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落ちこぼれ魔法師と異端の力  作者: 高巻 柚宇
番外編 事件は現場以外でも起きている
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番外編Ⅱ 第7話 事件の結末

 バジルとグリスはグルスベール家の屋敷を出ると、地図に書かれた施設に向かうために、暗黒領に出た。


 グルスベール家の魔法師たちは全員、待機していた教会の魔法師たちに拘束されたため、今は少数行動だ。


 そして地図に書かれた施設についたバジルとグリスと数人のフレスタン教会の職員たち。


 しかし彼らの目の前に広がっていたのは人質を収容しているような施設ではなく、地面に大きく空いたクレーターがあった。


 「どういうことだ……」

 「隊長、場所は間違っていません」

 「なのにないだと?」 

 「でもこの人工的に掘られた穴が、確かに施設があったことを証明しています」

 「どういうことだ……」


 目の前にできた大きな穴が、この場に何らかの施設があったことを証明している。


 しかし残っているのは、まるでその施設が消滅してしまったのかではないかと思えるくらいの穴。


 信じられない光景に、バジルは言葉を失う。


 「どうしますか隊長?」

 「一度教会に戻って他の被害者から話を聞こう」

 「わかりました」


 他の小隊長たちからの連絡では、すでに被害者を全員保護したという情報が入って来ていたため、バジルたちは一度フレスタン教会に戻ることにした。


 フレスタン教会に戻った二人は、小隊長たちからの情報を合わせて、施設がなかったのはバジルたちのところだけだったと確信する。


 不思議に思ったバジルは翌日、もう一度クレーターの場所に行き、周辺を詳しく調べた。すると施設らしき建物の残骸を見つけることができた。


 しかしそこには当然人などおらず、バジルたちはその後、捜索範囲を広げてみたのだが、被害者を見つけることはできなかった。


 見つけられたのは、人ではなく、まるで中身を失ったかのような魔獣の毛皮と、元の姿が何かわからない異臭を放つ肉塊だけだった。


 結局のところ、残る一つの施設はあのクレーターだと断定され、施設消失で事件の幕が下りた。しかし中には当然ながら納得のいかない者たちもおり、その一人がバジルである。


 三日後、中央王国に戻ってきたバジルは、七賢人たちに事件の報告を終えて自室に一人でいた。


 「あのクレーターは間違いなく施設の跡だ。でもなぜ施設が消えていた? 考えられるとしたら…………まさか闇属性!?」


 もう一度整理して考えると、闇属性ではないかと思える施設の跡。しかしなぜあのような場所に闇属性の跡があるのか、バジルにはわからない。


 「だとしたら犯人はダクリアの人間か? となるとあの獣の皮はなんだ? あの方角だと先にあるのはダリス大峡谷……まさかあんなところを用があったとでもいうのか? でもどうして……」


 バジルがそんなことを考えていると、部屋や彼の部下であるグリスが入ってきた。


 「隊長、事件解決お疲れ様です」

 「ああ、お前もな。みんなにも伝えておいてくれ」


 まだ事件は解決していない。バジルはそう思ったが、闇属性の存在を知らないグリスたちに自分の考えを言うわけにもいかず、グリスたちをねぎらう。


 「わかりました。そういえば隊長は特級魔法師一族ってどんな人たちか知っていますか?」

 「なんでだ?」


 急に特級魔法師一族の話になり、首をかしげるバジル。しかし直後、グリスの言ったことは衝撃的だった。


 「なんか娘に魔獣の討伐をやらせるらしいですよ」

 「娘を暗黒領に?」

 「ええ、門番が出て行った記憶もない少年一人と少女二人が、暗黒領から歩いて来て、不審に思ったらところ、特級魔法師一族だったらしく、当主いわく魔獣討伐と言ったそうです」


 普通に考えれば、娘を暗黒領に派遣する親など頭がおかしいとしか思えないが、今のバジルには暗黒領という言葉に敏感になっていた。


 だから、グリスに詳しく聞いた。


 「それはどこの一族だ?」

 「えっと、確かアクエリスタンの雷神のところです」

 「そうか。すごいところもあるものだな」

 「ですね。それでは失礼します」

 「ああ、ご苦労だった」


 グリスが部屋から出て行き、再び一人になったバジル。


 バジルは先ほどグリスの言っていたことを踏まえて、もう一度考え始めた。


 「あの施設の跡から魔獣の死骸を直線で結ぶと、その先にあるのはダリス大峡谷。

  そしてダリス大峡谷を越えたら、先にあるのはアクエリスタン……

  そこにアクエリスタンの門番が語る、出て行った記憶のない少年と少女……」


 普通に考えれば、ダリス大峡谷を少年と少女だけで乗り越えるのは不可能だ。しかしそれが特級魔法師一族だったら話は別になる。


 そしてそこに闇属性は加われば、話はかなり変わってくる。


 「やはりこの事件はまだ終わってはいない。久々の休暇を取って地元に、アクエリスタンに帰るか」


 バジルはそう言って静かに決意するのだった。


 いつも読んでいただきありがとうございます。


 これにて一生番外編も終わりです(長かった……)

 さて、次のお話から二章に入ります。二章では一章とは百八十度変わり、魔獣は出てきません。人間も、ほとんど学生です。完全に学園ものになるので、よろしくお願いします。


 それでは次もよろしくお願いします。


 ちなみにあらすじは「ユアと新しい仲間リリィを加え、新たな生活を始めることになったセイヤ。しかしユアと通うことになった新しい学園アルセニア魔法学園にはユアのことを愛するファンクラブやユアに事を守る親衛隊が存在しており、ユアの婚約者であるセイヤのことを良く思っていなかった。

 ただでさえ新しい学園に馴染めていないセイヤだったが、彼のもとに十三使徒が訪れたり、毎年恒例のあのイベントが始まったりと大変なことに……

 魔獣の地獄から一辺、セイヤの新たな学園生活が今始まる!」と言った感じです。

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