ルイデンリッフィの憂鬱3
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「お買い上げ有難う御座います。」
私を買ったのは公爵様であった。
値段は300万ガルム。
それは平民の子供としては破格ではあり、理由は私が綺麗な顔をしており、奥様が気に入って下さったのが大きな要因だ。
私は主に下の世話をさせられた。
屋敷の主人からメイド達まで幅広くだ……
「おい便所!しっかり働け!」
私のここでの名は便所であった。
通常奴隷の奉仕は主人達だけなのだが使用人の士気向上為に使用人の奉仕までさせられていた。
もちろんそこに人権などない。
「ほら、もっと!」
「下手くそ!ホラホラ!」
毎日が地獄だった……
子供の頃がましに思える程に……
2年程そんな悪夢のような日々が続いたであろうか?
そんなある日に転機が訪れる……
旅行先で主達一行を乗せた馬車が盗賊に襲われ全員命を落としたとの連絡が入った。
私は思わぬところで奴隷から開放され無一文で街へ放り出される事となった。
私はあてもなく広場でポツンと独りでいた。
何もする事がなくボーっとしていると東の森の方から急に悲鳴が上がった。
「東の森から魔物が襲ってきたらしいぞ!逃げろ!」
私は逃げ場も無かったので独り佇んでいた。
すると熊の魔物や狼の魔物がゾロゾロとこちらへやって来た。
私の武器は屋敷から拝借したダガーがひとふり……
しかし戦うしかなかった。
「グルガウゥ!」
襲って来る狼をすれ違いざまにダガーを突き刺した。
「チッ、武器が……」
狼にダガーを突き刺すが、大した傷も負わさられずダガーを持って行かれていまった。
唯一の武器を失った私は次なる攻撃を考えていると、転生前に聞いた声が心の中に響いてきた。
『ダルアードよ、聖剣を使え。』
『ウヴァヌス様?でもどうやって……』
『左手に魔力を込めてイメージするのじゃ。そしてこう言え「いでよ天覇の剣よ」と。』
私はウヴァヌス様の神託に対し素直に従い行動に移した。
「いでよ!天覇の剣!」
もの凄い魔力を帯びた剣が左手に出現したので、私はそれを握り込み魔物を殲滅した。
「うぉおお!すげぇぞ!」
「剣が早過ぎて残像が光って見えてたぜ!」
魔物を殲滅後、安心したのか周りで見ていた街の者達が騒ぎ始めた。
それを見た私も安堵して緊張の糸がぷつりと切れてしまいバタリと倒れた。
目を覚ますとそこは宿屋であった。
「ここは……」
「おう!目が覚めたか兄ちゃん!大丈夫か!?」
「ええ……ここは?」
意識が回復すると見知らぬ者が立っていたので私は再びここが何所かを尋ねた。
「ここは俺達の拠点、朝露の光亭だ。」
「そうですか…貴方達が助けて下さったのですね。有難う御座います。」
「いやいや、俺はここに運んできただけだ。魔物は兄ちゃんが全部倒しただろ?」
「ええ……まぁ……」
確かに魔物を倒したのは私だが、ベッドへ運んでくれたのはこの方で間違いないようだ。
「見たところ所持品も金も無さそうだし冒険者でもやって稼がねえか?」
「私にも出来ますかね?」
「ガッハッハッハ、あれだけ戦えれば十分だぜ!」
「それに宿屋賃も無いですし……」
「何言ってんだ!オメェは街を救った英雄なんだ。宿賃なんか俺が払ってやるよ!じゃあ了解したって事で良いな?」
「はい、お願いいたします。」
私には選択肢が無かった。
とにかく生活する資金が必要であった為、この誘いにのった。
体調をみながら更新してまいります。




