オルガードの伝説5
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「チッ、魔物が多いな!」
「油断するな、山頂はまだ先だぞ!」
僕達がウィンドゥルガン山脈へ来て5日目が過ぎていた。
「お前さんたち強いなぁ。俺以上に強い奴なんて存在しねぇと思ってたぜ。」
「私も勇者でもないヒトがここまで強くなれるとは驚いたぞ。」
仲良いなぁこの二人。
昨日の敵は今日の友か……世の中って本当に不思議だなぁ。
「ドドラウツェ、どっちから魔力を感じる?」
「ん~。あと1日程歩いた先かしら?」
「先は長い。休める時に休め。」
そしてドドラウツェの言う通り歩く事1日、ついに目的地付近へ到着した。
このように世界樹の巫女には精霊の力を使役して広範囲で何処に何があるかを捜索する事が出来るのだ。
はっきり言って高レベルの捜索者も商売上がったりである……
「この先に魔力を感じますが……盟約があるようですね。」
「盟約?」
ドドラウツェは何をか感じ取った様子だ。
「はい、竜神王と大賢者ウィンドゥルガンとの盟約ですね。これ以上先に進むと竜の盟約により私達は竜王の率いる軍勢と戦う事となります。それは神々をも滅ぼせる戦力、ここの秘宝は諦めましょう。」
「だから言ったろ?ドラゴンが目撃されてるってよぉ。」
ヴァンデミュオンは無駄足になった事が不満気だ。
僕達はそそくさと山をおり、次なる目的地を探した。
「あとはアクアザード湿地か……」
「出来れば避けたい場所だな。」
アクアザード湿地は水の魔境で危険な魔物が多い。
さらにアクアザード湿地へたどり着くには数々の魔境を越えなければならない。
グラール山脈、大密林バルナザード、グルダーンの絶壁、グヌード湿地だ。
勿論この先にヒトが住める場所など無い。
補給は基本現地調達となり厳しい旅となるであろう。
だからこそウィンドゥルガン山脈を最初に選んだのだ……
「ヴァンデミュオン有難う。君にこれ以上先について来る義務はない。アクアザード湿地へ行くのは危険だ。」
「おいおい、ここまで来てそれは冷てぇぜ!俺も最後まで行くぜ。俺もこんな世の中にしちまった魔王をぶっ殺してやりてぇからな。ガッハッハ。」
ヴァンデミュオンは僕達について来るようだ。
理由は分からないけど心強いから良いか……
「んじゃ、改めてよろ……ん?ありゃウィンドドラゴンだ!逃げるぞ!」
どうやら僕達が秘宝に近づいたところを竜に見つかってしまったようだ。
しかも風竜は速度に特化している竜であり、逃げるのが大変厳しいのだ。
いわゆる最悪の事態だった。
「大地の精霊よ……空を舞いし竜を拘束し賜え!アースバインド!」
ドドラウツェの精霊術により造られた岩の腕が竜の足を捕まえる。
「よし!ドドラウツェ!離すんじゃねえぞ!」
ヴァンデミュオンは剣に魔力を集中し始める。
「喰らいやがれ!【絶対切断】!でやぁああ!」
ヴァンデミュオンが気合を込めて放った強烈なスキルの一撃は竜の体の1/3を切断する。
「今だ!逃げるぞ!」
ヴァンデミュオンの掛け声と共に僕達は転げ落ちるように下山した。
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