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みなしご

作者: あいきゃんふらい(揚)

 死体の状態とか全く調べずに書いているので、そこのところご勘弁ください。

 ある日。

 私のお母さんが動かなくなりました。

 私のお母さんが起きなくなりました。

 いくら私が動かそうとしても、いくら私が起こそうとしても、お母さんは動かないし、起きませんでした。

 何ででしょう。

 分かりません。

 お腹がすいたので、冷蔵庫の中にあったパンを食べました。電子レンジは、お母さんから危ないから使っちゃだめよと言われたので、使いませんでした。ちょっと冷たくて、固かったけれど、それでもお母さんから残さず食べるように言われているので全部食べました。

 お母さんもお腹がすいているだろうと思って、お皿の上にパンを二つ取って、お母さんの席に置きました。

 お母さんは、パンと同じくらい冷たかったです。


 お母さんはその日、起きませんでした。



 次の日。

 私のお母さんは、やっぱり動きませんでした。

 私のお母さんは、やっぱり起きませんでした。

 いくら私が動かそうとしても、いくら私が起こそうとしても、お母さんは動かないし、起きませんでした。

 何ででしょう。

 分かりません。

 お腹がすいたので、冷蔵庫にあった卵を食べました。フライパンは、お母さんから熱いから使っちゃだめよと言われたので、使いませんでした。卵を割って、そのまま食べました。殻が器に入ってしまったので、がり、と噛んでしまいました。卵は食べやすいので、パンよりは早く食べることができました。

 お母さんもお腹がすいているだろうと思って、お皿の上に卵を二つ取って、お母さんの席に置きました。

 お母さんは卵の殻と同じくらい、固かったです。


 お母さんはその日、起きませんでした。



 次の次の日。

 私のお母さんは、やっぱり動きませんでした。

 私のお母さんは、やっぱり起きませんでした。

 いくら私が動かそうとしても、いくら私が起こそうとしても、お母さんは動かないし、起きませんでした。

 何ででしょう。

 分かりません。

 お腹がすいたので、冷蔵庫にあったお肉を食べました。お鍋は、お母さんから重いから使っちゃだめよと言われたので、使いませんでした。お肉を出して、そのまま食べました。お肉は焼いたのよりもおいしくなくて、変な味とぐちゅぐちゅした感じがしました。それでも、お腹いっぱいにはなりました。

 お母さんもお腹がすいているだろうと思って、お皿の上にお肉を二つ取って、お母さんの席に置きました。

 お母さんはお肉と同じくらい、ぐちゅぐちゅでした。


 次の次の次の日。

 私のお母さんは、やっぱり動きませんでした。

 私のお母さんは、やっぱり起きませんでした。

 いくら私が動かそうとしても、いくら私が起こそうとしても、お母さんは動かないし、起きませんでした。

 何ででしょう。

 分かりません。

 お腹がすいたので、冷蔵庫にあったアイスを食べました。棒アイスは、お母さんから鋭いから食べちゃだめよと言われたので、使いませんでした。代わりに、ちゅうちゅう吸うのを食べました。甘くて甘くて、とてもおいしかったです。でも、一個だけじゃあ足りませんでした。

 お母さんもお腹がすいているだろうと思って、お皿の上にアイスを二つ取って、お母さんの席に置きました。

 お母さんはアイスと同じくらい、溶けていました。





 次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の次の――

 ――日。

 私のお母さんは、動かせませんでした。

 私のお母さんは、起こせませんでした。

 いくら私が動かそうとしても、いくら私が起こそうとしても、お母さんは動かせないし、起こせませんでした。

 食べるものがありませんでした。お母さんは起きてくれません。お母さんはとても痩せました。お母さんはなんだか黒くなってしまいました。お母さんの為に置いたご飯も黒くなっています。

 何ででしょう。

 分かりません。

 でもこれだけは。

 お母さんはこれから二度と動きません。きっと動きません。

 お母さんはこれから二度と起きません。きっと起きません。


 私は、どうすればいいんですか?

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