045
帰宅してすぐ台所で作業。
オムライスを作ってケチャップで(・ω・)こんな顔を書いてテーブルに。
敷島楓はそれを見て涙をポロポロと零しはじめてしまった。
必死に声を出してしまうのを堪えて震えた。
ええっ何だ。ケチャップの顔は自分で書きたかったのか?
オムライス嫌い?
「・・・大好き。」
ぞれじゃあどうして泣いているの?
「・・・ママが」
その後ろの言葉は聞き取れなかった。
楓ちゃんはママのオムライス好き?
「うん。」
それじゃあオムライスはママが帰ってきたら作ってもらおうか。
今から別のもの作るね。何がいいかなぁ。
「これでいい。」
彼女は涙を拭いながらスプーンを手に取った。8歳の子に気を使われた。
「巻いてある。」
え?オムライスの事か。ママはオムレツを乗せて開くトロトロのタイプを作ってくれるのかな。
僕はここに来るまでずっと自炊をしていた。このオムライスは暇に任せて練習を重ねた。
(それをちょっと自慢したくてオムライスにした)
「どうやるの?」
えっと。フライパンをこうトントンって叩きなからね。えーっと
「ワタシにもできる?」
うん。練習すればすぐにできるようになるよ。
「うん。」
彼女はオムライスを食べてくれた。美味しいとも不味いとも言わなかったのが何とももどかしい。
翌朝目覚めると、彼女は僕のベッドの中に潜り込んでいた。
リュックの中に入れていた熊のぬいぐるみも一緒だ。
祖父母の寝室に1人では寂しかったのだろう。
静かに身体を起こし、台所で朝食の用意。
パンに合うオカズ。
昨夜オムライスだったから目玉焼きは止めよう。
ほうれん草がある。ベーコンと炒めようか。
鮭があるけど。うーん。ムニエルにすればいいのか。
タルタルソースが無いのは祖父が和食のみの人だから。
醤油と味噌とバターでフライパンに残る鮭の脂を使ったソース。
レモン汁くらいは、ある。
誰かに朝食を作る日が来るなんて思いもしなかったな。
茹でたプロッコリーを添えて。と。まあこんなものだろう。
そろそろ起こそうとすると、すっかり身支度を済ませた敷島楓が降りてくる。
「おはようございます。」
昨日の人見知り感が失せている。もう慣れたのか。
「お手伝いします。」
それじゃあとサラダを皿に盛り付けてもらって、パンをトーストしてもらってと。
すぐに僕が何かを示指する前に自分で動くようになる。
感のイイ子だ。
鮭のムニエルを仕上げ、トースターが鳴り、牛乳を注いで歓声。
席に着いてすぐに
「聞いていいですか?」
うん。
「コックさんですか?」
え?いや違うよ?
朝食を見渡して
「昨日のオムライスも自分で作ったんですよね。」
小学生の頃から毎日料理していたから覚えたんだよ。
「私も小学生ですけどこんなに上手に作れません。」
小学生の頃は上手じゃなかったよ。
「ふーん。」
納得したのか。
「もうひとついいですか?」
うん。
「昨日の夜私を抱きました?」
はい?
「朝起きたらあなたのベッお布団の中にいました。」
それは君が入ってきたから
「そうだとしても同じベッお布団に入っていたら抱くんでしょ?」
「男ってみんなそうなんでしょ?」
誰がそんな事。テレビか?ネットか?
そ、そ、それは大人の人だけだよ。いやまあ大人の皆がそうかは知らないけど
「じゃあ私に魅力が無いから抱かなかったのね。」
何だ。この小学3年生は何を言っている。もしかして最近の子は皆そうなのか?
魅力って、いやいや楓ちゃんはカワイイよ。魅力あるよ。
でもそれとこれとは話しが違う。
楓ちゃんが子供で、僕が君に何かしたら僕は警察に捕まる。
いやその前に柏木梢に○される。
「度胸ないのね。」