初日終了.9
「お前ら静かに」
バンッ
再び後ろから地がうねるような声が放たれようとする。只、1回目と違うのは、明確に怒りが声に乗せられていた。
しかし、最後まで口にする事無く終わる。何かを発砲したかのような甲高い音によって。
「お静かにお願いします」
いろんな感情が交差し理性が破裂したかのような喧騒が、突如に発生した瞬間的な爆発音によって無残に消える。そんな急激な変化をもたらしたであろう人は、何ら変わらない口調で佇んでいた。
今の音は何? 初めて聞いた暴力的までの轟音に興味が湧き、不思議と手に汗を滲ませながら音の発生源に身体を向ける。
「一体どういうつもりですか?」
いの一番に声を上げたさっぱりとした人の声から警戒心が読み取れる。さっぱりした人だけじゃなく、この場に漂う雰囲気から全校生徒の殆どが持っているように思えた。
「何がですか?」
「とぼけないで下さい。その手に握っている物の説明をして下さい」
「あーこれですか。」
カシャンと何かを空ける音が届き、カリンと地面から響く金属音が続く。校長先生は何気ない動作でそれを扱った。微かに鼻がツンとする匂いがただ寄って来る。
「これはウェブリーMK VI と言います。一八八七年に作られた物で重量1.1㎏、全長286㎜の自動排莢装置を備えた中折れ回転式「そこでは無いです」
的外れな説明に食い気味なツッコミが入る。若干の口数の早さや熱が込められた口調から並々ならぬ何かを感じるけど今はそこでは無い。
「何で拳銃なんかを持っているんですか」
銃……聞いたことはある。確か筒状の銃身から小さい弾丸を発射させる物。殺傷性が高く昔には戦争時に使われていた事から、今の法律では禁止されているらしいけど。
「拳銃ではなくリボルバーです」
手でそれを叩きながらアピールしている。少し拗ねたような態度が言葉に出ながらも、持っている物が持っている物な為、校長先生の行動一つ一つに緊迫した空気になる。
「それに余り不思議ではないでしょう。先程言ったように、ここでは今までの常識とは少し離れている場所ですから」
そう。この人の言葉が本当なら、この学校では国の法律なんて関係ない。あるのは学校側が決めた三つのルールのみ。
「まあ、強いて言うなら私の趣味もありますが」
話の区切りをつけるかのような間が生まれる。
「もしものときに静かにしてもらう為、のもありますね」
それはつまり、次も騒いだり話の進行を妨げたりした場合に発砲するということ。
また聞いて見たい気持ちはあるけど、音の大きさもあっていきなりだとびっくりするから遠慮したい気持ちもある。それに
「それは……撃つということですか?僕達を」




