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Kiss of Monster 02  作者: 奏路野仁
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057

柏木梢が中学生の頃の話。

「男関係で怖い思いをしてさ。」

と軽く話し始めた。

自分の預かり知らぬところで自分を巡って喧嘩が起きた。

それが1度2度ではない。

それでも中学生同士ならまだ「青春の1頁」程度で済まされる。

高校生、大学生、社会人。

そしてあろう事か教師、しかも妻子ある「教頭」が参戦。

身に覚えがない。と言っても

どうやら自分が原因でそうなっていると耳にする。

学校でイジメられるくらいなら宮田杏と栄椿が守ってくれる。

しかし、「勝手な喧嘩」の当事者ではなく、その男性の妻やら恋人やらから

自宅や学校に脅迫状が届くようになり

母親も学校も通報し事態は拡大し、「事件」にまで発展してしまった。

学校帰りに女性から襲われ、逮捕者まで出た。

彼女の母親は柏木梢の「思春期」が原因だと言った。

誰かに恋をしたり、少しでも好意を抱くと、

その時柏木梢の周囲にいた人達が「勘違い」を起こすらしい。

それを知った彼女は以来、男性を避ける様になる。

「私の父親がいなくなったのってさ。」

「私が産まれて喜んでくれたことで母が惚れ直してさ。」

「それに釣られた男共が寄って来ちゃって。」

「私もそんな話し聞いてたからコントロールしてたんだけどなぁ。」

「ここのところ油断していたみたいだ。」

「キズナんとこの担任とかチョコくれた男子もきっとそんな感じだろうな。」

でも僕平気ですよね。何か特別な事をしてます?

「いやまあうん。してないってかできない。」

「それにだ。キズナにはそんな力使わず自力でオトスっ。これは私の」

「オトスっじゃねぇよっ。どさくさ紛れに何ぬかしてやがる。」

「そうだそうだ。ちょっと同情したの返せっ。」

宮田杏と栄椿が攻撃する最中、橘結が不意に柏木梢に抱きついた。

「うわっええっちょっと姫ちゃん?」

「恋したら、誰かを愛したらその人と離れるなんて辛いよ。」

結構な力で抱きしめているのが判る。

「ったくもー。」

「ボク達が女子で良かったねこずちゃん。」

宮田杏と栄椿も、柏木梢にハグをする。

トン。と僕の背中を押したのは南室綴。

恥ずかしかったけど、以前ファミレスで僕にそうしてくれたように彼女を抱きしめた。

「ええっちょっとっ。止めっ洒落にならんっ。」


「さて諸君。」

とし仕切り始めたのは柏木梢。

「議題は3つだ。」

小室絢の大量プレゼントと柏木梢の教師からのプレゼント。

あと一つは何だ?

先ずは小室絢のプレゼントに対する討論から

「いつも通りよね。」

「毎年恒例よね。」

チョコレートやクッキー類は、大変申し訳無いが「食べきれない」

なので道場に通う子供達に配るのだが

メッセージ類は当然抜き取るとして、

チョコやらの中身に何か仕込まれていないかを確認する必要があると言う。

少なくとも手作り風の物は砕く。

「何かの業者みたい。」

直接口に入れる物なのでポリ手袋をそれぞれが装着し、割り砕く。

ぬいぐるみも念入りに身体検査?が行われている。

以前、盗聴器が発見され送り主を問い詰めると単純に恋心で

そもそも盗聴器ではなく、録音装置なだけで

ぬいぐるみからそれを回収しなければ何の意味もないと代物だった。的なオチはあるものの

以来、知らない人から貰ったぬいぐるみは全て部屋から撤去し、綿密な検査の後施設へと送られた。

「これはどうする?」

と、審議の対象となったのはボクシンググローブ一組。

「私を殴ってて事か?」

「それなら名前書くだろ。」

朗読やダンスについては誰も何も言わない。言えない。贈った本人は至って真剣なのだから。

余計な怪しいファイルも無いので一安心。程度か。

最も処分に困ったのは「明らかに手編み」のマフラーとセーターのセット。

「送り主書いてあるわね。仲いいの?」

「いやあまり話した事ないよ。」

「でもこれ相手は相当気合入れてるわね。告白くるかもよ。」

「まあその方が楽かな。そしたらはっきりそのつもりは無いってお断りできるし。」

それまで特に何もしないって事?

「こっちから言うのもヘンだろ。アナタの事知らないから受け取れませんって。」

まあそうか。

「クラスメイトとしてこれからもよろしく。くらいは言うのよ。」

「アタシもそうしよ。」

「あ、ボクもそれに乗ろう。ボクも杏ちゃんもマジっぽいのあって困ってたんだよねー。」

「これで絢ちゃんの件は片付いたのかしら?」

「そう、だな。うん。大丈夫。あとは自分で何とかできる。皆ありがと。」

「やめなさいよお礼なんて。おもワタシ達の仲でしょ。」

おも?




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