三話〜陛下と騎士の通常運転〜
「う〜〜〜ん、今日も平和だねぇ〜」
清々しい程の空の青さ、人々が笑い合う大通りの活気が、王城の一番上にあるこの部屋にまで聞こえてきそうだ。
「いや〜、今日もみんな元気そうだね!みんなが楽しそうならボクも嬉しいよ!この手錠さえ、な・け・れ・ば☆」
そう言いながら手錠をガシャガシャさせる国王陛下。
その動作に合わせてクリーム色の結った長髪が揺れ、パッチリとした目が髪の間から見える。
「おやめ下さい、陛下。」
そんな手鎖野郎の隣にいるのは、黒い団服を見に纏、マスクで顔を覆い、警衛の帽子を深く被っている(前髪も長いせいか目は全く見えない)顔の表情が声でしか読み取れない、呼び名は、騎士の働き屋さん。
不審者に見えるけど、王宮一の残業屋さんでもあるのです!
「相変わらずヒドイな〜、ナイトはっ!」
国王専用の職務室で、プゥ〜っと、頬を膨らませているこの人。上司とはとても、おもえない、けど上司。
「仕事をしてから、仰って下さると嬉しいのですが。」
机の上には、大量の書類逹。
積み上げられた書類は、今にも崩れ落ちそうだ。
それらを見やり陛下は机に突っ伏し、駄々をこねる。
「い〜や〜だ〜」
「仕事を、何卒。」
しっかり者に見えるが身元不明な部下にそう言われてしまう日常。
渋々と仕事をこなしていると、
はぁ…、とため息をつきながら、ナイトが足早にドアの方へと向かっていく。
「あれ、どこ行くのナイトくん?」
ナイトが足を止め、振り返る。
「調理場で揉め事かと…」
「いつものことじゃないか〜〜!」
「左様ですか。」
「そうです、そうです!!」
大臣たちの職場からひったくった茶色いクルクル回る椅子を遊び道具として、子供のように遊んでいる。
これでもれっきとした国王なのだが。
「はぁ…陛下のお隠しになられているプレミアグッズ並びに愛読書を一斉処分…。」
「ナイトくん!!早く行かないとー!!!!」
それを聞いてとたんに焦り出す、陛下。
ナイトは、冗談が冗談じゃすまないから怖いんだよな〜…
最初の時、捨てないと思って軽く「いいよー」って言っちゃったら、本当に火の中に入れて燃えつきた後の灰まで捨てられちゃったし…。
あの後、本屋さんで買い直して、限定物を土下座でゲットしたんだから、大変だったよ。
そんなナイトは、大臣たちからの信頼がこの城内で働き始めた初日から厚く、その理由にはどうしてもこの国王(遊び人)が関わってしまう。
「でも〜、働きアリは死んじゃうぞ?」
この人の攻め文句だ。
「貴方はアリではありませんので。失礼いたします。」
冷めきった返し方は、まさに神対応。
「冷たいな〜」
一礼をし、ナイトは部屋を出て行くために扉を開ける。
「この国の座右の銘も、ボクの座右の銘も、『楽しいこそ、正義』だよ?君ももっとと楽しまなきゃ」
「…これでも、楽しんでいますよ?」
「わっかりにくっ!!」
上司の声を最後にバタンッと、扉を閉める。
ナイトが出て行った扉を少しの間見つめた後、クスリッと笑い言う。
「だ・か・ら、この国の座右の銘が『楽しいこそ、正義』なのに、こんな楽しくないことを素直にするなんて王様失格だよぉ。さぁ〜〜て☆お邪魔虫もいなくなったし……にーげよ!!」
手錠が付けられっぱなしの手で、机の隠し引き戸を引く。
カチャカチャ…
「ふふ〜〜、ん、あっ、とれた☆」
ちなみにこの国王、手癖がめちゃめちゃ悪い。
それはもうル○ン三世も真っ青な手腕で、どんなに頑丈な枷でもいとも簡単に外してしまうのだ。
「ナイトには悪いけど、本能の赴くままにぃ〜?レッツラゴーーーー!!!」
この国一の遊び人が、また野に放たれてしまった瞬間なのだった……
「あ、ようこそ!
我が国ウィルデェリア王国へ‼︎
個性豊かな国だから、
楽しんで行ってね☆」
読んでいただきありかとうございました。
次話は恐らく7月中旬くらいになりますm(_ _)m