表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/39

敵さんの強化イベント発生してるんすけど・・・

剛力が吹っ飛ばされるところなど見たことなかった。


『勝てる!』と叫びたくなったが注意深く観察すると副担任の渾身の一撃だったことがわかる。


蹴られた副担任の左腕からは、大量の血が出ていた。

骨折でもしたのであろうか。

午前中の授業でつけた包帯が真っ赤に染まっている。


「やるな・・・俺様に攻撃を効かせたのはお前が初めてだ。今まで舐めていたぜ」そう言った剛力の顔からは、鼻血がでている。


副担任の攻撃は思いのほか効いているようだ。


「ただ左手はボロボロだぜ。包帯から血が滲み出てるぞ。折れているのか? その様子ではあと何発かで終わるな!」


「せっかく治してもらったのに何してくれんだよ! 痛えじゃねーか! さっきからたくさん殴ったり蹴ったりしやがって。そろそろ限界なんだよこっちは!」


副担任は学生のいじりの延長線のように騒ぎ始めた。

副担任の言う通りであろう。


もちろん、攻撃を受けている本人が言っているので正しいに決まってはいるが。


そうではなくて、右のハイキック一つであのダメージであり、今までに攻撃を何回もくらっている。


もしかしたら、今までは飛ばされることによりダメージを少し軽減していたのかもしれない。


とは言っても、それなりにダメージも蓄積されているであろう。


その上、攻撃をするには、先ほどのように攻撃をブロックする必要もある。

 

ヒットアンドアウェーも、作戦としてはあり得るが、相手の方がガタイが大きいため、アウェーの段階で攻撃を受けてしまうこともあるだろう。


受け流すことができないと、あのダメージならあと数回かしか攻撃を受けられないだろう。


 仮に、急所に当たり受け流せなかったら、いや受け流せたとしても死んでしまうかもしれない。


緊張感が増してくる。


「じゃあ、今度は俺様から攻めさせてもらう。歯食いしばれ!」と言って剛力は副担任に攻撃を開始した。


またしても、驚くべきことが起こったのである。


副担任は、来る攻撃を全て紙一重のところで交わしているのだ。


そして、それだけではなく、全ての攻撃に対してカウンターを打ち始めたのである。

 

剛力の右フックをかわし、左側に瞬時に移動して左ボディーを左フックで殴り、金的を狙った蹴りを後ろに移動し避け、その勢いで後ろ回し蹴りで顔面を蹴るなどしていた。


2分間、剛力は殴り続けたが一発も当たらなかった。


確かに、剛力の殴るスピードは威力重視であり、そこまで早くなかった。


そうはいっても、まるで、次に来る攻撃を読んでいるようだった。


剛力は、攻撃をし続けて体力が限界を迎えたのであろうか。

 

それとも、カウンターのダメージが蓄積されていたのであろうか。

 

攻撃をやめてしまった。


基本的に一撃で終わってしまうからなのか、それとも体が大きいから体力消耗が激しいのか、かなり息切れをしている。


その様子を見た、副担任は


「思った以上にタフだったな。オレの勝ちでいいか?」と煽り始めてしまった。


私が言えることではないが早くトドメをさしてほしい。


なんなら、スバルの能力で強化してもらって、いっきに3人とも倒して欲しい。


ただ、疑問に思うことも多かった。


副担任の能力はいったい何なのであろうか。


本当に肉体強化系なのか?

5級は嘘だったのか?


いや、午前の授業でもスバルの肉体強化があったにも関わらず、動きは良くなかったのは確かだ。

わざわざ、剣を腕に刺す必要もない。


確かに、手を抜いていた可能性も考えられる。


ただ、スバルの能力を受けると力のコントロールが難しく、調整はできないであろう。


それに金に困っているなら上位を目指したはず。


もしかして、危険になると強くなるとか、ダメージ蓄積すると強くなるとかの特別の能力者だったのか?


カナニのことも先回りして守っていたり、今回も、攻撃を読んでいるように見えるから、未来予知の能力か?


いずれの能力でも、剛力と互角に戦えていることの説明がつかない。


まあ、とにかく、あと一発。

あと一発いいのが入れば剛力は倒れる。


「5級と互角だと? ふざけるな! 俺様は今までに負けたことないんだよ!」

剛力の余裕が完全になくなっている。


剛力は今まで、努力せずとも勝つことができた。


自分に傷をつけられる者は人生でいなかったのであろう。


初めての状況でかなり動揺しているようだ。


「大丈夫ですか? 剛力さん?」と心を読めるらしい男が剛力に声をかけた。


散々二人の前で『手を出すな!』などとイキっていた剛力は恥ずかしくなったのか、仲間に苛立ちをぶつけて始めた。


「あ? 誰に口聞いてんだ! オレが負けると思ってんのか? なんならお前から潰すぞ?」


「いえいえいえ。そんなことは全くありません。すみません。ただ・・・」

予想外の反応に言い訳を考えているようだった。


「ただ? なんなんだよ! はっきり話せ!」

「はい! あ、あの副担任一人で戦う気ないかもしれません。剛力さんとの約束を破るのがゆ、許せなくて・・・」

「どういうことだ?」

「あの赤い髪の女が考えていたんですよ。副担任にここのピンクの女の能力を使わせる方法を。

このピンクの女は能力者の能力を上げられるみたいなんすよ。それで、剛力さんと戦う可能性が高いです!」


エマか。エマは天才で常に先を考えている。


担任の私より頭の回転が速く、作戦を立てる力もある。


副担任を強化すれば3人を一気に片付けられると考えたようだ。

人の癖は中々治らないし、エマの考えることは悪いことではない。


ただ、今回は状況が最悪だ。作戦を立てても筒抜けになってしまう。


もちろん、私もエマと同じことを考えてしまったので、エマを責める資格は全くない。運が悪かった。


ただ、私としては、剛力も、心を読むやつの能力で、そのことを知ったのだから、1対1を守っていない気がするが。


「あらら。バレちゃった。お前ら3人一気に倒すつもりだったんだけどな。困ったな~」

言葉と表情が一致していない。


何故か、副担任は、余裕の表情をしている。


「残念だったな!」剛力も、副担任の策を知り、少し安心した様子だった。


「じゃあ選べ。オレが強化して負けるか、このまま負けるか。ま、どっちにしろ負けるがな! どお? 5級に負ける気分は?」


副担任が煽り始めてしまった。やめろ。ここでの煽りはよくない。


おそらく、煽って、カウンターを取りやすくするつもりだろうが一つ大事なことを見落としている。


剛力は手段を選ばない。


プライドの高い男ではないのだ。人を殺せればやつにとっては満足なのである。


NTR隊では有名な話であった。


もちろん、剛力と初めて会う副担任にとってはそんなことは知らないだろうが。


私には、副担任の選択が悪手に思えて仕方がなかった。


「馬鹿だな! せっかくのチャンスを! 脳筋にも限度があるぜ! 俺様が強化して、お前が跡形もなく消える! 第三の選択があんのによ!」



まさに、その通りである。


副担任はこの選択肢を見落としていた。

もちろん、ギリギリで戦っている本人が客観的状況を把握するのは至難の技である。



ただ、形勢が一気に逆転してしまった。


「ショックだよ。小さい男だな! 期待はずれもいいとこだぜ!」

副担任も、阻止するために煽り始めたがもう遅いであろう。


「無理するな! 焦ってるな! 俺様と戦って状況把握を見誤ったな! 俺様は負けなきゃなんでもいいんだよ! 手段は問わない。だから最強なんだよ!」


と言ってスバルに近づき、

「おい、ガキ! 俺様に能力を使え」


「いやです! 先生に使います!」

それを聞いて剛力はスバルを殴ろうとしたが、


「私を殴れば強化できませんよ?」と言って阻止した。

が、剛力は諦めていなかった。


「まだまだガキだな。手段は問わないんだよ! 従わないならとあの女を撃つぞ!」

とカナニを撃つことを示唆した。


「私はいいから、使わないで! 先生に使って!」

カナニは正義感の強い子だ。


大勢のためなら自分の命を捨てる勇気がある。


「でも、でも・・・・」スバルはどうして良いのかわからなくてなってしまった。


大人の私でも悩む問題である。


担任としては、カナニを死なせるわけにはいかない。

ただ、剛力が強化してしまえば、副担任は死に、生徒に再び危険が及ぶ。


それに、私の代わりに、一生懸命戦っている副担任を殺す選択をすることは、人間として許されることではないだろう。


もちろん、剛力が強化されなくても、副担任が勝てるとは限らない。


カナニ一人の命で多くの命が救われる可能性がある。


あくまで可能性だ。どっちを選択しても待っているのは地獄である。


「スバル! 使え使え! 俺は大丈夫だ! なんでかって? オレが最強だからだよ!」


悩んでいるスバルに対して、

副担任は堂々と言い放った。


まるで、自分の選択した道が天国に繋がっているかのように。


副担任の発言には、いつも不思議な力がある。


「いいの? 先生、大丈夫?」

「ああ! 平気! 平気!」

担任としては、カナニを守る選択をしてくれてホッとしてはいる。


副担任は、いつも生徒を守る選択をしてくれる。


本当に、世界の中でも副担任より優しい奴はいないのではないか。


ただ、副担任の自殺行為を止める責任が私にはある。


自分の命を犠牲にする必要はないと。ただ、今のわたしには何もできない。


自分の無力さを痛感した。


副担任を信じ、スバルは剛力に能力を使った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ