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35話 異世界勇者の実力と生き方。


 俺は、ソファに座る、超越者(アブソリューター)の表示を戴く墨桐ニカとやらに、注文通りコーラを差し出す。

 墨桐はありがとう、と受け取って、その正面の椅子に座った俺を見ながら微笑んだ。


「さて、何から話してほしい?」

「……そうだな、質問の数が限定されてるなら要所から聞くが、いくらでも質問をしていいならまた質問が変わってくる。順番に聞きたいことを聞いて行ってもいいか?」

「ええ、いいわよ。これからお世話に、そして仲良くやって行こうと思ってる相手だもの。疑問は出来るだけ解消したいと思ってるわ、あたしも」


 もう既に資料室メンバーに入った気でいるのか、墨桐はいい笑顔で言う。

 ソファの両サイドにはアリシアと魔王が興味深そうにその様子を眺め、俺の後ろではマイ・マスターハルカゼが俺に隠れるようにして座っている。ああ、多分こういう騒がしい相手は苦手なんだろうな、ハルカゼ。

 質問役としても交渉役としても一番最適であろう俺が、質問を投げることにする。


「じゃあ、言葉に甘えよう。最初に、確認しておきたい。……墨桐、お前は何者なんだ」

「結構核心から来るわね。答えるけど。一番シンプルに答えるとするなら、葛切先輩と同じ、っていうのが答えになるかしら?」


 ――俺と同じ。

 まあ、確かに、レベルもクラスも俺と全く同じ、レベル255の超越者(アブソリューター)である。


 ――超越者(アブソリューター)

 文字通り、人間の限界を超越した存在である。

 一般的に人間の技能の限界は、どれだけ自己を研鑽したとしてもレベル99で止まることが異世界の常識であった。プロフェッショナルと呼ばれる人間の殆どは、寝食を忘れて没頭し続けたとしてもそこまでしか自己を高めることが出来ず、事実上の人間の上限とされているのがこのレベル99であり、そこまで到達した者を限達者と呼ぶ。

 だが、突然変異なのか、幸福の女神が微笑んだのか、その限界を突破する者が存在した。

 俺の居た異世界では三人……魔王を人としてカウントするならばだが、その三人だけが異世界史上で存在が確認された超越者(アブソリューター)とされている。

 これも、情報網がそれほど発達していない異世界だったから、絶対の数字ではなく、純粋にその三人が有名な超越者(アブソリューター)であったというだけだろうけど。


 恐らく、俺が異世界に召喚されたのは、その超越者(アブソリューター)の素質を備えていたからだと俺は思っている。事実、異世界で行った努力はどれも実を結び、最終的にその上限にまで達するレベル255を達成した勇者として俺は魔王に対する最後の希望として剣を振るっていた。


 それと同じ、ということは。


「……ああ、お前……もしかして、俺と同じ異世界召喚者か」

「ご名答! やっぱりね、あたしがそうだから、きっと葛切先輩もそうだと思ったわ」


 朗らかに言葉を返してくる墨桐に、俺は少しだけ眉根を寄せた。

 ……おい、本当かよ。こんなにゴロゴロいるものなのか、異世界に召喚されたやつって。

 しかも、こっちの世界に帰ってきて、普通の生活送ってやがるとは。俺が言えたことじゃないが。


 そして多分、俺が召喚された世界と、墨桐が召喚された世界は違うだろう。

 世界に三人だけ確認されている超越者(アブソリューター)の中に、墨桐なんて名前はなかった。

 以前俺達が相手をした『願望器』という名前の『世界の危機』が、俺が召喚された異世界とは別の異世界から来た危機であったように、墨桐が召喚された世界もまた別の異世界なのだろう。……そして、その世界で、墨桐は俺と同じように勇者となったのだという。


「中学二年の冬だったかしら、あたしが学校から帰ろうと歩いていたら、いきなり空中に穴が開いて吸い込まれたの。気付いたら、全然知らない土地で、死ぬほどびっくりしたわね」

「ああ、そりゃ……まあ驚くよな」


 ……俺の場合は、その後すぐにガッツポーズだったけど。

 ようやく俺がずっと望んでいた異世界の召喚に巻き込まれることが出来たと、大声で喝采を叫んであちらの召喚士達をドン引きさせたくらいだから。まあ、喜べたのはそこまでで、そこから一ヶ月余り、思い出すだけで胸の奥から熱いものがこみ上げるような地獄の日々が始まるのだが……。多分この熱いものの正体は胃液だと思う。


 だが、ということは、墨桐は俺より早く召喚された先輩ということになる。

 しかも、勇者としてのレベルは対等、人間の限界すら超越したレベル255の勇者であるのだから、俺はもしかしたら凄いやつを招き入れてしまったのかもしれない。


「で、そこからはきっと同じような感じだったんじゃないかしら。国の手厚い保護を受けて、元から持ち合わせていた優れた才能で、その世界に平和を齎すために人々の先頭で道を切り開いたわけよね。やっぱり、ああいうので呼ばれる人間っていうのは、元々そういう素質のあった人間みたいだから、なんか悪い気すらしたわよね」

「……ああ、まあそうなるな」


 こいつ……簡単に人のトラウマをほじくり返してくれる。

 他人に勉強を教えるときに「何で分からないのか分からない」とか平気で言い出すタイプの人間だな……。

 お前……死ぬほど努力しても全然思い通りに行かず、こちらの世界で死んだような生活してたころの何倍も努力してようやく世界を救いかけたところまで行ったっていうのに。


「ああ、じゃあお前は、その世界の魔王を倒したのか?」

「そっちも魔王だったのね、倒したわよ? 楽勝だったわ。魔王なんて所詮勇者の前ではあんなもんよね、げふぅ!」


 言葉の最後が苦悶の声になり、脇腹を押さえて墨桐がソファに蹲る。

 その隣で額に青筋を浮かべた魔王が、脇腹に突き刺した自分のチョップを素振りしながら歯をギリギリと鳴らす。


「ちょっと! 女の子がげふぅとか言っちゃったわよ! 何この子!? えっ!? 何そのクラス魔王(サタン)って、そんなのあるの!?」

「……言いにくいんだが、俺が召喚された異世界の魔王だよ、そいつ」

「えっ!? こんなちっちゃい可愛い女の子が!? またまた、冗談でしょ? 第何形態よこれ、げふぁ!」


 再び脇腹にチョップを加えられて、墨桐が悶絶する。学習能力ゼロかお前は。


「勇者よ、この者に余が手ずから魔王の恐ろしさを教えてきて良いか」

「もうちょっと聞きたいことがあるから我慢しろ。それが終わったら煮るなり焼くなり剥くなりしていいから」

「何で交渉成立してるのよっ! 先輩勇者なんでしょ!? 魔王と仲良くしてるのおかしくない!? なんで倒さなかったの!?」

「――前言撤回する。今やっていいぞ」


 同時に、俺とハルカゼのトラウマまで刺激してくる墨桐は、魔王に襲い掛かられて脇腹をくすぐられ、いひゃひゃひゃ、と笑いを零す。俺の後ろでハルカゼがドン曇りしているのを見て、俺はその頭を撫でる。そうだよな、知らなかったんだもんな。

 一通りあちこちをくすぐられてぜぇぜぇと息を吐く、俺とは違う異世界に飛ばされた勇者に再度尋ねる。乱れた服を着直しながら息を荒げる姿が妙にエロい。流石超越者(アブソリューター)だ……。


「そうか……じゃあ、お前は魔王を倒してこっちの世界に戻ってきた、その異世界の勇者なんだな」

「そ、そうね……それで正しいわね。どれくらいあたしの異世界とそちらの異世界が同じだったのかは知らないけれど、話を聞いているとそんなに大きく違わない世界だったみたいよね。視ろって言っただけで、相手のレベルやクラスも分かったようだし」

「勇者としては基本のスキルだからな。俺も最初に覚えさせられたよ」


 実力が未熟である内は、出来るだけ生存率を上げるために相手の実力を推し量るそういったスキルを優先的に身につける必要があったからでもある。同じように相手のレベルを見ることが出来る墨桐は、俺の額の辺りを見て頷く。

 その様子を見て、少しだけ話が見えてきた。


「何で俺達のことを知っていたのかとか、『世界の危機』を相手にしてるって知っていたのかも聞こうと思ったんだが、そういうことか。元々レベルが見えてたなら、同じクラスのハルカゼがレベル99の高位魔術師ハイ・ウィザードであることはお前も知ってた訳だ」

「ええ、そうね。もちろん知っていたし、もしかしたらハルハルはあたしと同類なんじゃないかって思ってた。で、声を掛けようと思ってタイミングを伺ってたんだけど、中々話すきっかけがないし、授業が終わったらハルハル、すぐどこかに行っちゃうから」


 それで三ヶ月も声を掛けあぐねてたお前から、何か俺と同類の匂いがするぞ、墨桐。

 片や知り合いだと思っているけど、片や少し話しただけと言い切られてしまう、お前から、同類のコミュ障の匂いがするぞ、墨桐。

 そんな、俺が勝手に抱いた同属意識など知らずに、墨桐は指を立てて言う。


「で、ついこの間、ハルハルのことを追いかけて見ようと思って跡をつけてたんだけど、ハルハル真っ直ぐ帰らずにこの教室で秘密の会合してるじゃない。しかも紅茶まで入れてもらって、まるで女王様みたいな感じになってて、うわ、ハルハルすげーと思ってずっと見てたの」

「お前、それ、完全にストーカーだと思うぞ」

「こ、怖いです、セトさん……」

「何でよ!? ちょっとお友達になろうと思った可愛い乙女心って言って!? でね、結局それを五時半まで見てたんだけど――」

「お前、それ、完全にストーカーだと思うぞ!!」

「こ、怖いです! セトさん!」

「ち、違っ、たまたま! たまたま友達とかと遊ぶ用事なくて暇だったからずっと見てただけで、別にいつもは忙しくしてるし、偶然だから! ちょっとやめて、変な子を見るみたいな目で見ないで!?」


 最後の授業が終わるのが三時から四時だとしても、一時間近く資料室の外から中見てるのは完全にストーカー以外の何者でもないだろ。

 そして必死にしている言い訳の中で、俺は墨桐から若干のぼっち臭も探知していた。友達が多いやつは友達なんて単語会話の中で使わないよな。なんだこの徐々に湧いてくる墨桐への親近感。


「で、でね? そのとき後ろから葛切先輩の姿も見てて、レベルとクラスがあたしと全く同じだったから、ああきっとこの人はあたしと同じように異世界で冒険して帰ってきてるか、もしかしたら異世界の住人でハルハルに召喚された人かなって思って……勇気を出して声掛けてみようと思って、その、入部届書いてきたんだけど」

「成る程な……」

「『世界の危機』とかもそのときにチラッと耳にしてたから、大体そういう感じのことしてるのかなって。そしたらきっと、あたしだって別に強くないわけじゃないから、力になれるかなって……友達になれるかなって、思ったというかなんというか……」


 ……本音が出たぞこいつ。

 恐らくだが『世界の危機』とかはどうでも良くて、単に友達がほしいだけのぼっちがそこに居た。レベル255のぼっちがな。

 ただ、俺はそれを笑うことは出来ない。勇者とは、いつだって孤独を感じているものだということを、俺自身も知っているからだ。同じ苦しみや辛さを知る墨桐のことを笑えるだろうか、いや笑えない。思わず反語で言う程笑えない。


「ダメ、かな……? 仲間に入れてもらうの、って」


 恐る恐るといった感じで、墨桐が指と指を絡ませながら言ってくる。

 俺はハルカゼを振り返ると、ハルカゼも少しだけ迷っているらしく、小さく首を傾げていた。

 ぼふん、と墨桐の隣で深くソファに座り直した魔王が大仰に口を開く。


「いいではないか。特に理由や意味を以って集まっているわけではないのだからな。何よりこの者、非常に余の食指をそそる」

「なんかこの幼女怖いよ、先輩! なんで手をわきわきさせてるの!?」

「犬コロの反応が夏バテで鈍くなってきた今、新しい玩具が補充されることに何の反対意見があろうか」


 賛成票が一票入る。そのままソファの反対に座っているアリシアに視線を動かす。

 ……やたら静かだと思ったらこいつ大口開けて寝てやがる。完全に捲れ上がったスカートから鍛えられてスラリと伸びた太ももがむき出しになっていて、空間に不釣り合いに生々しい。慎みの欠片もないその格好から視線をそらし、俺は無効票を一票増やす。


「そ、その……墨、桐さん」

「何かね、ハルハル!」

「あ、あの、その、結構危ないこともしてるから、私達……きっと、墨桐さんも危ない目に遭っちゃうんじゃない、かな」

「いいよいいよそれは、慣れてるし。それにね、あたしこれでも結構やるんだよ。こっちに戻ってきたときにヘアピンになっちゃったけど、あっちで勇者しか使えない『聖杖(セイジョウ)』なんか使っちゃったりしてね」


 そっちはヘアピンなのかよ。俺の胸に挿さったシャーペンが、僅かに青く光る。

 墨桐は自分の前髪に着けていたヘアピンを取ると、手のひらの中でくるりと回した。


「……っていうか、お前、自分の得物こっちの世界に持って帰ってきたのかよ。魔王を倒したからって異世界の特別な武器はあっちに置いておくべきなんじゃないのか!?」

「んー、まあその辺は色々事情があってね、大丈夫でしょう」

「何だその軽い理由は……」


 その辺については、突発的にこっちの世界に呼び戻されてしまった俺がとやかく言えることじゃないが。

 シャーペンへと成り下がった人格を持った神剣『セーナトゥーハ』も恐らく同じことを思っているだろうことが無言から伝わってくる。仕方ないだろうが、俺がお前を巻き込んだのは。

 アリシアの胸ポケットにも『クァグラム』が挿さっており、その二振は『ヨツンバルド』『メルガルフ』と併せて四神剣と呼ばれた、あちらの世界の命運を握った四振の神剣だった。今は完全に文房具だけどな。


 俺は、墨桐の手のひらの上に乗っているヘアピンを見ながら尋ねようとすると、セーナの声が被ってくる。


『……異世界の神具か。我としても興味があるな』

「えっ、何この渋い声、誰?」

「……俺のな、異世界での武器だよ。今はまあ、シャーペンだけど、元は有人格剣インテリジェンスソードで、簡単に説明すれば喋る剣だったんだ。今は完全に喋る文房具だけどな」

『神剣で在りしころの名を、セーナトゥーハと言う。最近はボールペンがドイツ語で『クーゲルシュライバー』という名であることを知り、何故ボールペンに転生出来なかったのかを悔やむ日々である』


 初耳だし意味が分かんねえよ。一生悔やんでろシャーペン。


「あー、そうなんだ、そっちの神剣も喋るんだ。うちの子も喋るよ。今はヘアピンだけど、元は聖杖『フラッズフラット』っていうんだけど……起きてるかい、フラットさん?」


 こんこん、と墨桐は自分のヘアピンを叩く。

 墨桐のぼっち感によって非常に切ない()に見えるが、恐らく俺がセーナを通じて誰かと会話をしてる方がイタく見えているのだろうと思うと胃が痛んだ。


『………☆』


 女性の声のようなものが聞こえて、俺はヘアピンに耳を近づける。


「――まあ、でもうちのフラットさん、あたしも何言ってるか全然分かんないんだけどね」

『……死体ごっこしようか☆ フラットが死体役で、お前が死体な』


 意味の分からない言葉が聞こえて俺は思いっきりのけぞる。


「うわああああ!! なんだこいつ!!」

『……!! 脅かすなッ……!!』


 あ、珍しくセーナまで驚いて、さらに引いてる。いや、というか、これは誰でも引くだろ。

 ヘアピンは俺達がドン引きした後も『右くるぶしの骨を取り出してすり鉢で丁寧にすり潰す☆』だの『寝ている間に肩甲骨の裏から入ってくる虫の名前って知ってる?』だの『腎臓が良く降ってくる金曜日にしか会えない恋もある☆』だの本気で理解を拒む発言を繰り返す。


 うわあ、怖い怖い!!

 何だよこの杖の人格!!


「全く会話が通じないところ以外はいい子なんだけどねー」

「会話が通じねえならインテリジェンスの意味ねーだろ!! 知性の欠片もねえ!!」

『一時でも同類と思って顔を出すべきではなかった……!!』


 ドン引きする一人と一振をよそに、えー、可愛いのに、と自分の前髪にヘアピンを戻す。

 流石にここまでの破綻した人格を持った得物は異世界にも居なかった。セーナとグラムはもちろんのこと、グラッドとシンラの神剣の人格も会話くらいは普通に出来るのに、何なんだこのフラットとかいう人格。神様残酷過ぎるだろ。



「でも、まあ、ハルハルの言いたいことも分かるよ、あたし」


 自分の前髪の位置を直しながら、墨桐は俺の背中の後ろにいるハルカゼに向けて言う。


「実際、あたしも異世界では勇者って言われてたから『世界の危機』を相手にするっていうのが、どういうことかは良く知ってるつもりだし。ほら、あたしって結構ノリ軽いから、どれくらいの決意を以って来てるかとか、伝わってないと思うからさ」


 墨桐はフラットさんを指で弾きながら立ち上がる。

 そして今度は俺の方を見て言葉を投げてきた。


「――実際、あたしがどれくらい強いのか。どれくらいの力があるのかを、見て判断してもらっていいかな。丁度……同じレベル、同じクラスの先輩がいるんだしさ。……それから、メンバーに入れてもいいかを決めて貰いたいんだ」


 俺は、大きく嘆息をする。

 どれだけ自信があるのかは分からないが、恐らく墨桐の中では俺達のメンバーに入れてもらうことは絶対の決定事項らしい。

 ハルカゼも恐らく、墨桐自身がそれだけの覚悟を持っているなら、勝手に巻き込まれるのを止める程の拒絶はしないだろうし、既にメンバー入りは決まっているようなものだ。

 だが、一応相手がどのくらいの実力を持っているのか、計っておく必要はある。レベル255を指していても、そのレベルが全てではないことは俺は異世界で良く知っていたから。


「別に俺はいいけど……やられても泣くなよ、お前」

「そっちこそ、結構あたしも、同類として期待してるんだからね、先輩」

「……この資料室とかけて」

「えっ!? は!? えっと……!? 召喚された勇者の過酷な生き様ととく……!?」


 急な無茶振りに対応する墨桐。

 ああ、やっぱり、こいつ本気で面白い……。好きになってしまいそうなレベルの芸人魂だ。

 しかも急に振ったとはいえ、スゲー重いもので『といて』きたな。


「その心は?」

「えっ!? ほこりがあるので、ふこうとおもえない、っていきなりなにやらせるのよっ!?」


 上手ぇ!? 何だお前のその期待されたらどんな無茶振りにも応える安定感!?

 俺は戦いを前に負けた気分を味わいながら、肩を怒らせて部屋を出て行く墨桐の後を追った。


 ……俺本当にやばいわ、もしかしたら墨桐ニカという芸人にハマりつつある気がする。

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