一方エルニィアは……1
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ヴェルコニア王国は不遇の国であった。
魔物が大量発生している魔境に建国した為、大地は痩せ細り作物も育ちにくく異常気象が耐えなかった。
そもそもが建国前より神々から見放された大地として認知された地域であった。
初代王はフィルハザード王国からの謀略により、ここに建国するしかなかったと伝わっている。
そこには凄絶な物語があり国民は先祖達の思いを継ぎ、この不毛の地にて生活を続けている。
さらにフィルハザード王国からの嫌がらせは現在も続いており侵略戦争は300年間続いている。
「リブラルド。現状を報告しろ。」
「はい陛下。現在ヴェルコニア領地から魔物が激減し、開墾できる領域が拡大いたしました。少なく見積もっても、我が城下町の1,000倍以上の土地が開墾可能です。また、輸出による利益も膨大であり、魔導具及び美容品の取引は北のヴァリエス帝国、東のネルビク王国も希望されている状況となります。」
宰相のリブラルドは俺に報告し終えると、深く息を吐き、少し疲れた様子であった。
東のネルビクと北のヴァリエス帝国……
この大陸の覇王にもっとも近い2国との取り引きか……
「よし。その2国に使者とサンプルでも送ってやれ。」
「それと魔物が激減した事によって他国から侵略も激しさが増すと考えられます。特にフィルハザードとの国境である、ウルバースの強化は急務と考えます。さらには城の増築、ヒトの雇用、他国からの民の受け入れなど課題は山積みです。」
「嬉しい悲鳴じゃないか。民は受け入れられるだけ入れろ。そして今の騎士団の連中に土地を与えて統治させろ。その後に騎士団の募集を募れば、優秀な人材の発掘につながるだろう。ウルバースにはウェルバを配属し次の騎士団長は改めて任命する。城は最後で良い、民を優先させろ。」
「畏まりました。準備を整えましょう。」
内政が多忙で寝る暇もない。
息子には感謝しないとな。
「してリブラルドよ、バーンの評判は?」
「オレンジがかった金色の髪に空の様な蒼い瞳、太陽のような暖かい接し方から家臣より太陽の王子との呼ばれております。ヴィクトール様、エミリオ様、アルデルシア様のお三方が跡継ぎであれば、この国も安泰に御座います。」
「バーンが成人してこの国へ戻ったら……」
この会話は深夜まで続く事になる……
しかしこれは、ヴェルコニアが着実に強国への道を辿っている証でもあった……
いつもありがとうございます。




