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Kiss of Monster 02  作者: 奏路野仁
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11月に入って間もなくのある日。

鬼のいない日が間近なある日。

その日が七五三なのだと、神社でその手伝いをしながら聞いた。

柏木梢は小さな女の子を僕に紹介する。

敷島楓シキシマ カエデ)小学三年生。

「明日から2日、今日を含めて3日。2泊3日でこの子を頼む。」

はい。いいですよ。

「え?」

え?

「いやいやいいですよっておかしくね?」

事情は知らないけどこの子を3日間僕のとこで面倒見てくれって事でしょ?

「あれ?私それ言ったか?」

ついさっき。

「いやいや。そうだけど違うだろっ。聞くことあるだろっ。」

ああそうか。自己紹介しないと。

僕は真壁絆。このお姉ちゃんのトモダチなんだ。よろしくね。

黙って頷く少女。

楓ちゃんは、あ、楓ちゃんて呼んでいい?

コクリ。

楓ちゃんは好き嫌いある?

フルフルと首を横に振る。

朝はパンとご飯どっち好き?

「・・・パン。」

じゃあ今日一緒に買い物して帰ろう。

コクリ。

「ええ?何?どうなってるの?私無視して何で話進めてるの?」

何でって好き嫌い聞いておかないと。あ、アレルギーありますかね?

「へ?いや大丈夫って言ってた。」

薬飲んでいるとかも?

「うん。大丈夫。」

勉強道具はランドセルの中か。着替えとかはそのリュックですか?

「え?あ、うん。」

それじゃお預かりします。

「いや待て。ちょっと待てよお前っ。」

なんですからさっきから

「何ですかじゃねえよっ。事情とか聞けよ。お前んチの都合とかねえのかよっ。」

「どこの子で私とどんな関係でてとか気にしろよっ。」

「あとええっとええっと。」

事情とかイイですよ。

祖父母が昨日から旅行で留守ですけど構いませんよね。

「ちょっと来い。」

柏木梢は僕の手を取り敷島楓から少し離れる。

「お前そのー、えっとー、ろ、ろ、ロリコン趣味的なそのー」

違いますよ。

「だよな?そうだよな。」

仮にそうだったとしても手なんか出さないって信じてくれているから頼んだのかと

「そうだよ?当たり前じゃん。キズナがそうだとしてもそんな事しないって信じてるよ?」

それより今日の作業が終わるまで見てもらっていいですか?もうすぐ終わりますから。

「え?ああうん。そのつもりだよ。」

まだ何か納得していないようだ。

「いいの?本当にいいの?私お前んとことお祖母様に頼もうと思って声掛けたんんだよ?」

家事はここに来るまでずっと自分でしていた。問題はない。

あれ?もしかして断ってほしいやつですか?

僕また空気読めてませんか?

「いや勘違いじゃないけど。」

けど?

「ヘンな奴だな。」

「事情も聞かずに何でそんな簡単に引き受けられるんだ?」

柏木さんの頼みだからですよ。

「は?」

え?


宮田杏には妹や弟がいてこれ以上は大変だろうと。

栄椿は現在冬コミに向けてそれでころではない。

柏木梢本人が既に数日預かっているのだが

七五三の準備とアルバイトの都合でどうにもならない。

僕の祖父母なら。は妥当な判断かと。

事情を聞く気は無かったが柏木梢はその「家庭の事情」を話してくれた。

敷島楓は「継ぐ者」

詳しい種族は聞かなかったが日本ではそれなりに知名度のある「妖怪」の類らしい。

敷島楓の母親は2年前から入退院を繰り返し、

2週間ほど前から渡米し手術に備えている。

父親は手術当日までの1週間付き添う。

妻と娘2人を愛したギリギリの日程。

僕の祖父母が旅行で不在なのは予想外だとしても僕自身に何の問題もない。

いたずらするような趣味も、その心配もいらない。

僕は未だにサーラ・プナイリンナの笑顔に引き摺られているのだから。


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