エミリオ奮闘記5
まとまりきらず……
5/11修正
僕は全身の毛穴が開いた様に汗が噴き出してきた。
「エミリオ殿、そのような冗談は笑えんぞ……」
レイムリファウン王は唸るような声で僕を威圧する。
「真剣です!僕は明日、貴方の夫をこの手にかける!貴方は僕を憎むかも知れない!でも僕はその憎しみですら愛して見せる!僕は貴方を幸せにして見せる!今から二人で楽しい事も沢山しよう!色々なところに連れて行く!貴方を閉じ込めるような事はしない!エルクレア様を絶対に不幸にしない!髪の毛一本まで愛してみせます!」
自分でもちょっと何言ってるか分からない……
ただ自分の胸にある熱い思いをぶつけた……
「エカチェリア、どう思う……」
レイムリファウン王はエルクレアに判断を促す。
「わたくしには夫がおります。そしてわたくしは死にゆく定めに御座います……誰かに愛される資格は御座いません……」
頭が真っ白になっちゃいました……
僕はその後どうやってアーデルハイムに戻ったか全く記憶が無かった……
その日以降は無気力な日々が続き、とうとう皇族処刑の時がやってきた……
僕は呆然とその場に立ち尽くし、まるで興味のない演劇を見ている様な感覚に陥っていた。
「元皇帝アパームアル・ヴァリエス、その后であるエルクレア・ヴァリエスを斬首刑とする。言い残す事は。」
「私は20年前にエルクレアに一目惚れし娶りはしたが一度も夫らしい事をしてやれなかった……ただ一人部屋に閉じ込め勝手に養子をとった…お前を蔑ろにしてな……お前の美しさを外に出す事が怖かった……愛しているのになにも出来なかった……」
僕はアパームアル皇帝の言葉に引き込まれいた……
「ヴェルクハイブ卿、エルクレアは帝国の血を残してはおらず皇務などにも一切関わっておらぬ……どうだろう、情けをかけてくれぬか?エルクレアの事を託させてくれぬか?」
「民衆に聞いてみなよ。説得出来れば僕は構わない……」
僕は皇帝の拘束を解き演説の機会を与えた。
「聞け民達よ!私はヴェルコニアに敗れ、国を統べる者の責務として勇敢な戦士達の後を追う!こんな愚帝であったが民達に最期の思いを告げたい!私は皇后エルクレアに不憫な思いを帝国に嫁いだ時からさせてきた……民衆に許されるのであればエルクレアをレイムリファウンへ帰したい!私の私欲の為に引き裂いた親の元へ帰したい!これは皇帝からの願いではなくアパームアルからの願いだ!頼む!」
アパームアルは民衆に土下座をした。
すると一瞬まを置き拍手が鳴り響く
その音は次第に大きくなり歓声えと変わった。
「有難う!民衆よ!これで私は思い残す事は無い!」
皇帝はこちらを見て呟いた。
「やってくれ……」
僕は剣を振りかぶった……が……
「で、出来ない……同じ女性を愛した者として……」
「甘い!甘いぞヴェルクハイブ卿!」
皇帝は僕の剣を奪いとった。
「しまっ……」
僕は斬られる覚悟をした。
しかし皇帝はそんな小さい男ではなかった。
「しかと焼き付けよ!民達よ!これがヴァリエス帝国の最期だ!ヴァリエス帝国よ永遠にあれ!」
アパームアルは自分の腹を刺し自害した……
ヴァリエス帝国1500年の血が途絶えた瞬間であった……
民衆の暴動は起きず、旧皇帝の壮絶な死に民達は静かに黙祷を捧げていた。
次回エミリオ奮闘記、完結予定!
(予定は未定……




