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大阪ガールズコレクション  作者: 大橋むつお
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1『プール行こか! 浪速区』


大阪ガールズコレクション:1


『プール行こか! 浪速区』  






 学校休んでプール行こか思てた。




 カヨさんが「暑てたまらん!」言うたんがきっかけ。


 スカートめくって下から団扇でバサバサあおぐくらいに女捨ててるカヨさん。


 まあ、無理ないねんけど。


 なんせカヨさんのスカートは冬もんや。


 きのう食堂でラーメンの汁こぼしてしもてクリーニング中。


 クリーニングできるまで学校行かへん!


 宣言したけど、お母さんに頭はられて、しょーことなしに来とーる。


 運の悪いことに、一時間目の担任の授業で急きょ席替えをやった。


 席替えになったんは、担任のミヨちゃんが授業の準備できてへんから。


 まあ、ほんの四日前までは夏休みやったことを思うと無理はない。たとえ先生にでも、そのくらいの同情心を持つくらいには、ようできた生徒やという自負はある。




 その席替えの結果、カヨさんは窓側のいっちゃん後ろから二番目。


 わたしは、その隣の列の最後尾。


 せやから、カヨさんの生態はよう分かる。


 


 むろん教室は冷房してるねんけど、窓際はカーテン閉めてても、冬寒ーて、夏は暑い。


 そこへもってきて、つまらん日本史の授業や。


 この春に北浜高校から転勤してきたオッサン。


 北浜高校は進学校やさかい、オッサンは、どこかうちらをバカにしとーる。


「北浜じゃ、山川の詳説やったけど、ここは〇〇の日本史Aや。気楽にいきましょ」


 なんやムカついたけど、言い返せるほどの頭もないし。


 なんちゃら民主党の選挙演説みたいに、よう喋る先生やけど、選挙演説と同じくらい誰も聞いてへん。


 選挙演説やったら通り過ぎたらええだけやねんけど、五十分座ってなあかんのは拷問に近い。


 まあ、その分やかましいことは言わへんさかい、カヨさんもスカートの中を団扇でバサバサなんかやってられる。




 ま、それで「プール行こか!」になったわけ。




 浪速区には大きなプールが二つある。


 行こ思たんは民営の方。公立の方は水泳教室とかで、ガチで泳ぐ勉強するとこ。


 気合い入れよと思て、カヨさんと二人クリアランスセールの水着まで買うた!


「去年買うた水着は、ちょっときついねん」


 そない言うたら、お父さんが諭吉を一枚くれた。




 せやけど「今日はやめとき」




 お母さんが一言言う。


 きのう、行こ思てたプールでオッサンが女の子の尻触って逮捕されよったらしい。


「逮捕されてんやったら大丈夫なんちゃうん」


 異議を唱えると、お母さんは、こない言うた。


「御堂筋線の痴漢といっしょや。一人捕まった言うことは、まだ捕まってへんのが十倍は居る!」


 なるほど。


「それに、あんたはお母ちゃんの娘や、まっさきに狙われるしい! お母ちゃんかて若いころにはなあ……」


 そこまで言うと、後ろでお父ちゃんがお茶にムセた。


「真由はお母さんの娘やさかいなあ」


「「どういう意味ぃ?」」


「あ、いや。そういう事件があった後は警戒も強いやろし、痴漢も警戒しとるんちゃうか」


「あ、そうかも(^▽^)/」


 それで、やっぱり行くことにした。




 むろん痴漢に遭うことは無かった。


 けど、カヨさんが一瞬だけ痴漢に間違われる。


 カヨさんの手が、前を泳いでた女の子のお尻に当った。けども女同士やったんで双方「アハハ」と笑ってお終い。


「エヘヘ、気持ちのええお尻やったなあ(n*´ω`*n)」


 あたしにすり寄ってお尻触った手ぇワキワキさせるカヨさんは、なんかカミングアウトしたみたいやった。


 




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