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2話 はじめまして……?

「おお……ここが王都…」


 普段俺や家族が住んでいるのは王都から少し離れた森の中だ。そこに屋敷を建てて住んでいる。

 理由は、お父様が修練するのに自分専用の場所が欲しかったらしい。それと、お母様が森の中の静かな場所でゆっくり暮らしたいと言ったかららしい。

 俺もたまに森の中を散歩したりするが、適度に日が通って動物も住んでおり、近くには水の綺麗な川もあった。

 実際にいい所だし、気に入っている。


 俺は今、森を離れて初めて王都に来ていた。国王が俺を見たいとお父様に言ったらしい。

  まあ、どうせ興味があると言うよりお父様が俺の事ばかり話してうるさいから1回会ったらお父様も多少は静かになるだろうとかいう魂胆だろ。

 いずれ国王とは会うとは思っていたがなかなかに早かったな。


 しかし王都……人が多いな。店もたくさんあって繁盛してるみたいだし、商人や騎士みたいな身分の高そうな人間も少なくない。しかし歩き方から分かるがあんまりあの騎士は強くない。まだ修業中ってとこか?


 そのへんはいいんだが……気になるのは建物だ。いろんな時代の建物が入り乱れてるな。木造のものから石造、近代的なモノからビルまである。

 いくらなんでもバラバラすぎるぞ。一体どうなってるんだ?


「あ、ねえそこのおじさん」

「ん?何だボウズ」

「あの高い建物は何なの?」

「あれはエルフっつー種族の作ったモンだ。俺も知ってるのはそのくらいで中とかは知らないな。興味あるのか?ボウズ」

「僕このあたり初めて来たからあんなの見たこと無かったからビックリしたんだ!」

「そうかそうか。ガッハッハ。

 王都はいい所だぞ!食いもん美味いし犯罪も少ない!商売もしやすいしな!戦王様のおかけだ!

 人が多いから迷子になるなよボウズ!ガッハッハ!」

「うん!ありがとう!」


 おっさんは俺の頭をポンポンと軽く叩いて人混みに消えていった。

 いいおっさんだったな。こんなガキ相手にもきちんと教えてくれた。あれは商人だろうな。

 俺の服はただのガキにしては豪華だからな。こんな服じゃなくていいんだが……

 まあ、それを見てオッサンは俺を身分の高い人間だと考えたんだろう。そう考えたら便利か?


 にしてもエルフか……かなり高度な文明を持ってるみたいだな。

 もう少し歳をとったら是非エルフに話を聞いてみたい。

 今すぐ聞きたいが、まだ俺は5歳のガキだ。相手にしてくれる訳がないからな。


 さて、そろそろ城に向かうか。

 修行の内だと王都の入口に一人で放り出された時はびっくりしたが、城はデカくて分かり易いしこれだけ人がいれば犯罪も起きないだろうな。

 それにしても城デカすぎだろ。エルフのビルがちっさく見えるんだが。

 一体どんな奴なんだろうか?戦王……


「すいません。国王様に会いに来ました」

「おい、ガキ!何言ってるんだ、とっとと…」

「バカ野郎。子供でもお客様に変わりは無いだろう」


 門の前には2人の門番がいた。若い男と初老の男だ。若い男は俺が来ているのをイタズラかなんかだと思っているみたいだが初老の男はきちんと対応してくれるみたいだ。

 どうやら若い男はバカだが初老の男はきちんとした人みたいだな。子供大人に関係なく等しく接する人間は話が分かる人間だ。バカは放っておいてこの人と話そう。


「バカが申し訳ありません。ご用件は国王様への謁見でございますね?その理由と貴方の名前、身分を確認させて頂きますが宜しいでしょうか?」

「構いません。私の名前はリテラ・ストロフトです。身分は─」

「ストロフト家のご子息様で御座いましたか。身分は結構でございます。その代わり、ストロフト家の者という証拠をお見せください」

「ストロフト家!?第一貴族じゃねぇか!……御無礼申し訳ありません!」


 バカもただのバカじゃないみたいだな。まあ身分を聞いただけで対応を変えてるぐらいじゃまだまだだ。

 上級のバカぐらいだな。


 えっと、身分の証明か…

 確かお父様が城に入るときはこれを見せろと指輪を渡してくれたな……はめてるんだけどこれを見せればいいのかな?


「大丈夫ですよ。あと…身分の証明はこれでいいですか?」

「……確かに第一貴族専用の指輪ですね。リテラ様と認めさせて頂きます。数々の無礼、御容赦下さい」

「これが貴方の仕事なのですから大丈夫です。もう中に入っても?」

「構いません。どうぞ」


  2人が横によけ道を開ける。よし、行こうか。

 でっかい門だね、しかし。

 城自体は近くで見るとホントに凄いな……一体何年かけて完成させたんだ?これ。

 多分前の世界でもこのクラスの城を造るなら20年はかかるだろう。

 これ国王様何処にいるか分かんないよ、絶対。まさか虱潰しに探していけと?嘘だろ?

 あ、誰か出てきた。執事の人かな?燕尾服着てるし。


「リテラ・ストロフト様ですね?私執事長のリザルトと申します。国王様から貴方を案内するようにと命じられましたので、貴方を国王様の元に案内させて頂きます」

「有り難うございます。丁度迷うんじゃないかと思っていたんです。宜しくお願いします、リザルトさん」

「では行きましょうか。……リテラ様、1つお聞きして宜しいでしょうか?」

「はい。なんでしょう?」

「貴方は本当に5歳ですか?」


 あー……やっぱそれか……まあ例え貴族だとしてもおかしいよね、俺。

 5歳でめちゃくちゃ礼儀正しくしてりゃそう思うよな……


「そうですよ?」

「国王様に負けず劣らずといった感じですね……」

「え?何ですか?」

「あ、いえ、何でもありません。じゃあ行きましょうか」


 国王、どんなゴツいジジイなんだろうか……。やっぱムキムキだろうな。戦王とか言われてるんだから。


「このあたりはどんな部屋があるんですか?」

「あそこの部屋からこの部屋までは全て食物庫です。ここからあっちまでは宝物庫で、あっちからあそこまでは──」

「あ、もういいです…」

「そうですか?あ、国王様は多分執務室で仕事をしておられますよ」

「働き者なんですね、国王様は」

「仕事ができる代わりに身の周りの事は一切出来ませんけどね……」

「典型的な仕事大好きな人ですか?」

「仕事と言うより、やりたい事だけやる、みたいな人です」

「子供みたいですね」

「ハハハッ!子供の貴方がそれを言いますか!やはり貴方は他人とかけ離れた才能をお持ちのようだ」

「滅相もない……」


 実際に色々かけ離れてるんだけどな。見た目ガキだけど中身40のオッサンだからね。子供じゃないんだよ、本当は。

 まあそれを今言っても意味無いし言うつもりもないけど。

 しっかし広いね城。何回広いって言ったかな俺?かれこれ10分だよ?これだけ広いと逆に不便だよね。


「着きました。ここが国王様の執務室です」

「案内有り難うございました」

「いえいえ。ではどうぞお入りください」


 さあ、ご対面だ!

 リザルトが扉を開けてくれた。


「こんにちは国王様……あれ?」


 国王はそこに居なかった。

 窓から涼しい風が入ってきていた。

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