敵さん強すぎね?
第二声では、剛力は
「手始めに、このクラスで1番破壊力ある奴と戦う!」と宣言した。
英賀が出るのかなと思っていると、案の定、英賀が名乗り出た。
クラスでも、英賀が名乗り出て反対のする奴はいなかった。
残りの生徒は、教室の右側に固まって座っていた。
「おお、それなりのやつが出てきたな。おめえ名前は?」
「英賀です! よろしくお願いします!」
「おめえ、能力は?」
「自分は、手や体から破壊光線を出せます!」
「おいおい! ガキだな! 基本的に、能力のことは他人に教えちゃならねーんだよ! それは強者のすることだ!」
「あ、すみません!」
口は悪いが、授業らしいことはしているようだ。
「まーいいぜ。俺様の能力も教えてやるぜ。俺様の能力は肉体を人外レベルに強化する。肉体強化系のなかでも類を見ない威力があるぜ!」
英賀を含め、他の生徒が一瞬オレの方をみた。
上位互換の存在でオレの存在が薄くなった気がする。
「師匠と同じ肉体強化系でしたか!」
さっきのアドバイスを聞いていたのか。オレの能力をサラッとバラしやがった。
「師匠? そんなやつがここにいるのか?」
「いますよ! あそこで寝てる人!」英賀はオレを指差した。
「おめえー強いのか?」大男もオレに興味を持ち始めてしまった。
面倒ごとに巻き込まれたくないので、
「安心してください。5級です」とだけ言っておいた。
「雑魚すぎだな! クソガキお前は見る目がない! まー今から地獄を見せてやる。俺様と戦え!」
「わかりました!」
英賀は手に、破壊光線を溜め始めた。
「本気でいいんですか? 僕の威力は準1級レベルですよ? 怪我しますよ?」
「面白いクソガキだなお前。いいからやってみろよ!」
オレと戦う時くらいエネルギーが溜まった。
この威力だと、ビル何棟かは破壊できるであろう。
よくよく考えると、さっきの授業では、たしかに、オレが本気でやれと言ったが、遠慮しない英賀も、少し性格的に恐ろしいなと改めて思った。
あいつには今後、本気と言わない方が良いかもしれない。
「それでは、いきます!」と言ったのと同時に、両手からエネルギーが発生され、大男の大きな上半身に当たった。
あまりの衝撃ゆえ、教室という密閉空間に、ものすごい風が発生した。
『あいつやりすぎ。死んだらどうするんだよ』『ま、カナニが治すしかないっしょ』という声も聞こえて来る。
もちろん、英賀の性格上、殺人目的でやっていないのはわかるが。
「はあ、はあ、どうですか?」
オレにはこの勝負の結果が始めから見えていた。
大男、あいつの強さは1級レベルだ。
それに1級の中でも上位の能力者だろう。
さっきの自己紹介はボケではなくガチなのである。立ち振る舞いからかなりの修羅場を潜ってきたと思える。
英賀が勝つことはないであろう。
結構ダメージを負うが、死にはしないだろうと思っていた。
が、オレも間違っていた。
予想より強かった。
大男に傷一つない。
『おいおい、マジかよ』生徒たちから驚きの声が聞こえてきた。
「ガキにしてはたしかにやるな! 少し痒かったかな。ほかにいないのか?」
この教室に、英賀と同じ威力を出せるものはいないで、名乗り出なかった。
おそらく、この訓練では相手の力量を図る大切さを教えようとしているのであろう。
それに格上との闘い方を学べと言っていたことからも、あの大男に頼んだのであろう。
ただ、不思議な疑問があった。
オレの見立てでは、大男は担任さんより若干強いと思う。
自分より強い人を生徒の前に見せるか?
教師は、生徒ができないことをして見せるから尊敬され統率できる。
自分より上がいると分かったら、生徒はあまり尊敬せず、うまく統率できないであろう。
大学受験したことないやつが、高校生を教えても誰も信じないのと同じである。
自分が最強だと言って生徒を洗脳するのが教師の仕事、と思っているオレにとって違和感を感じた。
オレがおかしいのか。
「じゃあ、今度は俺様の番だ」といって大男が右腕に力を入れた。
本気で力を入れている様子はないのに、右腕がどんどん膨らんでいき周りの空気も振動し始めている。
肉体強化系最高峰のパンチを見てみたい気もするが、安全のため
寸止めをして風圧で飛ばすであろうと思っていたから期待はしなかった。
仮に、食らったら、英賀の体に大きな穴があいてしまう。
「じゃあいくぞ!」と言って腹に目掛けてパンチを放った。
オレはあくびをしてよく一部始終を見ていなかったのだが、教室の空気が変わったので見てみると、
英賀が腹に大きな穴が空いたまま突っ立っていた。
床には、英賀の血液と思われるものが大量に流れている。
オレを含め全員が固まった。




