後方支援
完全にスカイシーカー残存勢力が白骨化したアルマより優勢に立っていた。火や雷の攻撃で負傷する兵士はいたが、距離を詰めて近距離戦に持ち込むことで対処できていた。
「……エドワルド元隊長の作戦ってこんなもんなのか?」
どこかから聞こえてくる呟きにハルは同調していた。ハルの師匠はエドワルドであり、彼の戦術を基に作戦を練り上げているのは事実としてある。しかし、その師匠を圧倒している。しかも、後先を考えていない全部隊攻撃編成で。スカイシーカーには夜までという刻限が徐々に近づいている。一刻も早くここから離れなければならない。そのため、憂慮する暇すらなく、この作戦を選択していた。その作戦がこのまま通用するとは思えない。
その嫌な考えが的中する。スカイシーカーの全員が地下世界への入り口の方向へ進軍していた。つまり、背後を守る者がいないということ。エドワルドはその間隙を突き、後ろに死者蘇生能力を使ってくる。
「背後にもネクロマンス能力が使われたね……。こればかりは戦力を割かざるを得ないか?」
ここは二人でほとんどの迎撃をできるショウとクリスに後ろに回ってもらうべきか。それとも、第1隊の全員に回ってもらうか。
ハルが思考を巡らせていたとき、ハルのイヤホンに無線が繋がる。
『ハル、聞こえますか?』
その声の主はお淑やかな性格のイブだった。
「どうしたの、イブ」
『こっちにも獲物分けてくれますか? じゃないと、私とカレンだけがここに残っていた意味がないです。私達以外はエルの部隊を守って帰りましたけどね』
『ハル、済まない。私は帰るように言ったんだが、帰らないとうるさくてな。一人では心許ないから、私が残った』
イブやカレンのみはハルの帰還命令を無視し、帰路の途中で待機していた。しかし、今回ばかりは都合が良かった。カレンの性格からして高台に潜伏している。そして、イブの能力と相性が良い。
「帰るように頼んだのにね。……次に作戦破ったら、カムイから直接説教してもらうからね。
そっちはイブとカレンに任せた。指揮はカレンに任せる」
ハルは優しくジョークを言う。
『ふふっ、了解です』
『ラジャー』
イブはアルマが群がる方を向く。そして、狂気の笑顔を浮かべる。それは普段冷静さを装っているイブからはとても想像がつかない表情だった。
「さて、問題です。戦場において、最も気を付ける必要があるものをあなた達は知っているかしら。
まあ、屍からは返事はないか。正解は爆発物よ」
戦場で最も死因に繋がるもの。それは爆発物。勿論、爆破で死に至りもするが、それ以上に爆破により飛び散る破片が更に人命を危険に晒す。
「私の業火を味わいなァ!!!!」
イブは口角を奇妙に吊り上げながら、人器を紫色に光らせる。イブの能力は爆弾を自由に操る能力。この能力を使う時だけ、気性が荒くなる。
彼女が叫んだ途端、辺り一帯は爆裂し、赤黒い黒煙に包まれる。その爆炎によって、骸骨は粉々になって風と共に散る。
「戦闘に熱くなるのはいいけれど、何匹か漏れてるわよ」
その爆炎の中には何体かのアルマは蠢いて見えた。攻撃は当たっているものの、致命傷は逃れたようだ。イブから少し離れた丘にライフルを持ち、控えているのはカレン。スカイシーカーで数少ない狙撃手の一人。彼女はイブに忠告する。
「あなたがいるから大丈夫ですよ?」
イブは狂気の表情を浮かべてカレンの潜伏する方角に向かって指差す。
「よく言うッ!」
スカイシーカーナンバーワンの狙撃手、カレン。距離にして3キロ離れた者をも正確に撃ち抜く。その一撃は一体のみならず、弾道が変化しイブが残していた三体のアルマを蹴散らした。
「ほら、言った通りじゃないですか」
イブはカレンの能力を理解していた。カレンの能力は自動追尾。彼女が敵と認めた人物に向かって銃弾の軌道が変化するというものだった。しかし、銃弾の威力自体は変わらないため、射程距離は変化しない。
「殺意に狂ったお前と話ししたくはない。黙って敵を虱潰しにしてくれ」
イブの範囲攻撃とその攻撃を免れた敵を撃ち抜くカレンの能力。そのシナジーはスカイシーカー随一のものだ。
「はーい、わかりましたあー」
イブ(No.41224)
年齢:23歳
身長:157cm
格闘能力:3
行動力:6
優しさ:6
協調性:7
頭脳:8
(10段階で評価)
第12隊隊長。2エリア出身。元々主人公に地下世界が存在していることへの疑念を持たせる引き金として生み出された登場人物。青い瞳に金髪ポニーテールという完全に美少女設定。美少女すぎるとキャラとして動かしにくいので、戦闘狂というキチガイ設定を盛り込みすぎてしまう作者のミス。普段はお淑やかで戦場に行くとキチガイになるので、ギャップ萌えならぬ、ギャップこええを生み出した。




