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おかしな国のおかしな日常  作者: 銀猫@境界線
5/6

五話〜騎士の日課〜

やっと五話です。

投稿の遅さはピカイチみたいです(笑)

今回はナイトsideでのお話になっています。


「ギャァァァァァーー!!!!!!!!」



今日も、か。

抜け出したな。

大臣の叫び声が響き渡ったあと、ドタドタとこちらに向かう足音。

先ほどの叫び声から察するに、この足音の人物は十中八九、大臣のミーツ様だ。

ふぅ、やはりあれだけでは、陛下を机に向かわせておくのには至りませんでしたか…

ため息を一つ吐くのとミーツが廊下の角から出てくるのはほぼ同時だった。

「な、ナ、ナイト君…」

「どうされましたか?」

「へ、陛下…が」

「はい、また抜け出しましたね。」

コクコクコクッ。

「わかりました。仕事が終わり次第向かいます。」

「は、早めに頼…ゴホッゴホッオエッ…むね」

この方も、陛下の傍若無人っぷりに振り回されている一人。色々な意味で大変だ。

私も早急にあのバk…陛下を捕獲しに行きたいのですが。

それ以上に早く済ませなければならないことが一つある。

朝の日課、調理場を訪れることだ。

調理場は、一階の王宮内からさらに奥に行ったところ。いわゆる別邸にある。

いつもと同じで、今日もまた何かしら起こっているのでしょう。


*・゜゜・*:.。..。.:*・'・*:.。. .。.:*・゜゜・*


王宮の別邸の位置にあたる調理場。

ここでは毎朝のように何かしらのトラブルが起こってしまう為、私がここに来て対処しています。

コンコンッ

「失礼致します。」

ガチャ、と返事も待たず早急に開けるたのは調理場の第1扉。

ここから、後12扉ある。

「あ、ナイトさん!!」

ここで、いつも侍女のアウィルさんこと、この第1扉の責任者が大体の事情を教えてくれる。

「アウィルさん。第1扉では何があったのですか?」

扉を開けていくごとに何かが起こっているので、この確認は欠かせません。

「えっと…、今日は薄力粉が空を舞っただけなので大丈夫ですよ。」

なるほど。どうりで服と調理場全体が粉だらけになっているんですね。

確かにこれくらいならまだ大丈夫ですね。

「他にはありませんか?」

「はい、ここはもう平気です。ですが、奥が……」

えぇ、奥が悲惨なことになっているのはいつものことですものね。

ラスボスとの対戦は最後まで取っている方がいいですからね。

「手ぶらで行ってもアレなので、消火器を一応持って来ました。」

そう言って消化器を見せると、パァァァァァーと一瞬にしてアウィルさんの顔が笑顔になる。

「今回は火事だとお見受けしたのですが…」

「あぁ…はい。またロッティー様が今日も可憐に…はっ、、今回も頼みます!!」

これもいつものことなので、スルーの方向で先に進ませていただきます。

「わかりました。では、ここの清掃はお任せしますね。」

第1扉にだけでもこんなに個性の強い方がおられるのに、こんな人たちがあと10部族分も居るんですから、この国は大変ですね。



侍女のアウィルに見送られ、第2扉へとやって来た。

コンコンッ

「失礼致します。」

この国では大臣様と外から来られたお客人以外はノックをしても返事が返ってくることはほとんどない。

なので、たとえ返事が返って来なくても普通に入るのがこの国の部屋の入り方だ。

ガチャ

「あ、ナイト!!」

「ナイトっち!!」

このお二人は双子で、ウィス様とクィス様だ。

「ウィス様とクィス様。今日はどのようなことが?」

「あーー、今はナイトの後ろにある鍋の色を取り戻し中だよ。魔女のスープみたいで面白かったんだけど、副管が今すぐ戻せーー、ってさ。」

普通に人の名前を呼ぶのが姉のウィス様 。

「なるほど。他に被害は?」

「ナイトっち、ちゃんと見てよ!!ほら右側!!包丁が全部真っ二つになってんの!」

誰にでも何々っちと、付けるのが弟のクィス様。

「包丁が…」

無残に真っ二つになった包丁達が山の様になっているのを見ても、カラカラと笑えれるのはきっとこのお二人だけでしょうね。

「まぁ仕方ないよ〜。だってこの包丁たち、100回近く空飛んでたんだし。」

「それは……包丁が哀れですね」

ところで、第1扉では麺やパン類を第2扉では野菜などを調理するのですが………

「ところで、なぜここでスープを?」

「それは気にしちゃダメだよ、ナイトっち!ちなみに、他のみんなは写真撮りに行ったよ!」

「なるほど。」

この国の人たちは、火事であろうと何であろうとそれがなんかすごいことであればすぐに飛びつく。

イベント事が大好きなのだ、この国は。

「お二人は行かれなかったのですか?」

「「写真機持ってないから、行っちゃダメだってさー!!」」

理不尽とばかりに、頰を膨らませている。

まだ、少年少女 (10歳)のお二人ですが、この国では色んな意味で相当のやり手です。

「左様ですか。では、次の扉に行かせて頂きます。」

「「おけ〜〜、お気をつけ〜〜」」

ぺこっと一礼して、次の扉へと手をかける。



その後も、第3扉、第4扉、第5扉、第6扉、第7扉、第8扉、第9扉、第10扉、第11扉。

そうして、第12扉の前までやって来た。

ここにくるまで、大臣様が可愛がっているヘビのニュラ様が鍋で茹でられていたり、食事用の薬草が毒草に変わっていて、医務に緊急搬送されたり…と様々な事があったが、あともう少しで、毎日の日課の七分の三が終わる。

すぅ…と、息を吸い込み、ゆっくりと吐く。

最後の第12扉。

ここは、調理場の中でも一番大きく、最も、問題が起こる場所だ。

今日は、何が起こるのだろうか。この国に来てから毎日違うことが起こっている日常は最近の楽しみになって来てしまっている。

コンコンッ

「失礼致します。」

「あっ、ナイトさん!!ようこそ、調理場へ」

生まれながらのお嬢様だと思うが、お辞儀は、王宮内でも誇れるものだろう。

こちらも、一礼をする。

「ご丁寧にありがとうございます。」

「いえいえ〜」

「ですが、今、」

「はい。何でしょうか?」



「火事ですよ。」



「ギャォァァァァァァァーーーーー!!!!!!」


副管理長が上げた、この日一番の悲鳴が城下町中に響いた。

読んでいただきありがとうございます。

次話もいつ更新されるかは不明ですが、出来るだけ早く更新出来るようにいたします!

また読みに来てくださると嬉しいです。

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