ブリュアーヌの日記2
ブリュアーヌ編は1で終わる予定でしたが案外ボリュームが大きくなってしまいました。しばしお付き合い下さい。
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私は図鑑でしか見たことの無い花を見れてとても嬉しかった事を覚えている。
私は花と戯れていると急に視線を感じた。
視線の先には眉間から鼻まで切り傷がある男性がいた。
少し何かに疲れているように見えた事が第一印象だった。
「お花、お好きなんですか?」
男性がジッと見ていたので思わず聞いてしまった。
「あ、ああ。これはメドの花ですね。花言葉は希望の光ですよね。」
「お詳しいのですね。」
顔大きな傷のある厳つい見た目に反し花に詳しい事に驚いた。
「これは知っていますか?」
男性は花を箱で覆い、魔術を使っていた。
「月光!さぁ、箱の中を覗いて下さい。」
「うわぁ~。綺麗……」
図鑑にも載っていない事だったのでとても驚いた。
そして本当に幻想的で綺麗だった。
「メドの花は闇の中で月光を受けると青く輝く習性があるんですよ。」
「わたくし、あまり外に出れないので……」
楽しい夢から覚めて現実に戻った気分だった……
落ち込んだ事をで悟られてしまったように感じたので大丈夫な事をアピールする為、適当に会話をつなごうとした。
「あ、今の魔術は何ですか?」
「ああ、俺は産まれつき光の騎士という職業で光を自在に操れるんですよ。」
「光の騎士!わたくしの、運命の……ヒト。」
余りの驚きに、とんでもない事を呟いてしまった。
「え?」
「いえ……何でも無いんです。」
衝撃の中、辺りが急に騒がしくなった。
「ぅわぁああ!ギリアム海賊一家だぁああ!」
運の悪い事に海賊が襲撃してきた。
現在フィルハザードは深刻な海賊の被害に悩まされ過去最大の打撃を受けており、国民にとっては絶望的な毎日であった。
国の絶望……
私は光の騎士の予言書を思い出していた。
『国が絶望に覆われた時、光の力で蜃気楼の子を無限の牢獄から救うであろう』との予言であった。
私はすぐにエヌバーンによって避難させられ事態の収束を待った。
そして数分後にはエヌバーンが戻ってきた。
「終わりましたブリュアーヌ様。どうやら先程の若者が海賊共を倒したそうです。」
「エヌバーン、その方を帰してはいけません。あの方は予言書にある光の騎士です。光の騎士の戦い方は予言書に記されております。貴方が鍛えればきっと我が国の助けとなるでしょう。今すぐ行きましょう!」
あの方の事を考えると胸が熱くなった。
「ブリュアーヌ様、この方ですかな?」
「ええ。」
あの方はまだ町に滞在しており安心した。
「すまぬそこの若者よ。私は近衛騎士のエヌバーンと申す者じゃ。お主が光の騎士かな?」
「はあ。」
「我々に力を貸してほしい。」
「そして私はブリュアーヌ・フィルハザードと申します。よろしければ、我が国へお越し下さい。」
私はエヌバーンに続き自己紹介と勧誘をする。
「えっ……」
目の前の青年は唖然としていた。
急な勧誘だ。
当然であろう。
しかし私はもう一押しした。
「わたくしが解析した古文書によりますと我が国が悪しきヒトの暴動が起きた時、光の騎士が救世主として現れるであろうと記されており、光の騎士を鍛える方法も伝わっております。」
「頼む!」
私達は頭を下げる。
「お、俺の様な下民に頭を下げないで下さい。分かりました。行きます。」
謙遜しながらも了解してくれた。
嬉しかった。
心の底からこんなに嬉しいと思ったのは初めてだった。
青年の名はベルク。
メドの花の花言葉と同じく私の希望の光だった。
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