ルイデンリッフィの憂鬱6
もう一話。
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「てい!」
私は目の前の魔物に息の根を止めた。
「流石だなルーダ。」
私が戦いの炎に加入してから3年の月日が流れており、一行の中心となっていた。
「いえ、私はまだまだ未熟者ですよガバンさん。」
「そんな事いっちゃてぇん!ルーダは謙虚ね!」
「ぐわっ!ぐるじぃ!ゴドラさん……」
ドワーフのオネエが強めに抱き締めてくる。
「今日でルーダも成人ですね。これで本当に戦いの炎の正式メンバーに登録できるんですよね。」
「はは、イナナーヌは反対してたクセに。」
「もぅ、過去の話しじゃないですか!エマルアの意地悪!」
「「「「「アッハッハッハハ」」」」」
本当に教会へ行かずに冒険者として活動して良かった……
心の底から思う。
戦いの炎のメンバーとの生活は母さんが生きていた時以来の安堵感があった。
そして、さらに半年が過ぎた頃であった。
私達が魔境グヌースの森で魔物の討伐をしていた時……
「ここは……」
「どうしたんだいルーダ?」
「あ、いや……」
「端切れが悪いじゃないですか。」
「……ここは……私が育った森です……」
「なっ!」
ガバンさんは言葉をつまらせていた。
「申し訳御座いません。先へ急ぎましょう。」
「はぁ、坊やはすぐ強がるんだから。」
エマルアさんは出会った頃のようにソッと抱き締めてくれた。
「ずるい!ずるい!それ私もしたい!」
「ゴドラは背骨を折りそうだからダメ!」
「んもうぅ。」
ドワーフのオネエは頬をプクッと膨らませていた。
「だいぶ汚い絵面ですね。」
イナナーヌさんから厳しめのツッコミが入る。
私は気を取り直し、森の奥へと進んだ。
すると森の奥で巨大な虎の魔物が老いた狩人を追い込んでいた。
その光景を目の当たりにした私は思わず呟いた。
「……と、父さん……」
全員が私の方をみた。
「い、行くぞ!」
遅れてガバンさんが指示を出す。
戦の炎のメンバーはそれぞれの持ち場へつき戦闘態勢へ入る。
「イナナーヌさんは風で、ガバンさんは剣で牽制して下さい!」
「「分かりました!・おう!」」
「ゴドラさん、エマルアさん!まずは虎のスタミナを削りましょう!」
「「分かったわ!・了解!」」
虎の魔物は思いのほか速い上に力強く、父を庇いながら戦うには厳しい相手であった……
「おい!連携が乱れてるぞ!」
そう言えば最近は連携の訓練を怠っていた……
それどころか通常の訓練すらも……
英雄視され少なからず慢心があったかもしれない…
しばらく膠着状態が続き、ゴドラさんが渾身の体当たりを魔物にぶつけた。
「どっせい!いまよ!」
ゴドラさんがつくった隙に、私とエマルアさんで斬り掛かる。決まったと思った次の瞬間、虎の爪がエマルアさんの腹をえぐっていた……
「エマルアさぁああああん!」
私は直さま虎の首を刎ね、急ぎエマルアさんのもとへ向かった。
「エマルアさん!エマルアさん!」
私は慌ててエマルアさんに、天上神魔法のパーフェクトヒールをかけ傷を癒した……
いつもありがとうございます。




