魔女の城 3
「あっはっは! まったく……モニカの言う通りにしてみたらこれかよ? ったく、もう少し頭使ったほうがいいんじゃねぇの?」
クリスタは私達を見て嘲笑った。
どうやら、私の不安は完全にそのまま現実となったようである。
「ホントはこういう待ち伏せみてぇなことはしたくねぇんだけど……ま、戦えるならなんでもいいや。ほら、とっととかかってこいよ。全員ちゃーんと断罪してやるから」
嬉しそうにしながらカタナを抜いてクリスタは片目を光らせる。
どうする? 戦うにしてもあまりに多勢に無勢だ。
逃げるにしても果たして逃げ切れるかどうか……
「シャルル」
「え? な、なんだ? アルドンサ」
アルドンサの声が聞こえた。
私はアルドンサの方に顔を向ける。
すると、アルドンサはなぜか笑っていた。
柔らかな微笑を湛えて、笑っていたのである。
「アルドンサ……君、まさか……」
するとアルドンサはニッコリと微笑んだ。
「シャルル。私は……お前と出会えて本当に良かったと思っている。そりゃあ、本当は将来を誓い合った仲だ。お前とずっと一緒にいたい。だけど……」
「や、やめろ。アルドンサ。まだ何か方法が……」
「ふふっ。シャルル。お前は本当に優しいな。だが、お前には生きていてもらわなければならない。それに、お前とともに行くのはマリアンナだ。この国を救うにはマリアンナとお前の力が必要なのだ」
「アルドンサ……」
そういうと、アルドンサは私達の前に出て、腰の剣を引き抜いた。
「聞けッ! 断罪人共! 私はアルドンサ! アルドンサ・カルリオン! 誇り高きカルリオン公爵の一人娘にして、この国を救済する騎士であるッ! 断罪人共! 私が相手だ! 掛かって来い!」
「あ……アルドンサ……」
私が呆然としているときだった。
いきなり私は手を引っ張られた。
「なっ……マリアンナ! や、やめろっ! アルドンサが……!」
しかし、マリアンナは何も言わなかった。
そのまま無言で私を引きずって行く。
「アルドンサ……アルドンサぁぁぁ!」
私はただ、遠くなるアルドンサの姿を見ていることしかできなかった。




