少女との出会い
…あの子、ずっと前からいるな。
自分はごく普通の万引きGメン。万引き犯を逃さないよう、日々戦闘中。
万引き犯のサインとして、周りを以上に警戒している、ずっと同じ場所にいる、ポケットに手を出し入れしているなどがある。もちろんこれは一例だし、当てはまったからと言って万引き犯とは限らない。
…あの子はなんとなく異質な雰囲気がする。中学生くらいか?なのに、朝の9時から今までずっと海鮮売り場にいる…。不登校の子なのだろうか。だとしても、今は21時。親とか、迎えに来ないのか…?海鮮売り場で、万引きできるものなんてあるだろうか。いや、そもそもこの子は万引き犯ではない気がする…んだけど、なにかおかしい…そんな気がする。
流石に心配なので、声をかけてみることにした。
「あの、お客様…」
「…」
「お客様、何かお困りですか?」
「…」
「お客様!!!」
「…ん?あ…?…おはようございます。今日はいい天気ですね」
この返答に驚愕した。今は21時、雨がザーザー降っているのである。
「そ、そうでしょうか…?それよりも、何かお探しですか?もしよければわたくしがお手伝いし…」
「探してるもの、あるよ。」
「何をお探しか、教えていただきますか?」
「正規品色違いダークライ。」
「…?申し訳ございません、よく聞き取れませんでした。お手数ですが、もう一度お願…」
「せ い き ひ ん い ろ ち が い だ あ く ら い!!!」
少女はありえないくらい大きな声で叫ぶ。
な、なんだよこの客…
「お客様、そのような商品は取り扱っておりません。」
「…」
「お客様?」
「あー、んー、大丈夫です…あ、割り箸いらないです。」
「えと、お客様はここで何をなさっているのですか?」
「見てるんだよ。」