ヴィクトールの悲願3
回想が続きます。
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私は失意の中で成人を迎えそして帰国した……
帰国後レイムリファウン王国で婚約パーティーを行う事となっているが、あんな事があった後では気が重い……
そんな憂鬱な気持ちで帰国すると弟が産まれていた。
陛下はそれは美しい平民の王妃をとったらしいが弟を産んだ後に息を引き取ったようだ。
正直に言えば母上の事を思うと面白くは無いが、陛下も若くして母上達を亡くしているので致し方ないと消化をする。
縁起でもないがヴェルクハイブ家は妻を不幸にする呪いにでも掛かっているのではと疑ってしまう。
そして10年振りに到着したヴェルコニアは激変していた。
まず気がついた事は瘴気と魔物の臭いが消えている事。
そして民の表情が明るくなっている事だ。
毎日魔物と戦い続け、魔境をかけずり回っていた殺伐とした雰囲気が無くなっていた。
10年で何があったのかは陛下に確認するとしよう。
「ヴィクトール・ウィルコティッシュ・ヴェルクハイブ只今戻りました。」
「うむ、楽にしろ。帝国からよくぞ戻った。お前の過ごした10年はこの国を治める事において大事な宝となるであろう。」
「有難きお言葉。」
「まぁ、かたい事はここまでにして今日はパーッとやるぞ!」
陛下の一言により皆の歓喜がり宴が始まった。
宴が行える程にヴェルコニアは豊になったのか……
何が起こったのか更に気になった。
「おう、これがお前の弟だ。」
「アルデルシア・バーニアム・ヴェルクハイブです。兄上、よろしくお願いします。」
「ああ。よろしくたのむ。」
母親似であろうか?綺麗な顔をしている。
それが最初の印象だった。
その後、陛下が人払いをし王族のみとなり談笑が始まる。
「陛下。この国はしばらく見ない間に豊かになりましたね。」
「そう感じるか?」
「ええ。目標や生きがいが見つかったような目をしております。」
率直な感想を述べる。
「魔境から魔物が去り領地を与える事が出来るようになったからな。不遇だった騎士達もやっと報われる。」
たった10年であの夥しい数の魔境を平定されたのか……さすがはエルニィア陛下だ。
陛下の代で再びフィルハザードへ攻め込む事も夢では無いようだな。
「西の統一が現実味を帯びて参りましたね。まあ国政が落ち着くまでもう10年は掛かりそうですが……」
帝国に比べるとヴェルコニアはまだまだ山賊に近い。
早急に内政を整える事が課題となるだろう。
「うむ。フィルハザードとの因縁に決着をつける事は我が国の悲願だからな。戦力は整いつつある。騎士団の士気向上、優秀な人財の確保、ロビンも3年後には帰国する上に今のバーンは俺よりも遙かに強い。」
「陛下よりですと!?信じがたいですね。」
陛下より強い者がいるとは考えられなかった。
陛下に並ぶ者がいるとすれば悔しいがマリュウスぐらいしか思いつかない。
しかも5歳になったばかりの赤子に近い子供だ。
「バーンお前はこれからのヴェルコニアをどう考える?」
私は王族としての心構えを聞きたかった。
「戦争については参戦しろと言われればするけど俺は平穏に暮らしたいな。」
王家に産まれ陛下を越える力を持ちながら無責任な発言をした弟に頭に血が上った。
「貴様!それでも王族か!」
私は弟を怒鳴りつけた。
「俺は王位継承に興味もないしウィルが継いだら出て行くし将来は田舎で自給自足の生活をするんだ。」
更に無責任な発言と兄である私を呼び捨てにした。
「貴様!何だその口の利き方は!」
私は再び頭に血が上った。
「家族だから良いだろ。」
更に生意気な態度に白熱していった。
「やめろ。おまえら。」
そんな私達のやりとりを見かね陛下が仲裁に入って下さった。
「俺も国はウィルに継がせるつもりだ、バーンには王の資質が無い。」
王族の教育をしていないのか……だから自由奔放なのか……
「だがバーン。我が国の悲願なのだよ、大陸西の覇者になる事がな。それにはお前の力が必要不可欠だ。ウィル、バーンは剣も魔法も規格外の怪物だ。しかしコイツは常識が全くない。お前が導いてやってくれ。兄貴としてだ。そして平定に力を貸してくれ。ロビンも含めて俺達なら絶対出来る。」
陛下は熱の籠もった気持ちを我々に伝えて下さった。
私は小さな事にこだわってしまった事を恥じバーンを家族と認め距離を縮める事にした。
「よろしくな。ウィル。」
「フッ。まずは言葉使いからだな。」
この時、私は全く分かっていなかった。
この小さな弟がヴェルコニアの運命を大きく変えてしまう事に……
いつもの事ですが。ヴィクトール編も長引きそうです。
いつもご愛読頂き、ありがとうございます。




