全ては俺様の計画通り
「まず、先生が立ち上がった時、たしかに、先生は3人の能力を封じて戦うことができた。
ただ、先生は私たち人質を守らなければならなかったの。
そこで、あーしたちが集まっているところに効果領域を作って爆弾を解除してから戦おうと思ったんだと思う。
当ってるよね?」
「ああ。そうだ」
「ただ、うまくいかなかった。
さっきも言ってた通り、効果領域内では能力発動が無効化される。
しかし、爆弾は設置と爆破の2段階構造になっていて、効果領域内では、設置は発動が完了していたから無効化できなかったんだと思うの。
ただ、完全に、能力発動が終わった状態ではなかった。爆破の段階があったから。
そこで先生は、無効化はまだできると考えて、解除するために私たちに触れる必要があったの。
ここまで当ってる?」
「当たってるぞ。今回の爆弾能力は特殊だった。
一応、効果領域広げて設置を無効化しようとしてみたが、案の定、印は消えなかった。
ただ、爆破の段階が残っていたから、完全に能力発動が完了しているわけではないと考え、
触れれば、無効化できると思ったんだ」
「一つ質問がある。設置と爆破の2段階なら、効果領域内に敵を入れれば、爆破の能力が発動ができず、
倒すことができたんじゃないのか?」
担任さんが、少し頭を悩ませながら聞いてきた。
「もちろん、触れても解除できなければ、3人を効果領域内に入れて能力を発動させずに戦うつもりでした。
ただ、危険な目はつんでおきたかったのです」
「なるほど」
担任さんは特に何も言わず納得してくれた。
「それにもし、敵が、爆破ができないとわかったら、拳銃で、カナニやスバルを人質に取られる可能性があったから、それを避けたんでしょ?
拳銃は能力じゃないし、効果領域内でも何も変わらない。
流石の先生でも止められない。
仮に、あーし達の誰かが能力を使って拳銃を奪おうとしても、効果領域内だったらあーし達も何もできないし、
効果領域を外して爆破されても困るし」
エマが少し早口で説明をしてくれた。
「そうなんだけど、いちいち自分で説明するの、恥ずかしいじゃん!」
「じゃあ、あーしが説明続ける!」
「じゃあ、あたしは気になったこと聞く係!」
とカナニが新たな係に就任したようだ。
「そこで、先生は触れる時間を稼ぐため、まず大男を挑発したの」
「でもさ、応じるとは限らなくない?」
「いや、先生には応じるとわかってたはず。
何故かというと、大男は自分力に絶対的な自信を持っていたし、英賀の時も一人で戦うことを好んでいた。
まして、自分より下の、同じ肉体強化系に煽られたら必ず応じる性格だと読んでいたの。
それに白銀先生は、五十嵐先生を足止めする条件を出したことで、応じさせないといけない状況に持っていったの」
「あーあれか。いきなり五十嵐先生に対する態度変わるからびっくりしたよ。
でも、いきなり土下座したよね? あれ少し笑ちゃったしびっくりしたんだけど」
「先生の怖いところはそれも作戦ってとこ。 考えてみて?
いきなり私たち20人くらいいきなり触れていたら敵はなんて思う?」
「流石に怪しいよね」
「そう、だから近づく口実が欲しかったの。メガネ男もいきなりは近づかなかったでしょ!」
「たしかに!」
「一旦飛ばされてうえて『諦めない!』と言って、うまく口実を作った先生は、
その後も飛んで来て、一人一人の爆弾を解除していったの」
「あれ、そんな意味があったんだ。それなら、爆弾解除したこと、言って欲しかった」
「いや、心読むやつがいたから下手に言えなかったのよ」
「あーーー!」
「あーしに手榴弾を作るように指示したのもこの時よ!」
「あれ? でもそれじゃ、バレちゃうんじゃない?」
「ワザとバラすことまで考えていたの。先生は本当におかしいの」
「なんでそんなことする必要あったの?」
「それは・・ま、後で話すよ!
それで、先生は全ての爆弾を解除してから、大男に戦いを申し込んだの!
いかにも、今まで何もしてませんでしたって顔をしながら」
「急に雰囲気変わったよね。そーいえば、ん? あれ? 触れられると敵の能力は無効化されるんだっけ?」
「そうだよ! 基本的に先生に、大男の攻撃は効かない。
触れた瞬間、強化されたものが無効になるから、ただの人のパンチやキックと変わらない。
それに、先生が触れることで、常時、能力を発動している肉体強化がされないから、生身の人間と同じ防御力になり大男に先生の攻撃が効いたの。」
「でもさ、爆弾解除するために飛ばされてなかった?」
「あれは、自分から勢いをつけて飛んでいっただけなのよ。実際は」
「そうだったんだ! ん? 違くない? だって、能力消せるのになんで、蹴られた時、左腕怪我してたの?
普通の蹴りが強かったってこと?」
「あ・・・うん。先生、いっていい?」
「オレは、別に構わないぞ。」
「あの・・・先生の午前中の傷は治ってないの。カナニの能力も無効化しちゃうから治癒もできなかったの」
「え・・・じゃあ今までその傷でいたの?」
とカナニは心配そうにオレの左腕を眺めている。
「わざわざ治してくれたのにすまなかった。
能力のことを隠したかったから治ったふりをしていた。別に痛くもない。
うそだ、少し痛い。ただ、オレはあえて手を蹴られたんだ。気にしないでくれ」
「いいよ。無理に気使わなくて・・・」
カナニは慰められたと思い少し悲しそうな顔をしている。
「違うよ! 先生の言う通りわざと受けたの!
性格が悪いというか、別に蹴られなくても倒せるというか・・・一応、役には立つんだけど」
「じゃあ信じるよ・・・。それで、なんの役に立つの?」
「下の階級のやつに、攻撃あまりにも効かなかったらどう思う?」
「それは、なんか他の能力を隠してると思うっちゃう」
「そう! だから先生は、怪我している左手に蹴りをくらって、攻撃が効いてることをアピールしたの。
そうすることで、敵は、今までは攻撃を流してたから、先生があまりダメージを受けていなかったと錯覚したの。
右のハイキックであのダメージならば、先生に攻撃を受け流させず、急所に当てれば必ず倒せると敵は考えたはず」
「だから、わざと攻撃をもらったのか。ホントだったんだ!
でも、どうして、右ハイキックがくることがわかってたの? こなきゃその作戦は使えないじゃん」
「先生は飛ばされるためにわざと攻撃を喰らってたでしょ?
その時、敵の癖を見抜いてたの。
先生はあえて、バカのふりをして、敵に右ハイキックを繰り出させるような突っ込み方をして、反射的にクセを引き出したの」
「そこまで、考えてたの」
「しかも、攻撃をもらうことで2つのすごい効果をうむの」
「2つ?」
「一つは、相手の攻撃が単調になること。
相手としては、後、一発いいのが入れば倒れると思っているから、無理矢理でも一発を狙おうとする。
それを狙うなら、アゴ、心臓などの急所に当てたいと思う。
だから、攻撃が読みやすくなるという効果を生んだの」
「えーーー! そーだったんだ! だから、大男の攻撃を全て避けてカウンターを決めていたのか。
じゃあもう一つの効果は?」
「2つ目は、ちょっと変だけど、誘導できるという効果」
「誘導?」
「というか、そのために左手を怪我したと言っても過言ではない。
もちろん、役に立つことではあるんだけど、個人的にはなくても良いものだとは思ってる。
ただ、先生の性格の良さ? 悪さ? が出ている行動なの。
カナニはさ、敵に絶望与えたい時どうしたい?」
「んー。メガネの人も言っていたけど、一番強い人を倒すことじゃないの?」
「そう。正解だけど、それなら、さっさと倒せばいいんだよ。
わざわざ左手で受ける前に倒しちゃえばいいでしょ?」
「あれ? それもそうだよね!
今思ったけど、投げ飛ばされて、全員の爆弾を解除したならさ、そのまま攻撃受けることなく、
殴って倒しちゃえばいいんじゃない?」
「そうなの。ただ先生はそれをしなかった。
敵に絶望を与えるために。先生の目標は『最高の状態の一番強い人を倒すこと』だったの」
「た、たしかに、その時の絶望は半端ない気はするけど・・・
それと攻撃をもらうこととの関係が見えないんだけど・・」
「まず、さっきも言った通り、先生は大男に、もう、一発当てれば倒せると錯覚させた。
それにもかかわらず、大男は攻撃を当てることはできなかった。
そして、大男のダメージだけが蓄積されていった。
大男が、あと一発いいのをもらったら、倒れる状態にまで持っていったの。
そして、互角の状態を演じたの。
これは、あーしの予想だけど、本当は、先生は一撃で倒せるけど、あえて威力を弱くして何発もカウンターを取ったんだとおもう」
「互角を演じてなんのメリットがあるの?」
「自分より格下に、誰にも負けたことがない人が、仲間の前で、互角だったら恥ずかしくなるでしょ?
ただ、倒せるチャンスも残っている。
大男は、左腕の様子を見る限り、威力的には自分の方が上だし、攻撃をかわさられなければ、絶対に勝てると考えていた。
ただ、先生に攻撃があたらない。カナニなら何の能力を上げればいいと思う?」
「威力が上で、攻撃が当たらないなら、答えはスピードでしょ。自分がもっと早かったらなって思うよ」
「それが狙いよ。先生は、スバルの能力で、大男の能力を強化することを考えていたの」
「違うでしょ。結果論じゃん。それはエマが考えてバレたんでしょ?」
「後で説明するけど、先生は初めから心を読める奴のことをずっと対策していたの。
そして、悔しいけど、あの状況で、あーしがスバルのことを考えることまで予想してたの。
おそらく、午前中の授業であーしの考える癖を考慮に入れたの。
そして、それを心を読める奴にバレることまでもね。少なくとも、誰かが考えると思っていたと思う。
だって、あーし達だって思ったでしょ? 互角なんだから、強化すれば勝てるって」
「すごい。敵も強化すれば勝てると思うし、私たちも同様に考える。
わざわざ左手で受けただけでここまで操られるなんて」
「スバルの存在がバレたあとは、先生は、バレてしまい焦っている風を装うため、あえて敵を煽りスバルの能力を使
うように仕向けたの」
「あの、煽り、本当に焦ってるのかと思ってた」
「あとは、先生にとっては朝飯前よ。
どんなにスバルの能力で強化しようとも、先生に触れてしまえば、無効化されるからなんの影響もない。
わざとバットで剣道の面の構えを取って、隙を見せ攻撃を受けるだけ」
「なんで、攻撃受けて倒れたの?」
「それは、先生は、敵を喜ばせて落としたかっただけ。
最後に、喜んでいるところを、一瞬小さな効果領域を作り、大男の防御力を無効化させ、バットで叩いておしまいてとこね。
生身の人間を思いっきりバットで殴ったら、誰だって気絶するわよ。
とりあえず大男戦の作戦はこんなところね」




