ルイデンリッフィの憂鬱2
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私が意識を取り戻すと仮設の神殿に寝かされていた。
体が自由に動かない事を考えると本当に赤ん坊として転生したようだ。
しばらくすると私は何者に乱暴に抱きかかえられ小さな小屋へと運ばれた。
「おい!マリル、子供だ!子供が捨てられていたぞ!こりゃガキの出来なかった俺達へのプレゼントだろうぜ!」
「ゴホッ、ゴホッ。ガインお帰りなさい。さらって来た訳じゃないのね?」
「おうよ!アレは完全に捨てられていたぜ。」
私の父と母であろうか?中年の男女が会話をしているが何を話しているかは分からない。まだこの世界の言語を理解するには時間が掛かりそうだ。ちなみに母はゴホゴホ言っており、体調がよろしくない様子だ。
「あれ?籠の下に書いてあるのは?それ名前じゃないのかしら?なんて書いてあるの?」
「ああ?ルイ……デ……??小難しなぁ。ルーダにしようぜ、コイツの名はルーダだ。」
「そう、ルーダ。今日から私が貴方のママよ。」
母親らしき人物は、私を優しく抱き締め、幸せそうな表情をしていた。
それから8年後、優しかった母は元々病弱であった事もあり流行病でこの世を去った。
今思えば不幸の連鎖はここから始まったのかもしれない……
「おいマリル!おい!」
「母さん!母さん!」
「ガインさん……残念ながらマリルさんはもう……」
「……くそぉおおお!」
父はこの近辺で一番の狩人で腕前で並ぶ者はいなかった。
しかし母の死を境に酒に明け暮れ働かなくなってしまった。
その代わりに狩りで稼ぐのは私の仕事となっていた。
「父さん!立派な熊が捕れました!」
「ああ!?俺への当てつけか?」
「いえ……そう言う訳では……うぐっ!」
私は虐待を受けていた。
狩りで稼いでも父に折檻を受け稼がなくても折檻を受け毎日が苦痛であった。
しかしここまで育ててくれた恩もあり私はそれに耐えた。
そしてそんな日々が2年程続いたある日……
「おい、ルーダ。街へ行くぞ!」
ある程度の貯蓄も出来て生活が安定してきた時期に父から街へ行こうと誘ってきてくれた。
私はそれがとても嬉しかった事を覚えている……
街でぶらぶらした後に高級な料理店へ連れていってもらい食事をした。
「父さん、ここまで育ててくれて有難う御座います。」
「へっ、何言ってやがる……ちょっくら便所に行ってくるわ。」
その後、父はここへ戻って来る事は無かった……
「どうしましょうかね……」
「可愛い顔してるから奴隷商に売りましょうか。」
「そうだな。」
こうして私は無銭飲食により奴隷として売られる事となった……
いつもありがとうございます。




