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Kiss of Monster 02  作者: 奏路野仁
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062

GW中は殆ど栄椿宅で彼女の創作活動の手伝いをしていた。

絵を描くのは嫌いではない。内容はアレだけど。

時折宮田杏と柏木梢が冷やかしに現れる。

毎回事前連絡無しに乗り込み、騒ぐだけ騒いで引き上げる。

「何しに来るんだよっ。」

「2人きりにさせたら何するかわからんっ。」

と毎回同じコントを見せられる。

GWが終わると学校の体育祭。

昨年は当然欠席。出席する理由がない。どうして出なければならない?

10年連続欠席記録達成だった。

学年合同クラス対抗。つまり1-1、2-1、3-1で1チーム(以下略)

昨年のように急に欠席すると迷惑をかけるのて、参加競技を決めるHR前に事前に南室綴に話しておこう。

「出なさい。」

いやいや皆の足を引っ張るだけ。体育だって殆ど見学なのに体育祭出るってないから。

南室綴は不機嫌になった。それ以上にエリクが不機嫌になった。

「一緒にアイツを倒すチャンスじゃないか。」

アイツってのはルーの事だ。

合同体育で事あるごとに張り合っている。

有り余る体力を発散させる機会として、互いを相手に選びそれをふづけているに過ぎない。

「とにかく応援はしてよ。」

判った。でもほどほどにね。君達が本気出すと怪我人が出そうだから。

敵対とは言うが個人同士が張り合っているだけ。

一族同士に映画やドラマのような因縁関係は無い。

「そんな言い伝え無いよ。」

「ワタシのご先祖様もそんなの知らないって言ってたよ。」

本人達から確認しているから間違いない。

互いが希少な種である認識から、無用な流血を避けたのだろうと言った。

それを煽っているのは僕ら「人の子」だけのようだ。

個人として互いにライバルとしているのは

身体能力が高すぎて他のクラスメイト達では物足りないからだけ。

プロスポーツ選手にでもなればいいのに。

「実際いないワケじゃないヨ。」

それじゃどうして?

「成人を過ぎた頃がピークなんだ。」

「能力は急激に下降して普通の人間との差は少なくなる。」

若い頃からのトレーニングによって鍛え続けた者はその低下の幅は少なく

一流の競技者として成功する場合もある。

自分達のその能力を最大限に発揮できるのは10代から20代前半の僅かな期間。

「全く変わらず老人になった例もあるけどボクの知る限りは1人だけ。」

「それより、この現実を受け入れられずに暴走する奴のが多い。」


怪我をするような競技が少ないので

「出番なんて殆どないよ。」

と三原先生は呑気に構えている。

転んで膝を擦りむいた生徒の処置程度だろう。

僕も彼女の隣で「医療班」の腕章を巻いて座っているが安心してのんびり見学してよう。

開会式が終わると宮田杏と南室綴が医療班の目の前に用意された「実況席」に座った。

「今年はお前達なの?」

「杏ちゃんに誘われたのよ。」

「楽しそうじゃん。綴ならクールな解説してくれそうだろ。」

クシコス・ポスト、道化師のギャロップ、天国と地獄。

定番の曲に乗せて宮田杏の熱血実況と南室綴の冷静な解説。

(それぞれが競技に参加すると1人で2役)

2人の掛け合いを聞いているだけで体育祭に参加した甲斐はあった。

競技開始前からエリクとルーは目立っていた。

「やけに張り切っているな。」

三原先生も気付くほどエリクとルーの気合が入っている。

2人とも負けず嫌いだから。

笑っていられるのは、2人がたかだか学校行事に本気になるとは思えなかったから。

女子達がワラワラとその2人の周囲にばかり集まり

どうにも収集がつかなくなりそうだったので

見兼ねた南室綴が立ち上がるのだが柏木梢がそれを制した。

彼女は小室絢と橘結を携え吸血鬼と狼男に忠告する。

「アドレナリンと一緒にフェロモンまで撒き散らしてんじゃない。」

困った話しだが思春期だから仕方あるまい。

競技が始まり、案の定2人は活躍するのだがどうにも何か違和感がある。

気の所為か、錯覚か。

エリクとルーの2人の近くに「同じ女子」がいるような?

距離があるから断定できない。髪型が似ているだけとか、双子がいるとか。

2人が目立つだけに、その脇の女子も目に入る。

その間も競技は進む。

盛り上がりすぎたろ。てくらいの大騒ぎだ。

「あーちょっと異常だな。キズナはどう思う?」

ですね。それに気になる事が。

「言ってみ。」

あの2人の近くに同じ女子が見えます。気の所為なら

「いや、確信した。事情聴取といこうか。」

三原紹実も、僕と同じ違和感を抱いていた。

立ち上がり、競技が一段落した時点で2人を呼び話をするつもりだった。

だがその時、些細な諍いが起こる。

クラスのレースの結果に対し、2人が競技役員に詰め寄った。

互いが睨み合ったその瞬間、強くて痛い風が吹いた。

2人を中心に竜巻が起きる。

「あのバカども。」

2人には、黒くて恐ろしい獣の姿をした影が纏わりついていた。

そしてその2人の脇に、同じ女子が同じ顔をして笑っている。

三原紹実が飛びかかる前に僕は慌てて止めた。

僕が止めますっ

「止めるってどうすんだよ。」

考えがあります。それより先生はあの女子を。それから巻き添えくらいそうな生徒達の避難も。

「判ったよ。あの2人は任せろ。避難はアイツらに行かせる。」

お願いします。

「おい。無茶するなよ。」

判っています。大丈夫ですよ。

きっと作り笑いは引きつっていただろう。足が震える。身体も震える。怖い。


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