わい、謹慎なう。
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俺は3歳になったものの、現在も謹慎中である。
謹慎解除までの期間は再来年の年明けまでだ。
何でこの年かっていうのは理解できる。
王族は5歳になるまで世間にお披露目されない。
この国は貧困問題が慢性化していた為、王族でも乳児で亡くなる事も珍しく無い。
産まれたばかりにお披露目し、王子・姫が亡くなったとた知れれば、国民の士気は落ち、他国に攻め入る隙を与えてしまうからだ。
「せっかく良い感じで強くなってきたのになぁ」
『では幻術トレーニングをしましょう。』
「おぉ!さすがリーザ!嫌な予感がしつつも楽しそうじゃんか!」
俺はリーザの提案を受け入れ、訓練場へと向かった。
「お、ウェルバじゃん。」
どうやら先客がいたようだ。
騎士団長のウェルバが汗を流していた。
「アルデルシア様、おはよう御座います。」
ウェルバはその場に跪く。
「いいよ、いいよ。何してんだ?」
「はっ!ウルバースに配属となり、辺境伯を賜りましたのでその名に恥じぬように訓練を積んでおりました。」
そうか魔物が激減したから国境に信頼できる兵を送りこんだのか……流石は親父だな。
「一人じゃ訓練も厳しいだろ。俺が付き合ってやろうか?全力でかかってこい。」
「よ、よろしいのですか?」
あ、俺まだ3つのガキだった。
「いや、俺がやっているトレーニングでな。幻術で相手を作り出すんだよ。」
うまくかわした!はず。。。
「そういう事ですか。是非お願いいたします。」
んー。手頃の相手……親父だな……顔は黒く塗りつぶしとけ!
「ほれ、シャドウ君だ。遠慮なく戦いたまえ。」
「この影の騎士と斬り合うのですね?」
他人の戦いを観察するのも訓練だなと思っていたが、勝負は一瞬でついてしまう。
斬りかかったウェルバの右腕をシャドウ君が一閃。
ウェルバの腕がボトッっと落ちた。
「ありゃりゃ。完全回復!」
俺は慌ててウェルバの腕を蘇生する。
「あ、有難う御座います!油断していた訳じゃ無いのですがシャドウ君は剣神級の強さですね。まるで陛下と戦っているようです。」
幻術だから攻撃が当たらないと思っていたのに……このトレーニング危ねぇじゃねぇか!またリーザか!
「すまんすまん。木剣を持たせればよかった。」
「アルデルシア様!しばらくシャドウ君をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「んー。もうちょっと難易度を下げて……あ、良いこと思いついた。」
俺は竜の牙を取り出し、そこから剣士を作り出す。
力の調整を各段階に分けた竜牙兵を10体だ。
「こ、これは……」
「一番弱いのから順に倒して行けば、最後にシャドウ君に挑めるくらいの実力になるハズだから頑張ってみろ。」
「有難う御座います!」
ウェルバはしばらく跪いてから訓練を始めた。
もう、大袈裟だなぁ。
俺は暇だったので適当にシャドウ君と遊んでいた。
それを見たウェルバは顎が外れる程に口を開けていた。
いつもありがとうございます。




