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4話 今度こそはじめまして

「初めまして、俺はバルドゥーク・アヴァラム」

「初めまして、国王様。僕はリテラ・ストロフトと申します」

「リテラ君だね、よろしく」


 こいつが国王!?めちゃくちゃ若いじゃねーか!?しかもイケメン!

 ……でも、なんで顔面の右半分が血だらけで腫れてるんだ?あれ殴られた跡だ。しかもかなり酷く。かなり酷く殴られたのか、戦王ともあろう者が……。


 帰って来たリザルトさんから感じる異常な程の殺気と関係があるのかな?ってか明らかにそうだろう。何したんだろ、国王……。


「国王様、凄くお若いですね。それにカッコイイです……左半分が」

「左半分ってのが気になるけどありがとう。

 右半分はね、暴力執事リザルトがね?」

「次は左半分」


「僕が階段から足を滑らせて顔面の右半分を怪我しちゃってね?もっと酷かったんだけど優しいリザルトがなんとかここまで戻してくれたんだよ?」


 今明らかに脅迫したよね、リザルトさん。聞こえてたからな?次は左半分って言ったの。国王の顔面ボコボコにしたのあんたか。


 しかし階段から落ちて顔の右半分だけに被害が集中するってどんな状況だよ。言い訳が下手くそすぎるぞ。


 うーん、国王から全く威厳や雰囲気を感じないぞ?本当にコイツは戦王とまで呼ばれている男か?ずっとヘラヘラしてるし、部下に殴打されまくってる始末。とても戦王とは思えない。


「国王様は戦王って呼ばれてるんですよね?強いんですか?」

「ああ、強いよ。でも人を殺したりするのが好きな訳じゃない。だから強そうには見えないかもね。

 リザルトは殺戮大好きな残虐非道野郎だったからね、見た目で分かるでしょ?俺は優しいからね!優しさが滲みでてるから分かりにくいんだよ!」

「そ、そうなんですか……」


 国王、今自爆ボタン押したからね?分かってる?リザルトさんの殺気が数倍に跳ね上がったよ?圧力が凄いんだけど。

 顔が怖いよリザルトさん……それ笑顔じゃないよ……。


 確か、前世に居た殺戮大好きなイカレ野郎が戦場で戦ってる時にあんな顔してたなぁ……まだ生きてんのかな、アイツ。


「なんか、国王様には王としての威厳が感じられないんですけど……」

「そうでしょうね。国王様は人望と戦闘以外の能力が皆無ですから。さらにそれに加えてデリカシーも無いし空気も読めません。その上傷つきやすいから扱いもめんどくさい……。未だに計算も出来ない。

 ミスティア様がこの人が好きというのが全くもって理解出来ません」


「…………うぅ……」


 あれ?国王泣いてね?嘘だろ?まさか全部事実なの?

 ミスティアってのは多分王女様のことかな。

 てかリザルトさん言い過ぎだと思う。まだなんかグチグチ話してるし。


「で、でも戦いと人付き合いなら負けない自身がある!」

「そんなに強いんですか?」

「かなり疑ってるみたいだね……見せてあげようか?俺の実力!」

「バル、仕事残ってんだからな?分かってるよな?」


「今日は無理だ。また今度見せてあげるよ!」


 変わり身早いなオイ。そんなに怖いのか……。

 良く見たら脚が震えてる。ビビり過ぎだろ……。


 その後もたわい無い話をしていると、正午を告げる鐘が鳴り響いた。


「おっと、もう正午ですか。

 ではリテラ君、これから国王様はごうもn……仕事をするからそろそろ……」

「あ、はい。お時間を取って頂いてありがとうございました」


 拷問と聞こえたのは気のせいだろうか。いや、絶対に拷問って言った。国王がいきなり顔面蒼白になったからな。


 俺は国王の身を案じながら城を後にした。

 なんとも想像とかけ離れた国王だった。まるでガキだ。 ひと言で言えば非常識だな。自由奔放という言葉がとても似合う男だという印象を強く持った。


 さて、もう少し街を見てからゆっくり帰るかな。


「リザルト……どう思った?」

「リテラ様の事ですか?」

「ああ。あれで5歳は有り得ないと思うし、それに目がな……」

「目がどうかしましたか? 」


「あれはガキの目じゃない。もっとガキの目ってのはどんな奴でもキラキラしてて透明で、まだ浅いんだ」

「浅いとは?」

「瞳の底がだ。まだなんにも知らない、底を濁らせて抉るモノをまだ見た事が無いからだ。例えば、人間の死や腹黒さだな」


「では私たちはかなり濁っていますな。底も深いでしょう」

「ああ。そして濁りは混ざって濃くなり真っ黒に染まる。 まあ、そんな奴はごく1部しかいないがな」

「で、リテラ様はどうだったのですか?」


「底が無かった。それに瞳は濁ってなんかいない、ひたすら透明だった。最初、人間かどうかすら疑ったよ。人の形をした別のナニカだと思った。それほどあいつの目はおかしかった」

「……リテラ様が5歳だとは私も思えません。一体何者なんでしょうか?彼は」


「さあな。本当の天才か、なにか余程の事情があるか、人間じゃないか。そのどれかだろう」


 バルドゥークが戦王と呼ばれるまで武勲を上げる事が出来た理由は3つある。


 一つは勿論、純粋な戦闘能力だ。

 彼は昔父から毎日厳しい戦闘訓練を受けていて、生まれ持っていた戦闘の才能と、努力によって手に入れた技術や力を併せ持つ事によって、一騎当千に値する程の戦闘能力をその身に宿していたのだ。


 二つ目は、その情報力。

 その明るい性格からか、彼について行こう、彼の力になろうと協力を申し出る者が大量に居た。

 しかし彼は優しい男だ。自分の為に他人が傷つく事を望まず、ほぼ全て断っている。

 だがそれでも折れない者は居る。そのような人はどうしてもついて来ようとするので、ならば情報を自分にくれ、それだけでも助かるから、と説得するのだ。


 そして最後に、その観察力。

 彼が今まで色んな戦場で生き残れたのは7割がその観察力のお陰である。

 しっかりと戦況を把握し、どうやったら生き延びる事が出来るか、最善手を見つけ出しひたすら勝ち続けた。

 避けられない、強者との対決でも勝ち続けた。

 その凄まじい動体視力と観察力から、相手の行動全てを読み切り、1度見た技は必ず対策を作りすぐさま対抗する。

 そうして死を免れていた。


 凄まじい観察力から、国王はリテラが普通の人間とは違う事を見抜いていた。



「凄かったな国王……軽く会話しただけで俺が普通じゃないと気付いたみたいだもんな。

まあ精神だけがおっさんなんて分かるわけ無いだろうがな。

もう少し5歳児らしく行動しないとな……」


 リテラはそれに気付いていた。

 リテラもまた、前の世界ではバルドゥークをも凌ぐ観察力や洞察力でのし上がり、世界最強とまで言われた男だ。 気付かない訳が無い。


「まあ少しおかしい事に気付かれたくらいでどうなるわけでも無いだろ。

 気楽に行こう、気楽に……」


 そう呟きながら5歳児のおっさんは森の中をのんびり歩いて行った。

まだ先ですが、バルドゥークの戦闘なども書きたいと思っています。楽しみに待っていて下さい。

次はリテラの初戦闘を予定してます。

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