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逃走

 なにか物事を考えれば、それだけで論理であり哲学である。

 俺のショタコン理論とかは常に哲学の位置にあるのだ。もはや一つの学問なのだ、ショタコンを恥じる必要はない、恥ずかしいと感じる気持ちが恥なのだ。

 根拠から理由付けをして結論を述べる、シンプルながら意見の筋が通っていれば納得してしまう人が出る。だからこういうことを考えるのは楽しい。

 でも、彼女をどう説得するかは、考えても難しい。

 それでも俺は、勇気を出した。

 ヤバイな、イケメン主人公のようだ。これは時代が来てる、でも青春は来ない。

「藤、放課後、いいか?」

 俺はCOOLに言った。たぶん完璧。

「ごめんなさい、今日は予定があるから」

 フラレター! こっちを見向きもしねぇ!

 だが、容易く諦めるほど俺は脆くない。いや今にもなんか泣きそうだけど。

「それって姉貴のことか?」

 藤の体がピクリと震えた。

 もうここからは引かない。そして、道化にもならない。

「藤、はっきりいうけど、姉貴に会わないでくれ」

「どうして?」

 ちょっと目が怖い。でも負けない。

「藤、姉貴は、姉貴は屑だ! あいつはなぁ……!」

 どすんと下腹部に一撃、藤の拳が入った。

 もっと頬をパチーンとかなら可愛げがあるんだけど、ああもう泣きそうだ!

「どうしてそんなことをいうの!? 実のお姉さんなのに……」

「実の姉貴だからに決まってる……!」

 周りの人が注目してきている。

 こいつらの目に俺はどう映っているだろうか。

 ふられた男が、必死によりを戻そうとしている無様な姿なのだろうか。

 いやそもそも付き合ってないけど、休み時間に二人で喋ってたりしたらね、思うよね。

 でも気にしない。負けても泣いても逃げても死んでも、藤が清く正しくいてくれればいい。

「あいつはな、忘れもしない小学三年生の時、夜中に……」

 人生の汚点である。

 レイプ犯罪は起訴されないっていう話を昔聞いた事がある。

 犯された、という事実を他人に知られるのが辛いため、閉じこもって塞ぎこんでしまうのだ。

 でも、予想だけど女性だと結構周りの人が察してくれる。本人の意思にもよるけど、起訴くらいするだろう。

 でも男がレイプされる場合もあるのだ。

 レイプとは、命を奪われるかもしれないって状況で、最悪の屈辱を味わわせる行為に他ならない。女性なら当然のこと、男でもそうある。

 男尊女卑は日本のみならず世界的にある。恥ずかしいし知られたくないのだ。男が男に犯される場合も、女に犯される場合も……言葉にできないものだ。だから言葉にせず押し黙るのだ。

 俺もそうした。尊厳を守るために、恥をかかないために。

 姉貴を逮捕させないとか綺麗な言い訳をして周りも自分も騙し続けていた。

 でももう大丈夫、高校生だ。力もあるし嫌なことは嫌だって言える。

 なのにこれ以上言葉が出ないのは何故か。なぜ涙が溢れ出るのか。

 やっぱり私、命が大事! 自衛しまーす! 日本の自衛隊文化に迎合、自衛隊と迎合、やっぱり日本人は最高だぜ!

 でも逃げ方はシンプルに走った。荷物は教室に置いたままだし、授業も早退するハメになる。

 でもいいや、だってね、命は大切だから。

 早退、街中、主人公っぽい行動で、なんか凄い美少女か美少年とばったり会ってなにもかも忘れられる熱愛できないかなぁ。

 でも、姉貴がいる時に美少年の話は禁止である。

 幼き頃に見た、幼き姉貴の体がいまだにトラウマなのだろう。姉貴を守るという名目で俺は自分の心に癒えない傷を作ってしまったのだ。家族のために自分を傷つけるなんて、超絶良い人。

 男の子が好きなのはそういう理由かもね。女の子に少し恐怖持っちゃったとか?

 なわけない。あの人が真性のショタコンで、その影響を間近に受けただけだ。

 そして、俺はショタに性愛を感じている。

 でも俺がショタに何かしたら、姉貴と同じことをしてしまうかもしれない。

 その度に、あの人が家族だと思い知らされる。でも俺は悪くないしショタも悪くない。

 あいつが全部悪いんだ。そんな奴と藤を会わせるわけには、いかない。

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