プロローグとなる話か?
こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます
正直いつ失踪してもおかしくありません
「なぁ画面の前の皆。もしも主人公が薬のせいで右目が異様にでかくて左目が白濁してて、更には長いストートの白髪で身長が2メートルも越えてて、ギザ歯で傷だらけの女だったらどうする?斬新かな?斬新だったら僕ちゃんとしても、作者としても嬉しいなぁ~♪いやね?どうせやるなら、こう、ね?インパクト強いヤツがいいじゃん?皆の記憶に確実に残るであろう見た目。本当なら僕ちゃんのいつもの服装とか見せたいんだけど、非常に残念ながら今はそれができない。なぜなら僕ちゃんは今、刑務所にいるからです!しかも特殊な囚人をぶち込む独房で、僕ちゃんのためだけに作られた手錠を付けられちゃってね?独房の中にいるのに手錠よ?これっておかしくない?それとも僕ちゃんがおかしいのかねぇ?あ、そうそう、画面の前のかわいこちゃん達、もしも二次元と三次元の壁を越える能力手に入ったら、僕ちゃんのとこにおいで!愛してあげよう!僕ちゃんは同性愛者だからね!あ、お腐れ様はお帰り下さい。僕ちゃんはガールズラブは受け入れるけど、ボーイズラブは受け入れないの。…っていうか、そろそろ何かないの?画面の前の皆の声はこっちに届かないから、僕ちゃんが一方的に喋ってばっかなんだけど。あん?まだ言ってない事がある?何よ…………。あー、はいはい失礼。これは僕ちゃんが悪いね、うん。まだ名前言ってなかったよ。そうだよ、僕ちゃん名前言ってなかったんだよ自分の名前。僕ちゃんの名前はマギア・トライアングル。愛称として“まぎたん”と呼びたまえ。そう、まぎたんだ。……ところで、僕ちゃんはいつまで話してればいいの?画面の前の皆絶対飽きちゃってるから。ほら!早く話し進めろやぁ!」
ここははグロウズ女性刑務所。危険な囚人が収容されている刑務所で、その中でも最もレベルの高い者が入れられているのが、このエリアZ-5である。ありとあらゆる最新技術で作られた牢獄に、このZ-5に該当する囚人がいる。マギアはその中でも特殊Z-5という区画のエリアにいた。
「え?ちょっと待ってナレーションさん。特殊Z-5って僕ちゃん初めて聞いたんだけど?」
ちなみに、この特殊Z-5に入れられる囚人は、大概がキ○ガイである。
「誰がキ○ガイじゃ誰がぁぁぁ!僕ちゃんか!?僕ちゃんの事を言ってるのかぁ!?その通りだよファッキン!文句あっか!?ああん!?」
そしてこのマギア、情緒不安定である。そしてキ○ガイ。
「ぬっ殺すぞナレーションてめぇ!こっち来い!その顔面剥いでやる!そしてその剥いだ顔面を雑巾代わりにしてやる!」
マギアはひとしきり吠えたあと、溜め息を吐きながら壁を背もたれにして座り込んだ。
「にしても、ほんっと何もねぇ部屋だよねぇ。窓ないし完全防音だし。あるのはベッドとトイレと作業机と椅子……。もっとこう何かないの?テレビとかゲームとかさぁ。ねぇ?監視カメラで覗いてる人」
マギアは監視カメラに視線を送る。一切の反応がないのがつまらないのか、舌打ちをして視線を外す。
「…しっかし、ほんとここ退屈だよなぁ。危険だからって見回りはいねぇし、かと言って何か来たと思ったらA○IMOくんみてぇな警備ロボットだし……。はぁ~あ、退屈は人を殺すって言うけど、正にその通りだ。画面の前の皆、人生楽しんでる?僕ちゃんは人生退屈してます。刺激が欲しいですぅぅぅ…!」
うおおぉ…!と床に寝そべりながら呻き声を上げる。しかし、彼女はすぐに押し黙った。何故ならば床から軋む音がしたからだ。
「…何事?刺激が欲しいとは確かに僕ちゃん言ったけど、面倒な刺激はお帰りいただきたい所存なんですが?」
そんなマギアの言葉も意味を成さず、床に大きなヒビが入った。
「……あー、何何?何なの?僕ちゃんを困らせるだけならやめ」
その言葉は途中で遮られる。床が抜けたからだ。そこには本来ある筈のない、底が見えない奈落の底。マギアはそこに真っ逆さまだ。
「……画面の前の皆、来世で会おう!いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
このあとすぐに警備員が駆け付けたが、部屋は元に戻っており、マギアの姿だけなかった。