆は楽観的であったが、私は嫌な予感がしていた。
そして数々の魔物を退けながら1ヶ月をかけハインラッドへ到着した。
「保存食を出せないですって!?」
ルナリーナスは絶叫した。
「ああ、東のダンジョンから魔物が押し寄せて来ているんだ。俺達にとっても死活問題なんだよ。」
道具屋の店主にも理由があるようだ。
「これだから邪教徒は困りますねぇ……ウヴァヌス様に見放された民は生きる資格もないと言うのに。」
マルトゥムは敬虔なウヴァヌス信者である事から店主に心ない一言を放つ。
「ヴァルディヴァラム様はそんな事は言わねえ!とっとと失せやがれ!」
当然の事ながら店主は怒り、我々は店を追い出される。
「仕方ないですね……ダンジョンへ向かいましょう。食糧は魔物を私とダルアード様で浄化すれば大丈夫でしょうし、飲み水も私が確保出来ますので。」
確かにパミーリュの言う通りだ。
我々はろくな補給をする事無くダンジョンへ向かう事にした。
そんな最中、街を出ようとすると私はとある人物と再会してしまう……
「あれ?便器じゃん!」
「マフィルさん……」
奴隷時代に屋敷で働いていたメイドだった。
「そんな格好して聖天上神の騎士みたいじゃ……」
「失礼いたしますダルアード様……」
マルトゥムはマフィルさんを真っ二つにした。
「マルトゥム!何て事を……」
「当然です、ウヴァヌス様の子であるダルアード様を便器と呼ぶ時点で生きる価値なし。」
マルトゥムは私に反論を許さず続けた。
「そうそう、ダルアード様が奴隷時代に関わっていた者達や貴方をさらった者達は私が消しておきました。先程の様に残党がいれば遠慮なく言って下さい。それがウヴァヌス様の使徒のつとめに御座います。」
「まさか父さん……」
「ダルアード様にとって父はウヴァヌス様です。冒険者達は生かしてありますがダルアード様を強請るような事があれば容赦はしないつもりです。」
「マルトゥム!貴様!」
私は感情が抑えきれなくなった。
「おやめなさい。今はダンジョンを攻略する事が先決ですので感情的になる相手は魔神にして下さい。」
パミーリュが最もらしい事がを言うが私には全く響かなかった……
おかしい……ウヴァヌス信者は皆これが普通なのであろうか?
そんな自問自答をしていると……
「ウヴァヌス様も全てが平等であると仰られている。ヒトを問答無用で斬り伏せるなどあり得ない!マルトゥム、お前の行いは……」
ここまで沈黙していたメシェルが激怒したが私はそれ以上の言葉を言わせなかった。
「メシェル、もう良いんです。パミーリュ様の言う通りダンジョンへ向かいましょう。敵は魔神です。」
「しかし……」
「良いんですよ。」
こうして我々は気持ちがバラバラのままダンジョンへ向かう事になった……
いつもありがとうございます。




