女の子と話すこと=モテ期 と思ってます
(白銀視点)
最強のオレは、見事三人の強盗犯を倒した。
正直、ちょっとカッコをつけすぎて恥ずかしい気持ちもある。
そんな最強のオレは、今・・・死にそうである。
倒した後、爽やかに決めたところまではよかった。
まさか、ほぼ全生徒が抱きついてくるとは思わなかった。
人の、計画を馬鹿にした途端このザマだ。
最強のオレでも、全生徒が走って抱きつくのを止めることはできず、床に倒れてしまった。
それでも、生徒たちは止まらない。
ラグビーのスクラムの中のボールの気分だ。
ただ、オレはこの状態を好機と捉えていた。
どさくさに紛れて、胸などを触ることができる。
嫌がられても、不可抗力と言って許される素晴らしい状況である。
ただ、良いことだけではない。男子生徒まで周りにいるのだ。
間違って男子生徒の一物を握ってしまったら、死んでも死にきれない。
オレは狭く苦しい状態ではあるが状況を確認し、左側に女子生徒が多いことを確認した。
左側を触れば、嫌な思いをせず、誰かしらのを触れるであろう。
決心をし、左手を近づけようとするが腕があがらない。
さっきのダメージが今頃きたのである。
諦めて右手を伸ばそうとしたところ、
『そろそろストップ! 先生死んじゃう!』エマの声が聞こえた。
たしかに、だんだんと生徒が乗ってきて苦しかったのは事実だが。
正解だけど、正解ではないことをしてくれたようだ。
オレは絶好のチャンスを逃してしまった。
段々と生徒がはけていくと左側には、スバル、エマがいた。
オレは仰向けのまま床に寝ていると、
「先生今までごめんなさい。命まで助けていたただき、ありがとうございます」
カナニが謝ってきた。
正直、何を言っているかわからなかったが、
さっきオレが『悪態をつく女』と言ったのを気にしていることに気がついた。
「謝んないで! あれは敵の隙を作るための嘘だから! それにオレに対する態度も気にしてない!
友達のために怒れる人は素晴らしいよ! オレこそ変なことして悪かった」
「カナニでいいわよ別に。それに本気で変態だと思ってないよ!」
「じゃあ、これから呼び捨てするけどいい?」
「嫌なら無理に呼ばなくていいよ」
「そんなことねーよ!」
「あ、手治してあげようか?」
「いや、大丈夫! そこまで痛くないし!
それに、体力も限界だろ? 無理しなくていいよ。心配してくれてありがとな! カナニ!」
少し距離を縮められた気がする。
「やっぱ、変態!」
そう言ったカナニの耳はなぜか赤くなっていた。
次に、エマも話しかけてきた。
「あーし、あーし信じてたけど・・・流石に手榴弾はびっくりした」
「アボカドは、エマでも見抜けなかったかーー!」
「あの状況でそんなことやる人なんて見たことないよ! でも、信じてた・・・ありがとう。そしてごめんなさい。
あーしが考えなきゃ、スバルの強化した攻撃受けなくて済んだのに」
「大丈夫だって! そうなることも・・・いやなんでもない!」
「なんか怪しいな・・・。後で聞きたいことがある!」
「わかった!」
エマは話が終わると他の生徒と話始めた。
続いては、スバルのご登場。
いつまで続くのか。ま、かわいいから、いいか。
「先生ありがとうございます。私が変なことされそうになった時、助けてくださって。
顔かっこよかったですよ! ものすごく」
「え? 自分でもどんな顔してかわからないし。鼻毛出ていなかった?」
「あはは、大丈夫ですよ! あの、強盗の3人起きませんよね?」
「ああ! 大丈夫だ。下手したら死んでるかもな」
「正直、人生今日で終わりだと思ってました。本当に最強でした!」
天使と話していると、何気ない会話のありがたみを改めて感じる。
その後もオレは、他の生徒とも同じように話していた。
ちなみにその間、オレは起き上がるのが面倒だったので寝たまま会話していたが誰も突っ込んでこなかった。
しばらくすると、担任さんが空からやってきた。
やはり、風を操る能力みたいで、風に乗って移動できるようだ。
担任さんを見るや否や、生徒たちは担任さんのところに走っていき抱きついた。
担任さんも『生きててくれてありがとう』『守ってやれなくてごめんね』などと、生徒たちに抱きつきながら声をかけていた。
担任さんはラグビーボールにならず、うまくハグを捌いている。
今までの人生で大人数とハグをすることがなかったので捌き方を知らなかったオレは、担任さんの捌き方を学ぼうと観察していたが、今後、そのような機会がないことに気づき、途中で観察をやめた。
担任さんは生徒との話が終わると、倒れている英賀と颯太の様子を見て、異常がないことを確認した上で、二人を能力を使って部屋に運んだ。
部屋から教室に戻ってくると、オレに話しかけてきた。
「ありがとう。ありがとう。ただ無理はしないでくれ。本当にありがとう」とお礼を言ってきた。
正直、ハグを期待していたのだがハグはなかった。
「大したことありませんよ」
「そうか? その、今まで見て男の中で、一番、か、かっこよかったぞ?」
『かっこいい』と人生で言われない言葉ランキングベスト3に入ることを言われて嬉しい反面、
そんなに無理に言わなくても、と悲しい気持ちになった。
それに、言う時、今までと違い、目を逸らしてたのも気になる。
お礼のつもりなのだろうが、態度で無理に言っているのがバレバレである。
本当に、モテるやつはここで『だろ?』などと言ってキメるのであろうが、
オレはそのようなことができなかった。
「で、こいつらどーします?」
オレは倒れている三人組を指差して、無理やり話題を変えた。
「NTR隊がきて、拘束してもらうつもりだ。さっき来る途中で連絡したからすぐ来ると思うぞ!」
「あ、そうなんですね!」
この会話の着地点を考えていなかった、オレは反射的に返事をしただけだった。
「金が欲しいのか? もちろん懸賞金は渡すつもりだから安心してくれ!」
オレは伝えておかなければならないことがあることを思い出した。
「いや、いらないです! そのかわり、オレが倒したことは黙っておいてください!」
周りにいた生徒も、担任さんも、唖然としている。
「意味がわからんぞ? なぜだ?」
「いや、この校舎を治すのに使ってください!」
「答えになっていない。なぜ、黙っておかないといけないのだ。ものすごい功績だぞこれは。
別に黙っててもいいが金は渡すぞ?」
「オレとしても、タダで黙っててもらうのは気が引けるし。ただ、オレが何言ってるか理解できないと思うので、まずは、オレの能力から説明させてください」
「能力? 肉体強化系って話のことか?」、
オレと担任さんの話を聞いていたエマが、
「あーし気になることたくさんある! さっき、聞きたいって言ったの先生の能力のこと!
色々、考えてみたけど、どうも不可解なことが多いの。あーし、先生の能力肉体強化じゃないと思う!」
「正解だ。そして、今まで嘘をついていて申し訳ない」
オレは深々と頭を下げた。
周りの生徒達も驚いていたが、怒ってはいない様子であった。
担任さんも驚いていたが、
「何か理由があるんだろ? ちなみになんの能力なのだ?」と理解を示してくれた。
「オレの能力は・・・ どんな能力も【無効化】するというものです」
「無効化する能力だと? そんな能力聞いたことないぞ?
昔、NTR隊にいた時、能力者の能力リストを見たことあるが、そのような能力はなかった」
「多分、世界でも稀だと思います。 というか、オレだけでしょう。
具体的には、オレが能力を発動すると、オレだけにしか見えないドーム型の効果領域が発動します。
その効果領域内では、敵は能力を発動することはできなくなります。
それに、オレの体の一部に触れた場合、敵は能力を発動することもできないし、発動中の能力も無効化される。
ただ、完全に能力が発動してしまったものは、触れても取り消せないというものです」
オレが説明し終わると、エマがなぜかキラキラした目でオレの方を見て叫んできた。
「あーー! 全部わかった! てか、先生、作戦、あの一瞬で考えたの? うまく相手を誘導しすぎ。無理だわ。
天才だわ」
頭の回転の早いエマはオレ先の戦いで使った戦略を見抜いたようだった。
「お褒めに預かり光栄です」
「てか、うあーー午前中、舐めプじゃん。いや、スバルとカナニのためかーーーーずるいね!」
「あのー。怖いって。マジで心読めるの?」
「効かないでしょ?」
「ねーねーなんで盛り上がってるの。わたし達にも詳しく教えて!」
カナニが駄々を捏ね始めた。
「無効化か。それなら、3人とも楽勝だったてことか?」
担任さんが、少し悲しい表情で独り言のように呟いた。
それを聞いたエマが、
「五十嵐先生それは違います。白銀先生は結構大変だったと思います。
チェスのように1手1手間違えられなかったのです」
「そ、そうなのか・・・」
「でも、能力無効化できるならわざわざ戦う必要なかったんじゃない?」
カナニがエマに質問した。
「バカね。先生は誰のためにあんな苦労をしたのか。あーしだって、誰かさんのために利用されてたんだからね?」
「利用って。まあ、ごめん、ごめん」
たしかにエマを利用したオレは謝っておいた。
「先生~! さっきの戦いで何したか教えてくださいよ!」
「私も気になるな」「俺も!」
スバルや他の生徒も興味があるようだった。
「わかったよ。さっき、オレが何を考えどう戦ったのか説明する」
「あ! あーしが説明したい!」
「ま、自分で説明するよりはマシだな。じゃあ、よろしく!」
「じゃあ説明するね!」
と言ってエマは担任さん、他の生徒に向け説明し始めた。




