100円均一ショップ 眼鏡
駄文ですが、読んでいただけたら幸いです。
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100円均一ショップ、俗にいう『百均』というものだ。
チェーン展開している店や個人経営の店など色々な店があるが、
最近はどの店も品揃えが豊富で食料品や雑貨は勿論、
高そうな置物や刃物なんかが置いてある店も結構あったりする。
しかし安すぎる物というのには必ず何かしら裏があるものだ。
ちょうど日が沈み空が黒く染まってゆく頃
ある百均・・・いや百均というよりかは、まるで骨董屋のような印象を感じさせる見るからに古そうな木造の店に一人の学生が入っていった・・・
その日、『彼』は朝からついていなかった。
寝坊して遅刻し、教科書を忘れ、抜き打ちテストでは2点しか取れなかった。
流石にこれ以上悪いことは起きないだろう。
と思っていた矢先、体育の授業で顔面にバスケットボールが直撃し、眼鏡が壊れた。
壊れた、といってもドライバーで外れたネジを止め、
工具で曲がった箇所を少し直せば今まで通り使えそうなくらいであったが、
『彼』はドライバーも工具も持っていなく仕方がないので百均で買うことにした。
前からそこに百均があることは知っていたが特に今まで入ったことも無かった。
店内は見た目と違い意外に広く明るかったが『彼』以外には客も、店員すらいなくそれが妙に気味悪かった。
工具を探していた『彼』だが途中で足を止めた。
そこには眼鏡がたくさん並んでいた。
老眼鏡は別だが眼鏡なんて安いのでも5000円はするのにちゃんとした眼鏡が百均で売っている筈がない。
どうせ、だて眼鏡だろう。
と『彼』は思ったが、その中にある一つの真っ黒の縁の眼鏡が『彼』の目に止まった。
『彼』は何かに操られるように手を伸ばし、そして気がついたらその眼鏡をかけていた。
その眼鏡をかけた瞬間、『彼』は驚愕した。
その眼鏡は『彼』の視力にぴったりと合っていて、今までの眼鏡よりもとてもよく見えるのである。
『彼』は迷わずその眼鏡を買うことにした。
もう工具や前の眼鏡の事なんて彼は忘れていた。
レジには白髪の老人が一人で居て、少し不気味な感じがした。
「あの・・・これください。」
「ほぅ・・・お客さん、見る目があるね・・・100円だよ。」
「はい。」
「5円は余計だよ。」
「え?消費税ですが?」
「うちの店は趣味でやってるようなもんだからね、税込で100円だよ」
「そうなのですか、でもそんなんだと商売にならないのではないですか?
この眼鏡だって100円っていうのは安すぎると思うのですが・・・」
「これでも結構儲かるんだよ・・・おっと大事な事を言い忘れてた。その眼鏡を絶対に他人に貸してはいけないよ。」
「え?何故ですか?」
「それは言えないが、とにかく他人に貸しては駄目だ。
もうこんな時間か、さあ帰った帰った!うちは今日はもう閉店だよ!」
「いや、でも・・・」
「いいから帰れ!」
『彼』は追い出されるように店を出た。
「あの老人はなんなんだろう、突然怒ったような感じになって・・・
まだ時間なんて6時ちょっと過ぎなのに・・・
それに絶対に他人に貸しては駄目って・・・
まあこんな良い眼鏡が100円で手に入ったんだし良いか。」
『彼』は買った眼鏡をかけて上機嫌で家に帰った。
帰る途中に見える物全てが今までとは比べ物にならないくらい鮮明に見えた。
翌日、『彼』は普通に学校に行った。
黒板の文字も、普段では絶対に見えないような教室に掲示されたプリントの細かい文字も眼鏡のおかげで教室の端からも読むことができた。
放課後、『彼』はこの眼鏡のことを隣の席の友人に話した。
その友人も『彼』と同じくらい目が悪く眼鏡をかけている。
友人はそんなことがあるわけない、と笑ったが、『彼』があまりにも真剣だったので、その眼鏡を貸してくれるなら信じると言った。
『彼』は信じてくれるなら、とその眼鏡を友人に貸した。
その友人が眼鏡をかけた瞬間、『彼』の視界が真っ暗になった。
『停電だろうか、
いやそれにしても暗すぎる。
一体なにが起こったんだ!?』
ふとその時、『彼』は今まですっかり忘れていた老人の言葉を思い出した。
『「絶対に他人に貸しては駄目だ。」
というのはまさかこういうことになるということだったのではないだろうか。
まさか自分は失明してしまったのだろうか・・・』
『彼』は慌てて友人にあの百均に連れていって欲しいと頼んだ。
彼は友人に連れられて、あの百均に来た。
友人は百均まで『彼』を連れていくと、
いつもと様子がおかしい『彼』から逃げるように、用事があるとだけ言い残し帰ってしまい百均には『彼』だけが残った。
「クックックッ・・・いらっしゃいお客さん、
まさかこんな早く来るとは思いませんでしたよ。」
不意にあの老人の声が店内に響く。
「あの眼鏡は一体なんなんだ!?
俺は一体どうなったんだよ!?」
「まあまあ落ち着いてお客さん。」
「落ち着ける訳がないだろう!
早く教えてくれ!」
「仕方がありませんね、
あの眼鏡は着用者にとって最適な度数になるのですが、
別の人がかけると前の着用者の視力が失われるのですよ。」
「視力が・・・失われる!?
ようするに失明するってことか!?」
「その通りです。」
「視力を取り戻す方法はあるのか?」
「もちろんです。
私が持っている目薬をさせばあなたの視力は回復しますよ。」
「その目薬を売ってくれ!!」
「いいですよ。
しかし今のあなたでは鞄から財布を取り出すのも財布から100円玉を取り出すのも難しそうですから、とりあえず私の持っている契約書にサインをしてください。
自分の名前くらいなら目が見えなくても書けるでしょう?」
「分かった。
でも100円くらい、視力が戻ればすぐにその場で払うぞ?」
「クックッ・・・用心深いに越したことはないでしょう?それに今のあなたに選択肢はないはずです。
はい、ペンと契約書です。
ここにサインをお願いします。
へぇー変わった名字ですねぇ・・
最後にここにこの印鑑を押してください。
はい。ありがとうございます。
これがその目薬です。」
『彼』は老人に言われるままに契約書にサインをし、
渡された目薬をさした。
すると『彼』の視界にだんだんと光が戻ってくる。
目薬の効果は凄いもので5分ほどで『彼』の視力は眼鏡がなくても生活できるほどになっていた。
「これは凄いな、色々あったがたった200円で視力がここまでになったなら文句は無いですね・・・むしろ感謝してもしきれないくらいですよ。」
「クックックッ・・・
契約書をよく確認してください・・・」
「え?どういう事ですか?」
『彼』はしばらく契約書を読んでいたが、だんだんに手が震え顔が青ざめてゆく・・・
「め、目薬の・・・対価に・・・俺が・・・支払うものは・・・
自分の・・・片方の肺と・・・片方の腎臓!?
それと・・・両目だって・・・!?
なにかの冗談だろ!?あの目薬は100円じゃないのかよ!?
ここは百均だろ!?おい!?」
「クックックッ・・・冗談じゃありませんよ、それに誰もあの目薬が100円なんて言ってませんよ。
きちんと全て支払っていただきます。
若い臓器は金になりますからね・・・
ねぇ?
結構儲かるものでしょう?」
作者は小説を書くのは初めてなので色々とお見苦しいところ等あったかと思いますが、こんな駄文を読んでいただき本当にありがとうございます。
感想、評価などいつでもお待ちしてしますので、して頂けるととても嬉しいです。