呪われし血族ベルク3
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阿鼻叫喚の地獄絵図であった。
逃げ惑う者を虐殺し性的暴行があらゆる場所で行われていた。
我々は勝利しファーガンの街を占領したが俺にとって後味の悪い結果となった。
「おらぁあ!テメェら飲めぇえ!今日は祝勝会だぁ!」
「親父!ミニューレが死んだんだぞ!何が……」
俺は親父に剣を突き付けられた。
「るせぇ。酒がまずくなる……楽しむ時に楽しむのが海賊だろうが、ぁあ?辛気くせぇこといってんじゃねぇ!」
親父は俺を斬った。
一命は取り留めたが、眉間から鼻にかけて傷が残った。
後々これが俺のトレードマークになるのだから皮肉なものだ。
その後も親父は着々と勢力を拡大しミラルド大陸最大の大海賊になっていた。
そして親父は海上だけでは飽き足らず一般市民しかいないような町や村まで襲い始めた。
これはミラルド大陸史上最悪の海賊被害となった。
俺はとっくに親父について行けなくなっていた…
俺は親父に反抗的で幹部にはなれず顔も売れていなかった事もあり、斥候の仕事が主だった。
そんなある日、斥候の仕事で花の村フィユーラへ来ていた。
俺は町の中をブラブラ歩いていると花畑に目を奪われた。
そこにいたのは幻想的な程に美しい女性だった……
「お花、お好きなんですか?」
「あ、ああ。これはメドの花ですね。花言葉は希望の光ですよね。」
「お詳しいのですね。」
「これは知っていますか?」
俺は花を箱で覆い、光魔法で光を強めに当てていく……
「月光!さぁ、箱の中を覗いて下さい。」
「うわぁ~。綺麗……」
「メドの花は闇の中で月光を受けると青く輝く習性があるんですよ。」
「わたくし、あまり外に出れないので……」
先程の表情と一転し、表情に陰りが見えた。
「あ、今の魔術は何ですか?」
「ああ、俺は産まれつき光の騎士という職業で光を自在に操れるんですよ。」
「光の騎士!わたくしの、運命の……ヒト…」
「え?」
「いえ……何でも無いんです。」
女性と会話をしていると辺りが急に騒がしくなった。
「ぅわぁああ!ギリアム海賊一家だぁああ!」
まずい…この女性にも被害が!
俺はこの時点で、花畑の美女に心を奪われていた……
「おう!ベル……」
「海賊達!この町を踏み荒らす事は許さない!」
俺は村の住人に素性がバレぬよう、ここに来た仲間の海賊達を殲滅した。
「おお!凄えぞアイツ!」
村から歓声が上がる。
「ブリュアーヌ様、この方ですかな?」
「ええ。」
「すまぬがそこの若者よ、私はフィルハザード王国近衛騎士のエヌバーンと申す者じゃ。お主が光の騎士かな?」
「はあ…。」
「我々に力を貸してほしい。」
この出会いにより、俺の人生が激変するとは思いもとらなかった……
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