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アドミラルドラゴン(星海転生)  作者: 伊藤洋行
第一章 ダイゴ誕生
12/14

絶叫要塞艦アルラウネ

 いよいよゴブリン・ジェネラルの秘密兵器の登場です。

果たして第128艦隊の運命やいかに!

「ギャオオオオオォォォ~~~!!!」

静寂なはずの宇宙空間に響き渡る絶叫。

第105艦隊は全滅していた。


宇宙を漂う数十隻の戦艦・・・艦のブリッジには目・鼻・口から大量の血液を吹き出し絶命した乗組員たちの死体が転がり艦のAIすら停止していた。


「敵戦艦。全て機能停止」

「よ~し、お前たち!今日は腹いっぱい肉が喰えるぞ!」

「ギャース!!!」

ゴブリン艦隊から狂喜の雄叫びが上がる。


"魔物は人間を喰らう"

それはこの世界であっても行われる奴らの本能だった。

肉を血を魂までもが糧となる。


ゴブリンたちは宇宙服も着けずに全ての活動が停止した艦に穴を開け、ぞろぞろと乗り込んでいくと魔物たちの悪夢のような勝利の宴を始めるのだった。

人間・亜人を問わず切り裂き喰らう、まさに地獄絵図の様相だ。


魔物は、この世界の常識は通用しない。

水も酸素も無い世界でも活動し殺戮を繰り返す。

もちろん、首を落とせば死ぬし焼き殺す事も出来るが生命力は圧倒的に強い、手足をもぎ取られたくらいでは攻撃の手を止めたりはしない。

そして奴らは人間が大好物だった。


「この絶叫要塞艦"アルラウネ"があれば俺たちは無敵だ!ギャース!ギャース!」

ゴブリン・ジェネラルは高笑いしながら勝利の余韻に浸っていた。


と、その時「マジックゲート反応アリ!敵艦デス!」とアルラウネのブリッジに伝令が飛ぶ。


「わざわざ殺られに来るとは愚かな奴らだ クックックッ」

「全艦戦闘準備、新しい"肉"のお出ましだ」

「一人も生きて返すな~ッ!」

勝利を確信しきったゴブリン・ジェネラルは不敵な笑みを浮かべながら怒号を発した。


「前方10時上方向、敵艦隊です」

第128トウゴウ艦隊がマジックゲートを出た瞬間、エルフのオペレーターはすぐさま敵艦隊を捕捉し叫んでいた。


「105艦隊からの生命反応及び魔導反応無し全滅の模様!」

次々と素早く観測が行われ報告が飛び交ってゆく。


「全艦、第一種戦闘態勢!」

「ドローン戦闘機も全機発進させろ!」

トウゴウ司令官の号令がブリッジを駆け抜け一気に緊張感が高まる。


観測オペレーターがすぐさま戦力分析を報告し始める。

「敵、要塞型大型艦1、及び戦艦多数」

「幹部クラスの可能性があります」

「戦力差は10:1です、我が方が圧倒的に不利です」


「敵の要塞艦が気になるな」

「本星に伝令を飛ばせ!増援を要請」

「ドローン機を突っ込ませろ!その間に態勢を整える」

矢継ぎ早にトウゴウは指令を発する。


まるで蜂の巣をつついたように宇宙空母から対艦ミサイルを搭載した無人戦闘機が発進していく。

ドローン戦闘機"ライホウ《雷蜂》"

有人戦闘機の半分の大きさの機体にミサイル等を数発搭載し無人が故に人間には耐えられない様な超々高機動を可能にしている。

宇宙空母に搭載されたパラレル処理型AIによって一隻辺り最大300機ものライホウが同時に運用可能である。

128艦隊・95艦隊合わせて数千機が飛び立っていった。


複数の空母から発艦したライホウは一斉にゴブリン艦隊に襲い掛かっていった。

もちろんゴブリン側も黙っていない。

主砲・副砲・対宙兵装を放ちドローン機を撃墜していく。

それでも猛火をかいくぐりゴブリン艦にたどり着いたドローン各機は

対艦ミサイルを発射し次々と敵艦を被弾させていく。


数十隻の戦艦を撃沈されてイラついたゴブリン・ジェネラルは一旦艦隊を下がらせ宇宙艦隊が前進してくる前に魔法防御陣を張り巡らせ混乱するのを防いだ。

それに合わせてトウゴウ側も防御陣を展開し守りを固める。


両艦隊はお互いの距離が縮まってはいるものの決定的な打撃を与えられず膠着状態になり始めていた。


しかしゴブリンの指揮官は慌てる事も無く獲物を愛でる様なイヤラシイ眼つきで次の指示を出した。

「絶叫砲準備、敵右翼を狙え!」


要塞艦内部、主砲機関部の巨大なシリンダーに数百匹余りの魔物が集められている。

「絶叫砲発射~!」ズゴーーーン!!!

号令と共にシリンダーは邪悪なプレスマシンへと変り一瞬にして魔物たちの命を奪う

魔物たちの命は魔力変換され増幅された殺戮エネルギーとして発射される。

その怨嗟の絶叫は明確な指向性を持って伝わり対象生命体に確実な死をもたらし強烈な呪いは疑似生命であるAIすら狂わせ機能不全に陥らせてしまう魔王軍必殺の新兵器だった。


音の無いはずの宇宙空間に怨嗟の絶叫が木魂する。

「ギャアアアアアアアア~~!!!」

その声を聞いた者たちは目、鼻、口から血を噴き絶命した。


第128トウゴウ艦隊に激震が走る!

「95艦隊3分の1が通信途絶、生命反応も消失しました!」

「何が起こった⁉」

オペレーターの報告に旗艦ミカサのブリッジは混乱する。


「敵の新兵器と思われます、魔法障壁も役に立っていません・・」

「まずいな・・密集隊形を解き各艦遊撃態勢を取るように!」

老練なトウゴウ司令官は瞬時に判断を下し次の一手を考える。


「高速駆逐艦に陽動をかけさせろ、その間に再編成する!」

「空母は下がりつつドローン戦闘機の第2波準備にかかれ!」

実戦を積み重ねてきた提督だけがこなせる難しい判断をトウゴウは次々と指示するのだった。


駆逐艦シマカゼのブリッジでダイゴたちは指令を受けていた。

「高速駆逐艦、全艦発進!遊撃戦にて敵を陽動せよ」


「よっしゃあ!出番だぜ、シマカゼちゃん、イケるかい?」

「任せて下さいダイゴさん、全開で行きますよ~♡」

シマカゼのエンジンが輝き始めノズルからピンクのプラズマが走る。

「エナーシャルシステム最大制御」

「シマカゼ発進!」

ダイゴの号令と共に艦が加速してゆく。

フル慣性制御を行っている艦内ではあったが、その加速力は凄まじく風の無いハズのブリッジにそよ風が吹いた如くスタッフの髪の毛がたなびく。


ゴブリン艦隊と宇宙艦隊駆逐艦との戦闘が始まった。

飛び交うビームの嵐が魔法障壁にブチ当たり火花を飛び散らせる。


敵、戦艦クラス及び要塞艦の防御は固くなかなかダメージを与えられない。

うっかり近づき過ぎた味方艦が敵主砲の直撃を受けて魔法障壁ごと吹っ飛び一瞬で残骸へと姿を変える。


それでも第128艦隊・95艦隊の高速駆逐艦隊は死角へと回り込み次々と敵艦を血祭りに上げていった。


中でも"シマカゼ"の活躍は目覚ましく自らオトリ役となり駿足を生かして敵を攪乱し味方に有利な状況を作っていく。

「右前方、敵戦艦に向けてSSM発射!次、3時方向上下角マイナス45度主砲発射!」

バスッバスッバス バビューン ドドドドドーン

「爆炎を抜けたら170度反転、下方より敵のどてっぱらに主砲3連射!」

ダイゴの的確な指令にシマカゼは瞬時に反応し的確に攻撃を加えていく。


「さすがに敵戦艦の魔法障壁は固いな、それならば!」

「シマカゼちゃん、ギリギリいけるかい⁉」

「任せて下さいダイゴさん!」

シマカゼは雨あられのように襲い来るビームをかいくぐり敵艦に突っ込み艦同士の魔法障壁を接触させる。

物凄い火花が飛び散り魔法障壁が一瞬揺らぐ。


「今だ、ハイドラランチャー発射!」叫ぶダイゴ。

艦側部に備えられた小型ミサイルランチャーが一斉に火を噴き揺らいだ魔法障壁の間をかいくぐって敵艦に必殺の一撃を浴びせる。

数十発の小型ミサイルを一か所に浴びた敵戦艦はそのまま誘爆を起こし艦が真っ二つに引き裂かれる。


高速駆逐艦隊は見事にその役割を果たし善戦していた。

しかし戦力比が倍以上の敵に対し消耗戦を強いられた戦い、ましてや戦艦と駆逐艦では体力差が違う。

魔力及び弾薬を大量に消費し打ち尽くした駆逐艦から戦線離脱を余儀なくされ、やがて苦戦し始める。


それはシマカゼも同じだった。

「魔力供給20%切りました、ミサイル残弾0です!」

オペレーターの報告にブリッジには緊張が走りダイゴの額に玉の汗が流れ落ちる。

「艦のMPが足りない!誰か補給出来ないのか?」

「赤でも青でも良い主砲にMPを送ってくれぇ~!」

スタッフの悲痛な叫びが艦内に響く。


その時、ダイゴにしか聞こえない"天の声"がささやいた。

「今日のラッキーカラーは緑です!」






















 第12話、修正しました。


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