馬鹿二人がコンビ結成しました
「ですよね。
それじゃあこれにしましょう」
卓は嬉しそうにレジのもとへと向かった。
卓は最後の一軒まで手伝ってくれた。
「今日は付き合わせてしまってすみません」
「いえいえ、こちらこそ手伝ってもらったし」
馨が首を振る。
卓は家まで送ってくれた。
何だか付き合っているみたいだ。
「ありがとうございました」
「いえ、ではまた」
卓は一礼して後ろを向いた。
馨が振り返ったときには、卓は暗闇へと消えていた。
家に入って時計を見るともう9時だった。
家族はもうすでにふとんへと入っていた。
馨は風呂に入ってすぐに寝ることにした。
御飯はもう片付けられていたので食べられなかった。
馨は夜遊びをしばしばするため、多分御飯を食べてきているだろうという感じで、帰ってこない日は必ず片付けられている。
今になって少し後悔するが、仕方がない。
階段をのぼり、自分の部屋に入る。
今日買ったものは、忘れないように自分の机に置いておいた。
全てあるかを確認してからベットに寝転がってふとんにもぐる。
「明日これ渡さなきゃ……」
もう一度自分の机の上のものを確認して、眠りに落ちた。
野球部は朝練が終わって、教室へ帰る準備をはじめた。
もちろん尋は片付けなどせずに遊んでいる。
朝練に来ただけましだが。
片付けをしている真人のところへ、尋が猛スピードで走ってくる。
「おーい、まさちん!
今日俺えらかったっしょ?」
尋が真人に飛びつく。
真人は一瞬態勢を崩すが、すぐに尋を引き離した。
「何がだ」
「今日はちゃんと来たじゃん!」
「朝練のことか?」
「うんっ!」
尋は、ほめて・ほめてと言うように、満面の笑みで勢いよくうなずく。
一方真人は冷めた表情のままだ。
「来たんなら真面目にやれ。
いきなり『魔球だー』とか言って部員を攻撃したり、
ランニングをローラースケートでしだしたり……。
意味不明だ」
「えー!?
酷いな。
ローラースケート昨日めちゃめちゃ練習したんだから」
どうやら意味不明と言う言葉は気にしていないようだ。
二人があーだこーだと言い合いをしていると、遠くの方から馨が手を振っていた。
「おーい!」
「あ、かおちん!」
尋が手を振り返すと、馨は二人の方へと走ってきた。
「何してんだ?」
「ローラースケート!」
「違う。
片付けだ」
真人が尋の頭をどつく。
尋はへらへらと笑いながらも、またローラースケートをはじめた。
「いいな!
俺もやりたい!」
馨が尋を呼んだ理由は、昨日の事を責めてやろうと思ったからなのだが、ローラースケートに気をとられてすっかり忘れている。
「じゃあ片足ずつで二人ローラーしよ!」
「結構むずいな」
「かおちんは練習が足りんからなぁ。
俺っちは昨日片足の練習からはじめたからさ」
両足の練習をする前の準備体操のようなものだ、と尋が言った。
「すげーなお前……。
でも初めてにしては俺らうまくね?」
「大会でちゃう?」
「おっ、いいねそれ」
二人はすべりながらハイタッチをする。
そのせいで態勢を崩して転んでしまうが、馬鹿二人組みは「転び方も芸術的」やらなんやらと言いながら盛り上がっている。
馬鹿二人組みに、ついに真人が呆れた。
「先に行っとくぞ」
真人の声が聞こえないくらい、まだ二人は盛り上がっている。
真人は一度ため息をついてから、校舎へと向かった。