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死神と愚者の旅 ~黒いシスターと没落御曹司~  作者: 松戸京
第1章 死神との出会いとその旅路
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シャルル・フロベールの語り

 私が生まれ、住んだ国は荒れていた。


 階層の低い者達は日常的に盗みや殺しを行い、他人を信じることをしなかった。


 その一方で、位の高い者達は自分のことしか考えず、私腹を肥やし、金と女と食物に囲まれる日々を送っていた。


 少し前の私は、歴然とした後者であったと言える。


 シャルル・フロベール。それが、私の名前である。


 フロベール家は代々王家に仕える名門貴族で、私はその長男として生まれた。


 物心がついた頃には、既に自分が恵まれた存在であり、且つ、選ばれた存在であることを自覚していた。


 屋敷の前に座り込んでいる宿無しを見ては、あれは果たして自分と同じ人間なのかと疑った。


 それほどまでに私は恵まれていたのである。


 早くに母を亡くした私は、父であるクリス・フロベールの愛情をたっぷりと受けて育った。


 むしろ、受け過ぎていたと、今では思う。


 私はロクに勉強もせず、毎日遊び呆けてばかりだった。


 それが正しいことだと思っていたし、選ばれたものには当然の権利だと思っていた。


 だが、さすがに限度が過ぎていたのだろう。


 また、もう一つの問題として、優秀な弟が居た。


 ジョージ・フロベール。


 小さい頃から勉強ばかりしていた。


 私から見れば変わりものでしかなかったが、弟からしてみれば私が変わり者であったのだろう。


 そんな勉強熱心な弟のせいで、私の怠惰ぶりは一層目立ってしまった。


 そして、私の人生を大きく変えることになった出来事は、私がちょうど二十歳になった日にやってきたのである。

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