「ぷろろ~ぐ」だよ♪
この作品はかって知人と書いていたリレー小説になります。
私が最後に書いたところで止まってしまっている為、ハンパな形なのですがしまいっぱなしも勿体ないかなと思って知人の許可を経、公開することにしました。
現状、書きかけの作品が貯まってますので続きを書くかは未定ですので、その辺りご了承下さい。
戦乱の時代は過ぎ、いくつかの公国に分かれて戦いに明け暮れていたバルファレナ大陸は稀代の英雄と言われたパレシフィラー一世により統一され、人の住めぬほど寒い北端の一部を除き『サレンディア王国』として平和の時代を迎えた。
旅の詩人達はかの王を讃え、歌にして糧を得、その名は大陸のみならず、世界にとどろいたのである。
それから、二百数十年。国家は安定し、地続きである隣大陸からの小規模な侵攻を受けることもしばしばあったものの、王国の誇る騎士団の1つ『藤騎士団』によって全て阻まれた。王国には八つの騎士団があり、その名には騎士団長の家の家紋を冠する風習がある。
藤騎士団はその名の通り藤の花を盾に紋章として掲げ、『国の盾』の異名を持つ偉大な騎士団長が率いる王国最強の騎士団である。騎士団長は滅多に市井には姿を見せず、隣国の侵攻をにらむ難攻不落の城塞『グヴァン・ヘイル』の中から殆ど出ずに執務や軍事演習を行うだけの日々であるため、姿を直接見られるのは大隊長クラス以上の上級騎士に限られ、グヴァン・ヘイルより王国の中心側にある大都市をはじめとした国内全体の庶民の間に騎士団長の容姿に対する様々な憶測が飛び交っている。
有力なのは三つほどで、若い女性が中心となって支持する「目鼻立ちの通った『美男子説』」、「それを快く思わない男性による『化け物のような大男説』」、最後に「案外普通なんじゃないかという他者からはつまらないと言われる『実物はこんなモン説』」。
実際に騎士団長を見たことがある上級騎士や王族、高級文官達はこの手の憶測に対して複雑な表情を持って返し、それがさらに憶測による想像に拍車をかけるのだが、特に規制するわけでもない。
巷で話題となっている騎士団長の容姿を知る機会に恵まれる……幸運かどうかは微妙な、少数の一般市民出身者は身内からこの真相を訪ねられるのは間違いないものの、本当にごく少数であるためか、真相は伝わらない。
この謎に包まれた騎士団長の素顔を初めて知る市民出身者の中に一人の若者が居た。名前をヴァルク・ボルフェイケン。年は18歳で、新たに配属される先は藤騎士団の副団長であった。
異例の抜擢であったのは言うまでもない。年は若く、貴族の出身ではないから家柄などというものも存在しない少年が、国でも重要度の高い藤騎士団の副団長になるなどと言う人事は、大臣三人のうち二人がそれぞれ別の独創的な表情で固まったほどのものであった。
一人だけ、にこにこと笑って居た大臣が居たが、彼はこの人事を提案したその人であったのだから驚くはずもない。
あまりの驚きに二人の大臣が反論もできないまま、人事は執行されてしまい、ヴァルクは騎士見習いを卒して二年で副団長になった。