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翌日。朝、学校にて級友と話していると新田郡が登校してきた。
昨日の傷より明らかに多い絆創膏をつけて。
「いやー、階段でこけちゃってさー」
何だろう、あえて大きく見せることでごまかす? いや別に小さくても理由さえごまかせればいいんだから、やっぱりおかしいな。
というかよく見ると本当に怪我している。昨日はなかったはずだが。
とか考えてたら昼休みに声をかけられた。
周りが少し変な空気になりかけたが、こちらも話を合わせて教室を出る。
「えーと、昨日の事、だよね? どういう話?」
とりあえず口火を切ってみた。
「うん。そのことなんだけどさ、私、井達君の事好きなのかもしれない」
はぁ?
多分口に出たと思う。
「だって! だって昨日の私、自分でもびっくりするほど強かったから! 本当だから!」
「待って、ちょっと待って。もうちょっと順を追って説明してほしい。昨日あれから何があって、どう考えてそう思ったの?」
「昨日さ、あの後――」
聞くところによると、昨日倒したあれは新田郡からすれば今まででは勝てなかった相手らしい。やっぱり格上だったか。しかし昨日は苦戦したが怪我は少なく倒すことができた。これは強くなった、と思ったらしい。
その後、所属する組織に戻って「強くなった」と自慢し、今までは歯の立たなかったより強い人に「どれくらい強くなったか見せてあげます」と啖呵を切った結果ボコボコにされた。どうやら強くなったのはあの時だけらしいと気付く。
そこから、なぜあの時は強くなれたのだろう? もしやあれは「守りたい人がそばにいたから」というそれこそ少年漫画的現象だったのでは! と気付き、俺の事が好きなんだと気付いたらしい。
ねーよ。
「いや、たまたまだと思うよ……」
「たまたまだとしても、そのたまたまが井達君がいれば起こるんなら、それは強くなってるってことだよね?」
俺がいても起きないからたまたまなんだ。
「いや、僕がいても起きないと思うけど……まあそこは置いておくとして、それでどうすればいいの? その、悪いけど特定の異性と特別な付き合いをする気は今のところないんだけど」
「がーん、これが失恋」
「そんな反応な時点で、多分違う。仮に失恋だとしても、その恋は恋に恋してるだけだから失恋しといていいと思う」
「んー? たまに難しいこと言うね。よくわかんなかった」
昨日から思ってたけどお前アホの子の類だよなぁ。
「それで、話は終わり?」
「えーと、よければこれからも私の事見ててほしいと思ったんだけど」
「失恋したよね?」
「いや、したけど思いは消えてないかもしれないから! 私はあきらめないから!」
そんな不明瞭な恋心抱かれても……。いや、まぁ、大変だなぁ。
「んー? なんか僕も分かんなくなってきたんだけど、つまり僕に戦うのを見てろってこと?」
「うん、是非に!」
「ふむ。まあ僕が見てれば強くなるから見ててもらおうっていうのは100歩譲って認めるとして。新田郡さんは僕がそこにいていいの?」
「?」
「昨日新田郡さんは「人助けみたいなことをしてる」って言ったよね? それってアレみたいなのから人を守る、的な事でいいんだよね? じゃあ僕がその危険な戦場に近づくのは、新田郡さんの中では矛盾しないの?」
「え? あ……あー!」
まるで今気づいたかのように驚いているが、本当に今気づいたわけじゃないよな?
「……どうしよう」
OK今気づいたのね。
さて俺もどうしよう。話を聞く限り新田郡は何らかの力に目覚めて以来一人で正義のヒーローしてる、というわけではなさそうだ。後ろには何らかの集団が関わっているようだし、そいつらはあのマヨイミズとやらの事を強さで分類するくらいには詳しく知っている。
この誘いは非常にありがたいはずだ。上手くすれば内情を引き出せる。
向こうにこちらを認識されるのは……一長一短と考えよう。井達三郎が認識される分には問題ない。
「まあ、昨日のアレはかなり強い部類で、普段は闘わないんでしょ? 僕が後ろに下がってて安全だって言えるんなら、ついていくくらいは僕はいいよ」
「本当?」
「ただ、新田郡さんの『強くなりたい』って思いと『誰かを守りたい』って思いの結果がとても危ない橋を渡る行動になってることは強く意識しておいた方がいいはずだよ」
「分かった、思っておくね!」
まあ多分俺が死ぬときは新田郡も死んでるから実際はいらぬ心配だ。
「じゃあどうすればいいかな?」
「ん、続きは放課後で。終わったらついてきて」
それだけ話すと昼休みの話は終わりになった。
放課後。俺も新田郡も帰宅部なので夕方というにはまだ早い。
「私一回帰ってから着替えてくるけど、ついてくる?」
行かねーよっていうかなら俺も準備するわ。
というわけで俺も帰って着替え、大き目のカバンを持って再集合した。比較的賑やかな駅前である。
「んで、どこ行くの?」
「てきとうに人のいないところをパトロールします!」
うん新田郡らしい。
「ごめん、そういえば僕色々と聞いてないことがあった。今聞いていい?」
「ん、どうぞ!」
「まず新田郡さんは何の為にパトロールをしてるの? その結果アレを見つけたら倒すんだよね?」
「倒すよ。私は力を使いこなすために戦ってる。あと、やっぱりマヨイミズで被害が出ないように」
「その、マヨイミズってのの事は後で聞くとして、力って何?」
「私の右手には、アクマが入ってるの」
言ったな。まあ俺も忍者でスパイだからあんまり言えんが。
「あ、でもアクマって言っても翼としっぽの生えたようなのじゃなくてね。なんて言ったかな……なんかその、感情に反応して魔法を使えるようになる仕組み? みたいなものの事なんだって」
「へー」
「だから右手が生きてるとかじゃないよ。『負けたくない!』とか『頑張りたい!』って思うとその感情に反応してすごい力が出るんだって」
つまりアクマってのは人類がイメージしてきた人に害をなすものたちの事じゃなく、比喩的にその名前を付けた魔法のアイテムか何かなわけか。そしてそれは感情を原料に超常的な現象を引き起こす、と。
俺が実は忍者じゃないけど忍者と言ってるのと同じか。ん?
「あのさ、力を使いこなすのって戦う必要あるの? アクマってのが感情に反応するんなら精神集中とかの方が効果的なんじゃないの?」
「それもやってる! でも暴走した時ってたいてい暴れて戦闘が起こるから、その時に自分を抑えられるように慣れておく方がいいんだって。あとマヨイミズは倒さなきゃいけないし!」
ふむふむ。
「じゃあマヨイミズ? とやらについては? あれって何?」
「あれは人間の感情のかけらが溜まって形をとったものなんだって」
「なんか抽象的に聞こえるんだけど」
「うん? えーと、こう、生活してるなかでイラッとしたりムカムカしたりしたのが人の多いところだと溜まっちゃって、実体化するんだって」
「それってこの町でだけだよね?」
そうじゃなければもっと有名になってる。
「あ、うん。この町だけなんだって。竹新町の仕掛けで抑えてるー、とか聞いたことあるけど、詳しくはわからない」
まあ新田郡じゃそんなところだろう。
「分かった。他にマヨイミズについて知ってることは」
「えっと。右手で殴れば倒せる。大きくて……形が複雑なほど強い。魔法も使ってくるけど1つ2つくらいで、直接的な攻撃魔法は使ってこない。
人がたくさんいるところには出ない。5、6人くらいまでなら出ないことはないけど、10人以上がいるところに出てくることはない。もし出てきたらすごいやばい奴。
人型のやつにはたまにすごくやばい奴がいるから基本人型からは逃げること。こんなところ?」
「ん、わかった。ありがとう」
物理的な魔法っていうのがどういうものなのか、物理的じゃない魔法ってどういうものなのか不明だが突っ込んで聞くのはやめておいた。誰かから聞いたことをほぼそのまま言ってるだけなのが丸分かりだったから。魔法ってのが何なのかは今後詳しく調べる必要があるな。
「じゃあ新田郡さんの言ってた人のいないところをパトロールっていうのは、人が数人しかいそうにないところを歩いて回ってマヨイミズを探して倒す、ってことでいいのかな?」
「ん? 別に人はいなくてもいいよ。私と井達君でもう2人でしょ?」
「あ、そうか。別に襲われている人を見つける必要はないのか。じゃあ僕たちが人気のないところをあるいてたらマヨイミズが勝手に襲ってくるの?」
「大体そんな感じ」
「分かった。じゃあ、始めようか。まあ僕はついてくだけなんだけど」
「ん、じゃあ出発!」
新田郡の後について町を歩き回る。
これは後々気付いたことだが、マヨイミズは「人の多くいる場所のそばにある」人気のない場所に出ることが多い。感情のかけらがどんなものかはともかく、人の多い場所の方が多くたまるのだろうし、とはいえ大勢の人の前じゃ実体化しないらしいからその近くによく出る。
新田郡はその辺を経験に基づく感覚、つまり勘である程度つかんでいた。すぐに、というわけではないがしばらく歩くと肌に触れる違和感と共にマヨイミズが現れた。
現れるときは液体の様だが、この感覚をまき散らすのが基本なのならばマヨイミズに不意打ちされることはなさそうだ。
「行くよ、見ててね。てぇぇぇえええい!」
新田郡はやっぱり真正面から突っ込んでいった。変わらねぇ。
とはいえ今回の相手は昨日のより明らかに小さい。底面をなくした円錐の側面をギザギザに下から切ったような形で中型犬くらいの大きさだ。ギザギザは素早く伸び縮みするようで、側面のにやはり顔っぽい凹凸がある。
新田郡は足元を狙う相手のギザギザに戸惑いながらも押しこんでいった。マヨイミズは不意に不自然な動きで回転するが、それも新田郡は何とか回避する。
しかし、動き自体はともかく、やはりポジション取りや次の動きの予測がまったくなってない。
「……よし」
確認の意味も込めて、俺はバッグの中から押しつぶした空き缶を取り出した。着替えと一緒に準備してきた。
はっきり言って新田郡は頼りにならない。しかし昨日のように援護できるやつがいればある程度上手く戦うことができる程度ではある。つまり俺が後ろから援護してやればいい。
持ち運びが楽で、投げやすく、数を確保しやすい。その答えがこのつぶした空き缶だ。俺はゴミ箱をあさるはめになったが。
ただ軽くてある程度持ち歩ける反面、ダメージにならないからまったく気を引けない可能性がある。気を取られるのか、無視か。マヨイミズがどのような反応をするか確かめておきたい。
「空き缶投げるから、気を取られたりしないでね新田郡さん!」
用件だけ伝えて投げた。位置取りの関係で、空き缶は新田郡と向き合うマヨイミズに真横から当たった。目に見えてマヨイミズが反応する。
しかし即座にこちらに向かってくるようなことはなかった。「こいつも攻撃してくる敵だったのか!」と気づき、対応を考えているような様子だ。
「せいっ!」
明らかな隙とまでは言えなかったが、マヨイミズは新田郡への反応が悪くなる。数度打ち合うと新田郡は渾身の右拳を突き込み倒した。
「ちょっと、下手に手を出したりしたら危ないよ!」
「え、ああごめん。でも何もしないってのも落ち着かないし、昨日みたいに多少でも力になれるかなと思って」
「落ち着かないのはわかるけど、危ないことしちゃだめだよ。大体空き缶じゃダメージにならないし、万一そっちに向かってったら危ないもん」
「いや、ダメージを与えたいわけじゃなくてさ、むしろこっちに気を取られてくれるんならその分新田郡さんが隙をついて倒せるから安全だよ。さっきみたいに。新田郡さんが相手してくれてるなら大丈夫だよ」
「信じてくれるのはうれしいけど……」
「ね、何度かやってみようよ」
「むー、なんかいいように丸められてる気がする」
しぶしぶうなずく新田郡を強引に促し、次の相手を探し始めた。
一度出た場所ではしばらく出てこないそうで、場所を変えて探すと今度はすぐに見つかった。
大きさは先ほどと同じくらいだが、カマキリのような形をしている。関節や足の位置が変で、顔には相変わらずの凹凸。そして鎌のところが三角形になっている。
「じゃあ、援護するから、どうぞ」
「なんだかなぁ。本当に気を付けてね? すぅ、てぇぇええ!」
一度息を吸うと、やっぱりまっすぐ突っ込んでいった。
新田郡が到着する直前を狙って左右に潰した空き缶を投げる。この缶が当たったところでダメージなどないが、この一瞬では「よけきれない受けるしかない!」と判断するだろう。こういう風に相手の判断を狂わせたり、顔を狙ったり視界の外から不意に当てることで意識にノイズを走らせたりくらいならできる。一介の高校生の身体能力的にできても知識的にできるかは微妙だが……まぁ何か言い訳を考えておこう。
鋭すぎる思考のひっかけとかをする気はないし。
今までより細い相手だったので新田郡は少し苦戦したが、最初から支援したこともあって難なく片づけた。
「大丈夫、新田郡さん?」
「うん、問題なし。そっちも何にもないよね?」
「おかげで大丈夫だったよ」
「そっか」
「どう? 僕がいると強くなってる感じする?」
そう聞くと新田郡は思い出したように答える。
「んー、今のところよくわからない。あ、でも割と早めに2体倒せてる。見つけられるのが早かったからだろうけど」
「それは……何とも喜びにくいね。というかもう2体倒したわけだけど、まだ続ける?」
そろそろ夕日も沈む。真っ暗になるにはまだ時間があるだろうが、高校生としてはそろそろ帰るべき時間かもしれない。
「いつもはまだやるんだけど、井達君が疲れたなら帰ろうか」
「いや、ならいいよ。まだ続けよう。ふと思ったんだけど、夜になったらマヨイミズが強くなるとかないよね?」
「あはは、ないない」
その後もう1体見つけ、倒す。暗くなっても明かりのある場所を中心に探してみたが見つからず、今日はこれで帰ることにした。
「高校生にしてはだいぶ遅い時間だけど大丈夫? 新田郡、一応送って行こうか?」
「いいよいいよ。普段は使ってないからわからないだろうけど、私アクマ使ったらそこらの男の人より力強いもん。むしろ井達君とか、相手が一人でも危ないんじゃないの?」
「あんまり否定できないな」
「送って行こうか?」
「まぁ、さすがにいい。それでで、明日もついてく、ってことでいいのかな?」
新田郡は少し悩む。
「井達君はいいの? 今日はそれほどじゃなかったけど、やっぱり危ないことだよ。少なくとも普通にしてるよりは」
「んー。本当のことを言うと、ちょっと興味もある。なんかよくわからんものがいるって知っちゃったわけだし。新田郡は見ててかっこいいし。後は、まぁ乗り掛かった舟だからかな。強くなるか確かめるんでしょ? ならできることくらいはしたいから」
「ん……そ、そう。わかった。じゃあ、良ければ明日もよろしくお願いします」
「うん。じゃあ、また明日」
夜でも明るいところまで戻って、そこで別れて帰った。
住んでいるアパートまで帰ると途中のコンビニで買った晩飯を食べる。
当然のように一人暮らしだ。両親については適当な理由を里が用意してくれているので周囲にはそれを説明している。
早めに食べ終えるとシャワーだけ浴び、簡易訓練を始めた。
一般人として生活する以上、忍者としての能力を使う機会は少なく、生活を維持するために時間も必要だ。なので短い時間で忍者としての能力を維持できる簡易訓練はとても大切だ。欲を言えば能力を維持するだけでなく、さらに高みに登れるように簡易訓練に費やす時間を増やしたいが、今はそううまくはいっていない。
さらに言うなら食事も偏りなく栄養のいいものを食べ、調理と片づけに時間のかからないものがいいので、いつもは時間をかけない自炊か外で食べているが今日はこの後マヨイミズを探しに行くのでコンビニにした。
簡易訓練が終わった。
時刻は10時前。服は忍者用のものに変え、外は真っ暗なのでそうそう見つかることはないと思うが用心して顔に布を巻いて顔を隠しておく。関わり始めてしまった以上、井達三郎はただの一般人でいたい。
窓を開いて外に誰もいないことを確認すると、窓から跳んでマヨイミズを探しに出かけた。
俺は自分の事を「忍者」だと教えられたし、自分でもそう思っている。けれど昔の日本にいたかもしれない情報戦や暗殺を得意とし、誰かに仕えるあの「忍者」か、と聞かれれば答えはノーだ。つまり忍者というのは俺の所属する団体の構成員を指す言葉で、それっぽいことができるし忍んでいるから自分たちのことをそう呼んでいるだけだ。
じゃあ俺は何なのかというと、「はやさ」を操ることができる異能者の一族の一人、が正しい。知っての通り日本語の「はやさ」には「速さ」と「早さ」の字があるが、両方とも操ることができる。
「速さ」を操れば人間には不可能な速さで移動し、物理的に異常な動きができ常識外れの体術を使うことができる。
「早さ」を操れば異なる視座に立ち、可能性でしかない未来の自分やモノを現在に引き出し分身させることができる、らしい。らしいというのは、俺が「早さ」を操るのが得意じゃないからだ。
その代わり「速さ」に関しては一族でもそれなりの上位にいる自信がある。……潜入や工作ではなく常に強さを磨き戦闘を主な任務にする「本当の一握り」、には……なれなかったけど。あと、高速で岩を殴れば岩も手も砕けるはずなのに手は砕けないから、おそらく何かしらの「早さ」に関する能力も使えているはずなんだが、俺にはピンとこない。投擲物を増やすのが精いっぱいだ。
余談だが、どちらの能力も極めれば極めるほど、本人は能力を理解し他人に説明できなくなるそうだ。感覚の問題で他と比べようがないから言葉の枠に収まる能力ではないのかもしれない。
と、夜の闇を人間を超えた速度で走っていると、例の感覚を感じた気がした。
数人ならいる可能性があるので人がいないことを確かめつつ立ち止まっていると、感覚が強くなりマヨイミズが現れた。今日新田郡が戦ったのよりは大きく、昨日のよりは小さい。
形が落ち着くまで待つと、よくわからん昆虫みたいな姿で唐突に襲い掛かってきた。
一撃目をかわし、高速で背後に回る。速度自体はともかく、加速が早すぎて人間では消えたようにしか見えない動きだったはずだが、マヨイミズは少し止まるとすぐに振り返った。
明らかに後ろにいることは分かった動きだったな。ってことは顔っぽい凹凸に視覚があるわけじゃなさそうだ。反応を見るに一度は見失ったみたいだが。
再び突っ込んで来ようとしたので苦無を4本ほど投げて突き刺した。
失礼な言い方だが、新田郡じゃ投げた腕の振りすら見えないと思う。マヨイミズもまったく反応できずに命中し、吹っ飛んだ。苦無はマヨイミズの体をへこませて刺さり、周りにひびも入っていた。俺の攻撃が効かないということはないようだ。
まだ生きてはいるらしいマヨイミズを無造作に蹴り砕くと、破片はしばらく残っていたがそのうち空気に溶けるように消えた。
コレが何なのかは、自分では調べずに新田郡の後ろにいる人たちから情報を盗みだすことにしたほうがいいかな。新田郡が敵対してるんだし、敵の情報くらいあるだろう。井達三郎にも教えてくれるといいな。
その後数体倒したがそんなに強いわけでもなかったので、いつも通り夜に活動しているやつがいないか探して帰った。