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落ちこぼれ魔法師と異端の力  作者: 高巻 柚宇
6章 ダクリア動乱編
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【番外編】 聖なる夜

 メリークリスマス! 皆さんお久しぶりです! ダルタです! 六章になってめっきり出番がなくなりましたが、五章ではメインヒロインを張っていた可憐で健気なメイド魔法師。しかも実力も兼ね備えたまさに五章にふさわしい私でした!


 ですが完全に空気となった六章ではもはや誰も覚えていないことでしょう。一章ではラスボス級の扱いを受けていた白虎と同等の青龍にとどめを倒したというのに、完全に空気です。青龍を倒して無事レベルアップしたというのに、その設定が明るみに出るのは七章以降。


 二年以上頑張ってきたのに悲しいです。


 ですが今日はそう言う愚痴は別にして、番外編です。ところで今日は何の日でしょうか? そうです、クリスマスイブです! 漢字に直すと聖夜です! まあ不思議、私のご主人様と同じ名前じゃないですか! 聖属性と夜属性を操るセイヤと聖なる夜がクリスマスという偶然。これは利用しない手はないじゃないですか!


 え? この世界にクリスマスってあるの? そもそも聖夜っていう言葉は存在するの? いやいや、これは番外編です。まあ番外編といっても二種類あって、一つは番外編といいつつも思いっきり本編に関わりのある話。これは主に過去編やら主人公とは別の人たちにキャラが当たっている場合なのである意味での番外編です。


 そしてもう一つが本編と全く関係ない、いわば同人イベントのような別の話で大体投稿すると本編やれよ言われる番外編です。もちろん今回は後者です。もし前者なら今頃レイリア王国で奮闘しているでしょう。なのでこの世界に漢字があるのか、といった設定的疑問は関係ありません。


 さて挨拶が長くなってしまいましたが、今日は何の日かというとクリスマス。つまりクリスマスプレゼントの日なんですよ! 日ごろからお世話になっているセイヤに感謝の気持ちを伝えるためにプレゼントを渡したいと思います。でも一体何を渡せばいいのかわからないので、とりあえず身近な人に聞いていきたいと思います。


 ではレッツゴー!!







 お、まず最初に見つけたのはギラネルさんです。ギラネルさんはセイヤのパパの元部下で、今はダクリアで大魔王をやっている凄い人なんです。多分あの人ならセイヤのこともよくわかっているのでアドバイスをもらうには最適な人です!


 「あの、ギラネルさん」

 「これはダルタさん。どうかしましたか?」

 「実は日頃の感謝を伝えるためにセイヤへのクリスマスプレゼントを考えていて……」

 「クリスマスプレゼント!?」

 「え、はい……」


 なんだろう、急に雰囲気が変わったような……


 「そうですね、クリスマスはやっぱプレゼントを渡すべきですよね。ましてや日ごろからお世話になっていたセイヤ様ですから。それにこれから大魔王ルシファーとしての仕事もあるので、できればストレス解消グッズのような利便性の高いものを」

 「あの、ギラネルさん?」

 「少しお待ちください。今から部下に掛け合ってダクリア帝国の今年度の予算を可能な限りつぎ込んでセイヤ様へのプレゼントを考えるので」

 「あ、やっぱり大丈夫です!」


 私は必死に走りました。それはもう人生で一番かというくらいに。そして確信したのです。セイヤが関わった瞬間ギラネルさんはポンコツになってしまうと。プレゼントに国家予算を使うとか信じられません。


 と、こんな風に息を切らせながらぜぇぜぇしているとある人に話しかけられました。


 「どうかしたのか、ダルタ?」

 「あ、聖騎士様」


 目の前に現れたのはレイリア最強の魔法師である聖騎士アーサー様。本来はセイヤの暗殺の任務を受けていたのに仕事をしていない不思議な人です。でもキレル山脈では私のことを叱咤してくれた優しい人なのです。昔は怖かったけど、今なら聞ける気がするので事情を説明します。


 「セイヤへのプレゼント?」

 「はい。でも何を渡せばいいのかわからなくて」

 「お前はお子ちゃまだな。男が貰って喜ぶものなんて一つしかないだろ」


 お、これは期待できるかもしれません。やはり同じ女性として殿方にプレゼントを渡す気持ちを心得ているのでしょうか。


 「それは一体……?」

 「それはだな……」


 ドキドキ、ドキドキ、早く言ってください。気になります。


 「女だ」

 「はい?」

 「だから女だって。お前がちょっと露出の高いサンタのコスプレして、リボンに包まれながら『私がプレゼントよ』って言えば男なんてイチコロだ。それにメイドなんだから夜の奉仕ぐらいしているんだろ? なんならアタシが一緒にサンタ服を選んでやるから行くぞ」

 「いえ、御断りしまあああああああああああああああす」


 はぁはぁ、何とか走って逃げてきました。まさか聖騎士様があんなことを言うとは……。いくらメイドとはいえそういうことはまだ早いと思います。やっぱりお互いのことをもっと知ってから、セイヤに「お前が欲しい」とか「もっとお前を知りたい」といわれなきゃ、そういう行為はダメな気がします。私は会って一章で繋がるような安い女じゃありません。


 あれ、でもこれは六章だからオッケーなのかな……。ないない、一瞬想像しちゃいましたが、やっぱそういうのは本編でやるべきです。むしろ『九章 ダルタ恋人編』、『十章 ダルタ新婚編』でやるべきです。


 それにしてもやっぱりあれですね。強力な魔法師ほど変な考えをしてしまうのでしょうか。でもほかに知り合いなんて……と思ったらロナさんを見つけました!


 ロナさんはセイヤと新たに契約した精霊さんで、セイヤのお姉さん的存在です。でもちょっとセイヤに過保護なところがあるので不安です。でも聞いてみましょう!


 「ほう、セイヤにプレゼントを?」

 「はい」

 「それでなぜ妾にそれを聞くのじゃ?」

 「ロナさんならセイヤの好きなものを知っているかなって」

 「それはもちろん知っておる」


 お、これはもしかしたら当たりかもしれません!


 「じゃが教えぬ」

 「え? なぜですか」

 「他人に聞いてもらうプレゼントではセイヤが喜ばぬからじゃ。セイヤはプレゼントの中身に出反応を変えるほど軽薄な男ではない。お主がセイヤにプレゼントしたいと思ったものなら、セイヤはそれが例え女性ものの下着でも喜ぶじゃろう」

 「ロナさん……」


 最後の一言はアレですが、今までで一番のアドバイスです。そうですよね、セイヤが中身で反応を変える男だとは思いません。やっぱり人に聞くより自分で選ぶ方がいいに決まってます。私は間違っていました。


 「ロナさん、ありがとうございます」

 「うむ、役に立てたなら良かったのじゃ」


 あんまり話したことのなかったロナさんでしたが、普通にいい人でした。もう人に聞くのは止めてプレゼントを買いに行きたいと思います。


 と思ったら、なんか不思議な人を見つけました。白い髪に紅い瞳をして背中には大きな大剣を背負っているどこかセイヤに似た雰囲気の人です。なぜかあの人に聞いたらいいアドバイスを貰える気がします。とりあえず参考程度に聞いてみます。


 「あの……」

 「なんだ?」

 「あなたはプレゼントをもらうとしたらどんなものがいいですか?」


 あれ、なんで私はいきなりそんなことを聞いているんでしょう。普通は事情説明しなきゃいけないのに、これじゃあ変な宗教勧誘になっちゃいます。


 「力だな」

 「え?」

 「力だ。この世界を支配できるほどの力が。そして誰でも守れるようなちか……」


 うん、なんか変な人なので逃げます。多分あっち系の人です。おそらく世界を守った英雄が絶望して世界の敵になる的な展開が大好きで、自己投影しているイタイ人です。なかったことにしましょう。







 と、そんなこんなで無事プレゼントを買えたので仮眠したいと思います。やっぱプレゼントは深夜、枕元に置く方が嬉しいと思うので夜元気になれるように体力回復だ! ではしばしおやすみなさい!

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