一方エルニィアは……2
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今ヴェルコニアの騎士団が異常な速度でレベルアップしている。
何者かが作成した竜牙兵と呼ばれる実戦を積める魔導具を使用しているからだ。
制作者や納品者が誰かは分からなかったが詮索する事を禁じた。
あぁ、アイツの謹慎を解くのが恐い……
実は今レイムリファウン王国の謁見の間に来ていた。
人払いがされており俺とレイムリファウン13世しかいない状況で、議題は互いの子のお披露目パーティーの件だ。
呑気な話題に態々人払いをする必要があるかと思うかもしれないが、この2人は我々連合国の未来を背負うかも知れない才能の持ち主の為、他言無用を条件に密会となったのだ。
久しぶりに会ったレイムリファウン国王は少しやつれており、精神的に病んでいるように見えた。
「おや?痩せましたかな?」
「そう見えますかエルニィア殿……近頃悩みが絶えなくてのぅ。」
噂では今回の件が絡んでいるらしい。
「今度のお披露目パーティーの件だが、うちの娘がレイムリファウンで行いたいと聞かなくてのう。ヴィクトール王子とエルティアナの婚約パーティーと一緒に行う事でよろしいか?」
「まぁ異論はありませんが、エルティアナ姫のご希望ですかな?」
あの戦姫がそのような我がままを言うとは考え難かった。
「いや、うちの三女じゃ……」
「戦慄の聖女マリアンヌですか……」
戦慄の聖女マリアンヌ。
たった1人で強国ロヴァンヌ公国を滅ぼしたとか言う…聖天上神教会の信者で無くとも知られている聖女様だ。
どうやらレイムリファウン王の悩みの種は彼女らしい。
「ゴッドネーム持ちで天上神と精霊神に寵愛を受けておる上に、力が強く誰も逆らえぬ。」
「ふむ、うちの三男坊と合わせみるのが楽しみですな。」
まぁ、うちのガキは家族思いでもう少しだけ扱い易いがな。
そちらの聖女様に比べればの条件付きだが……
「なんと!ヴェルクハイブ家の第三王子はそれ程の器を持って産まれたのですかな?」
「ええ、うちの三男坊もゴッドネーム持ちです。」
「誠か!?ならば我らの悲願も……」
「それは今後の二人次第だと思われます。」
運命の歯車がゆっくりと回り始めた……
いつもありがとうございます。




