プロローグ
『最強』とは、何を指すのだろうか。
昔から考えられているが、未だに答えは出ていないであろう。
良い例は『矛盾』という、言葉に表れている。
ご存知の通り、最強の『矛』と最強の『穴』・・・じゃなくて、『盾』を争わせ、どちらが最強なのかを決めようとする。
結局、答えは未だに出ていない。
では、一人で国を倒せる人物と、国は倒せないがその人物を倒す力を持つ者
どちらが最強と言えるのか?
結局、答えは未だに出ていない。
そんな中、オレ、白銀クロは、最強の『能力者』だと思っている。
もちろん、厨二発言をしたかったわけではない。
オレも、もう27歳だ。
完全に、とまでは言えないかもしれないが、厨二病は卒業しているつもりだ。
右手がうずくことは、少なくなくなってきた。
強いていえば、週に3回ほどであるが、なぜか右手がうずき、右手に封印した力が暴走して、勝手に股間を触っていることくらいであろう。
とりあえず、能力者といっても、何を言っているかわからないと思うので、少し歴史を振り返りたいと思う。
この世界は6つの大陸でできている国と一つの島国でできている。
最強のオレは【スシ島】という島国にいる。他の大陸に比べて小さい国だ。
今から150年前、全世界を白い光がを覆った。
全世界で話題となったが、目に見える環境変化などは起こらず、たった3日で忘れさられたそうだ。
謎の光が地球に注がれてから1週間後、全員ではないが、一部の者にいわゆる、『超能力』が発現した。
初めの頃は、視覚が発達し、服が透けて下着が見えるとか、
聴覚が発達し、3キロも離れていたとしても、カップルの夜の営みの声が聞こえるなど、
とても素晴らしいが、実用向けの能力でないものが多かったらしい。
しかし、世代を経るに従って、能力の幅が広くなっていった。
小さな子供ですら、人を殺すことができるようになり、しまいには、成人1人で一国を滅ぼすことも可能になった。
今までは、戦車、ミサイルが主流であった戦争スタイルが大きく変わったのである。
そう。能力者を使った戦争である。
スシ島も例外ではなく戦争に巻き込まれ戦うことが多かった。
今までの軍隊では対抗できないため、新たな軍隊で対抗することになった。
ちなみにその部隊は、
『能力者取り締まり隊』、通称、N(能力者)T(取り締ま)R隊と呼ばれている。
そもそも、能力者が誕生してから、以前の警察では治安維持が困難になっていた。
そこで、警察と検察を兼ねた、能力者を取り締まる組織が成立していたのである。
それを軍隊として再編したのである。
今までの戦争は、近い国同士の小競り合いがメインであった。
しかし、10年前の戦争は世界を巻き込んだ対戦であった。
詳しいことはよくわからないが、最終的にはスシ島とそれ以外の構図になった。
全世界相手にNTR隊のみでは太刀打ちできず、スシ島の敗北かと思われたが、
【七福人】と呼ばれる7人の能力者によって戦況は大きく変化した。
最終的には、七福人が全滅し(していないとの噂も)によりスシ島の敗北が決定した。
しかし、各国疲弊していたため、スシ島は植民地になることはなかった。
ちなみに、オレも戦争に駆り出されてはいるが、生きて帰ってきたのだ。
そんな現在、オレは自分が最強の能力者だと思っている。