表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

青春!

秋といえば初恋の秋

作者: 二藍

[あぁ、それはズルい]


秋といえば?

食欲? 芸術? 読書?

人によって思い描くものが違うだろう。



「早くいくぞ〜。島屋(しまや)

「おい待てっ、喜納(きな)


学校からの帰り道……。


空は緑がかり、夜には鈴虫が仕事をする季節。

紅葉が綺麗な公園の通り道で、オレは喜納を追いかけていた。

定期テストだから、図書館でベンキョー会しよって、誘われたのだ。勿論喜納に。


見た目は金髪で、平成のギャル感の強い喜納は勉強なんてできるのだろうか?

そんなことを呑気なことを考えながら公園を歩いていたら、目の前に影が落ちた。目線の先には大きな建物。

青空を埋め尽くすかのような建物だ。


大きなカッコいい表札には、

“鈴木上福図書館”


オレらは足を進めた。



温かい空気がオレらを出迎える。

不思議なことにザワザワとしていた空気は無くなり、落ち着いている空間にはご年配の方が多い気がする。


一角に設けられている自習スペースを目指して、館内を歩く。

奥にある自習スペースにたどり着き、中に入る。

木製の温かみを感じさせる長机を仕切るパーテンション。

オレらは隣同士の席に荷物を置き、勉強道具を広げ始めた。


「いい?島屋、コレからは真剣勝負だからね」

「アイアイ、そうですねー」

「はぁ!アンタ聞いてんの?」

「さっさとやろうぜ?」

「ぐぅ、それもそうね………、」


運も良くほとんど人がいない自習スペース。

喜納とオレともう一人の空間には、カチカチと時計が時を刻む音が鳴り響く。


勉強を始めようとする喜納を横目に見る。

カバンから何かを取り出し、意外とシンプルなシャーペンで、真面目に文字を書き出した。


喜納の目には黒縁のメガネ。

初めて見る姿だ。

少し大きめだろうか? 

いや、喜納の顔が小さいのかもしれない。


四角っぽい黒のメガネは、向日葵のような瞳を主張させ金髪の髪に異様にマッチしている。


それにしても、本当に………、無意識に顔に熱が集まるのを感じる。

ひんやりとしている手で顔を覆い隠し、指の隙間から喜納を覗く。


あぁ、それはズルい。


オレは時計の音なんか聞こえなくなった。

聞こえるのは自分に恋を伝える心臓の鼓動だけ。


「ねェ、ここ教えてくんない?」

「………」

「島屋?って、耳赤いけど平気?」

「……あぁ、」

「あぁ、ってどっち!」


自覚してしまったら、もう遅い。

読んで頂きありがとうございます。

反応して頂けると活動の励みになるので気軽にしていってください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「自覚した瞬間」って、人それぞれでしょうけど一つのドラマですよね。 ガンバレ少年!って応援したくなりました。
2024/10/18 09:23 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ