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敗者の旅路 5

「というわけで、僕とシャルルの二人がこの部屋に泊まることになったからな!」


 屁やに戻るなり、国王は意気揚々と、部屋に残っていた三人にそう言い放った。


「……はぁ?」


 アルドンサがすぐに顔をしかめる。


「お前……何を言っているんだ?」

「なっ……お、お前とはなんだ! カルリオン!」

「ふんっ。お前は既に王ではないのだ。王でないお前など、ただの子憎たらしいガキと変わらない。どう呼ぼうが勝手だろうが」


 アルドンサにしては、随分と容赦のない物言いである。

 すると、言われた国王の方は私の方に振り返って目に涙を貯めていた。


「シャルル……カルリオンがいじめるぞ……」

「え……アルドンサ。そ、そのなんというか……」

「シャルル! 貴様はコイツの味方をする気なのか?」


 ピシャリと、アルドンサはキツイ口調でそう言い放った。


「み、味方をするというか……か、可愛そうだろ? さすがに陛下だって、革命で国王という身分から一気に転落しちゃったわけだし……」

「可愛そう? コイツの自業自得だろうが! コイツが国を治める気がないから、革命なんかが起きたんだ!」


 アルドンサは私を睨んでいる。

 どうしたんだろう……やはり、いつものアルドンサらしくもない。


「大体! マリアンナとエリスはどうするんだ! おい、お前達! お前達だって、この部屋から出て行けといわれたら困るだろ!?」

「いや、別に」


 アルドンサの問いかけに、マリアンナは素っ気無くそう答えたので、アルドンサは拍子抜けしてしまったようだった。


「ええ。別によろしいですわよ。ワタクシ達は」

「なっ……い、いいのか?」

「ああ。そういうことなら、シャルル。私達は外にいるからな」


 そういって、二人の断罪人はそのまま扉を開けて外に出て行ってしまった。

 毎度のことだとは思うが……断罪人の行動というのはまったく予測不能である。


「……くっ! 勝手にしろ!」


 そして、アルドンサもそれに続くように、部屋から出て、乱暴に扉を閉めてしまった。

 うぅ……なんだか不味いことをしてしまったような……後でアルドンサにしかるべき形で謝罪をしなければならないだろう。


「……はっはっは! これで邪魔な奴らはいなくなったな! シャルル」

「え? あ、あはは……」


 国王は嬉しそうにそう言うと、ベッドの上に飛び乗り、なぜかワクワクした目つきで私を見ていた。


「さぁ、シャルル。僕はお前に興味が出てきた。お前の話をゆっくりと聞かせてくれ」

「え? わ、私の、ですか?」

「ああ。そうだ」


 そういってニコニコとしている国王。

 まったく……自分の国が革命の憂き目にあっているというのに……どうやら、この国王は見た目通り、その精神もどこまでも子どものようであった。

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