魔王と魔王城
敵役の魔王の登場です。
その他にも将軍が複数登場です!
漆黒の惑星、魔王軍の本星である。
その惑星の大陸にかつて人類の植民都市のあった場所、そこには禍々しい巨大な城が建っていた。
"魔王城"城の周りには大きな翼を広げた怪鳥が飛び回り、城からは時折、何者かの悲鳴が響き渡った
城の玉座の前には数人?の幹部たちが並び中央には逃げ帰ったゴブリン・コマンダーが跪いていた。
「数倍の戦力をもってして、なぜ負けたのだコマンダー?」
「そ・・それは・・どうかお許しを・・今一度チャンスを!・・」
冷や水をかけられたように顔中から汗を滴らせ言い訳も出来ずに懇願する。
次の瞬間、彼の視界は閉ざされ"ブチャッ!"と鈍い音と共にコマンダーは肉塊へと変貌した。
「お見苦しいところをお見せしました魔王様」
「部下の失態はワタシが償わせていただきます」
そういうとゴブリン・ジェネラルは王座に座る魔王に一礼し続けた。
「つきましては新型要塞艦の使用をお許し下さい」
「うむ・・好きにするがいい」
魔王はまるで興味無さそうに返事をする。
「ありがとう御座います魔王様」
「人間共め、目にものみせてくれる!」
ゴブリン・ジェネラルは眉間に青筋を立てながら気味の悪い笑みを浮かべ、その場を退場していった。
魔王は残された他の将軍たちに向かってポツリとつぶやく。
「そろそろ勇者が現れてもおかしくない頃であるな・・・」
ざわつく将軍たち
「魔王がいるのだから勇者がいてもおかしくなかろう⁉」
「少しは楽しめそうだな、ファッハッハッハッ」
魔王のドスの効いた笑い声が"魔王城"に響き渡った。
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「105艦隊応答せよ・・繰り返す106艦隊応答せよ!」
「ダメです・・105艦隊からの応答ありません・・」
宇宙艦隊司令部に緊張がはしる。
「1500時、敵発見の報を受け調査に向かった105艦隊ですが2200時以降
連絡がありません」
「これが最後の通信です」
オペレーターが通信を再生する。
「・・ギャアアアアア~~~!!!・・プツン」
この世のモノとは思えない不快な絶叫がスピーカーから流れ司令部にいた全員が思わず耳を塞いだ。
「新手のモンスターか?」
「新型兵器の可能性もあります」
いろいろな憶測が飛び交うが結果を得ず会議の末、第96艦隊と老練な第128艦隊が合同で調査に向かう事になった。
2艦隊合わせて50隻あまりの中規模艦隊だった。
「皆、気を引き締めて行け!」
ミカサの艦長のトウゴウは一抹の不安を抱えながらも号令を発した。
司令本部の勅命とはいえ同スケールの艦隊が音信不通になったのだ
敵の正体も掴めぬまま宙域に赴くのは危険度が高いと言わざるが負えない。
少なくとも艦隊の再編と装備には万全を期しておきたいと思っていた。
「今回"シマカゼ"は随伴しておるのか?」
トウゴウの問いに副官は「はい、伴っております」と答えた
「そうか・・」
なぜかトウゴウは少しだけ安堵し艦列を発進させた。
艦隊は大きく開かれたマジックゲートに飲み込まれるように進入すると目的の宙域に向かってジャンプして行った。
艦隊が発進する少し前、ダイゴはサンダース伍長と工廠の技師たちと
シマカゼについて話し合っていた
「この新型魔導機関がちゃんと動くのを初めて見ましたよ」
「凄い数値が出てます、疑似AIを組み込んで動かした時には、こんな性能は発揮しなかったんですよ」
「一時は欠陥艦として解体案も出てたくらいですから・・・w」
二人の工廠の技師はシマカゼから得られたデータを参照しながら驚いていた。
「でもシマカゼちゃんは充分な性能を見せてくれたよ⁉」
ダイゴは自慢げに言うと
「まあ、艦長との"相性が良かった"て事ですかねw」
とサンダースが笑いながら答える
「まだまだ未知数な部分もあり、今後データの蓄積が得られれば工廠としても、とても助かるんですが・・・もちろん、いつでもフォローはさせていただきます」
「それはありがたい、よろしくお願いします」
ダイゴと技師たちは握手を交わした。
ダイゴはシマカゼにワックスをかけながら話しかける。
「シマカゼちゃん、君の凄いところをもっとみんなに見せてやろうぜ」
「ハイ!ダイゴさんが一緒なら大丈夫です」
楽しそうなダイゴのやり取りを少し離れた場所から眺めていた副長の
レイチェルはポツリとつぶやく。
「変な男・・・」
副長は今まで出会ってきた士官たちとは違う"何か"を"野生の感"から感じ取っていた。
30分後、第128艦隊に非常招集がかかりスタッフたちがシマカゼに乗り込んでいく。
その中には緑の魔法下士官の姿もあった。
第11話、修正しました。