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Sky Seeker  作者: 刹那翼
第1章 邂逅編
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絵本

 二人は募る話もあったが、何から話し始めればいいのかわからず、妙な緊張感が張り詰めていた。結局一言も話さず、ギャラントリー家に着く。地下世界の中では豪邸と言っても過言ではなく、中の部屋は貴重な木で造られていた。

 レンはスカイシーカーに入る前は毎日座っていた椅子に座っていても落ち着かなかった。

「エルナ、絵本、今も持ってるか?

 久し振りに一緒に読まないか?」

「どうしたの、急に」

 エルナは驚いた表情を見せつつも、少し嬉しそうな声色だった。

「俺、自分のことでいっぱいだったから、自分を見つめ直したい。ちょっとした原点回帰かな」

「わかった、急いで持ってくるね」

 エルナは部屋の中から絵本を見つけてきて、レンに差し出す。絵本はクレヨンで塗ったような優しい筆跡で書かれていた。レンはエルナも読めるように机に置いてから開く。



 王様はとてもえらい人でした。悪い化け物から国を守っていました。だから王様は人気者でした。

 でも、家来からは不人気でした。なぜなら、王様は家来にひどいことをしていたのです。

 そこに、あるきれいな女の人が現れます。その女性は王様とよくケンカしました。彼女は王様のえらそうな態度が気に入らなかったのです。

 ある日、女の人は王様に話しました。

「わたしはね、あなたに空を見せたい。空を知ったら自分が小さな小さな人だってわかるから」

 王様は空を見たことがありませんでした。

「おれだって、空を見てみたい」

「いっしょに見に行きましょう」

 その夜、王様と女性は空を見に行きました。

 王様は空を見ておどろきました。それは星空という、キラキラとかがやく空です。

「こんなにきれいなものがあるなんて」

「世界はもっと広いわ」

 王様はそのとき女性を好きになりました。そして、自分がちっぽけなことに気づきました。

 王様は女性に好きになってもらおうと、家来への態度をなおしました。

 その姿を見た女性は王様を好きになりました。

 王様と女性はキスをして、永遠に結ばれました。



「こんな話だったっけ。なんか、ちょっと恥ずかしいな」

 レンは心にむず痒さを覚えていた。それはエルナも同じだった。

「なんかちょっと不思議な感じだね。

 私はこの絵本の絵が好きだったな。特に、この星空。黒の中に赤色や青色、黄色でキラキラしてる星ってものがあって、とても綺麗。だから私は空を見たいのかなぁって」

「俺もこのページ好きだったな。いつかこんな景色を見れたらって思ってた。

 いや、今もその思いは変わらない」

「約束、覚えてる?」

 エルナの質問に対して、レンはゆっくり首肯する。

「いつかエルナと一緒に星空を見る、だろ。覚えてるよ。エルナだけじゃない、ミシアにもこの空を見せるよ」

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