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正妻は遅れてやってくる

「そ、そんな・・・・」私は何もできなかった。

銃を握る力さえ残っていなかった。

銃が床に落ちた鈍い音のみが響いた。


なんてことをしてしまったのだ。


「驚いたよ~。暗い顔しててさ。いきなり能力変わったとか言って。


正直、戦争に参加している時には顔を隠していたから、助けてもらった人と同一人物かはわからなかったんだけどね。


精神がおかしくなったのかと思って心配したんだがね。

最強、最強、言い出してさ。


おそらく精神を保つためであろう。深層心理で色々きているのかなと思って。


助けてもらった例も兼ねて、住まわせたあげたのさ」

「わかってます・・・」

だって、普通は、孤児院の話なんて知らないし。


「あと、客観的証拠もあるわよ・・・。すごい話だった。ノリで聞いていい話じゃないね」

エマの声だった。念の為に、カナニが映像を繋げていたのだった。


「先生の、殺して奪える能力を発動しても、能力が無効化されてるから、先生が無効化能力を奪えない。


古代からあるすごい能力なんだから、尚更奪うこと自体無理よ。

そもそもの推理が間違っていたってこと」


エマの言うとおりであった。


「でも、なんで? 初めからこのことを・・・」


「あいつ自身、遺族の妹に謝らないとは思っていたんだろう。

それに、妹に無効化能力を渡そうとして殺されようとしたんだろーな」


チサトさんは、加害者である私を、被害者であるように心配してくれた。


「本当にごめんんさい・・・・・・・・」それしか言えなかった。



「今外します」体に力が入らないが、全力で先生の器具を外した。

(白銀視点)

オレにはやらなければならないことがあった。



オレは、体へのダメージを確認しながら、


「やっと外れたぜ。ふう。良くもこの魔王様に喧嘩を打ったものだ。今すぐ全員抹殺してやる!」

と剛力風に叫んでみた。


この嫌な空気を壊す必要があったからだ。

誰かがボケなければならない。

なら、それはオレの役目であろう。

これは、結構ウケるであろう。


そう思っていた。


え、ちょえーーー。

うそ。

何これ。


ダダ滑りやんけ。あれえええええ、全然ウケねえ。



わざわざしんみりとした空気を改善するために体張ったっていうのに・・・



え。てかなんか、みんな怒ってない?


「美鈴ちゃん。二人も。頼んだよ。縛り付けておきなさい。あれは、あと300年は反省させないとダメだな」

オレはもう一度椅子に縛り付けられた。


泣き崩れているスバルは、五十嵐とカナニが介抱してくれた。

「引きこもりには、あれくらいがちょうどいいのさ」

婆さんもスバルをフォローしているようだ。

決して本心ではないであろう。うん。



「白銀。本当にお前というやつは。激しいことが起こりすぎだぞ」

五十嵐はなんだか寂しそうな、でも、嬉しそうな顔をしていた。


とりあえず、婆さんがみんなを下に連れて行ってくれた。


静かな部屋に一人で、オレは拷問椅子に座らせられていた。


ただ、なんかスッキリしていた。

モモ。


まさか、お前の妹だったとはな。世間は思った以上に狭いな。


それにしても、何飲まされたんだ? 

オレ自身、ある程度の毒では効かないはずなんだけど・・・


やたら眠い。このままだとやばいな。目を開けるのも辛いんだけど・・・


・・・


ん? ここはどこだ? 


ただ白い何もない空間にオレはいた。


体は動かそうにも動かせない。

ただただ、居心地よ居場所であった。


そこには、忘れるはずもない面影があった。


おい! モモ! そう叫んだ。


でもわかっていた。 だってお前は・・・


そんな中、モモは振り返り、とびきりの笑顔で、

「おひさー。 私の妹可愛いでしょ? どっちが可愛い? 顔見せてなかったもんね。


さみしかったけど写真とか残して誰かに恨まれたら困ったし。 変なことしないでよ? 髪の毛の匂いを嗅ぐとかね」


「するわけねーよ。髪の毛に関しては、したこともありませんよ。

ただ、オタクの妹さん。ちょっと元気が良すぎますよ。おねーちゃん、ちゃんとしてよ・・・心配よ?」


10年ぶりでもっと大切な会話があるはずなのに、昔と変わらずふざけた会話しかできない。


「それは、担任が悪いね。しっかり教育しないとさ! てか、先生になったんだね! おもしろーい。教えてくださいよ~先生?」


「からかってんじゃねーよ。オレはお前に一度も勝てなかったじゃねーか。頭脳面、身体面あらゆる分野でオレの上いきやがって。男のプライドわかってる? ポテンシャル高すぎんだよ」


「今は、最強だもんね? あ! そう言えば! 美鈴ちゃんのことも気にいっているでしょ? わかるんだからね? いいんだよ。10年もたったんだし。浮気されたって日記に書いておくだけから。

あ、あと、いつもえっちなお店のサイトを見てることも日記に書いておかないと」


「日記には書かないで欲しいな。 お店の話は・・・通ってないから許してくれ 」


「冗談よ! ま、妹のこと、これからよろしくね? 誰かに似て可愛いでしょう? 任せたよ! 先生! 

あとは妹の親友のこともね! まさか、親友ができるとは。あの子、人付き合いが苦手だったから」


「任せておけ! だって妹の方が可愛いもん。うんうん」


「ねーーー。もーーーー。なんか嫌」


「冗談だって。モモ様。あなたが自称美人ですよ。はいはい。てかこれ、どーせ夢なんだろ?」


「そうね・・・もうそろお別れかな」


「ああ・・・。一瞬でも話せて良かったよ。オレに言うし資格はねーが、妹とその周りは必ず守る。あと、最後に、

ごめんな・・・守ってやれなくて」


「いいの。自己責任だから。ずっと会いたかったよ。また会えるといいね。じゃ、元気でね」


「やっぱ、オレもそっちに・・・」


「あ、そうそう! 目覚めるといいことあるかもよ? 遺伝子的に懐かしんでね!」


「おい! 意味わかんねーよ! おい! まだ行くなよ! モモ!」

次の瞬間見覚えのある天井が見えた。


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