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第5話 勇者の血族は見下す
『おはよ、アロガー。まだ勇者は決まってないでしょ?違ったら赤っ恥だよ?』
アロガーと呼ばれた少年はストラの幼馴染である。昔から親に剣術を叩き込まれており、同世代の子供達の中では負けなしである。
『何言ってるんだマイハニー!町の人も言っているだろ?勇者の血を引く僕こそが勇者にふさわしい!そこらの弱者ども、持たざるものとは違うんだよ!!』
そう、このアロガーことアロガント・レオルオは勇者の血族である。剣術を叩き込まれていたのもそのためだ。獅子のたてがみに似た色の髪をたなびかせ、たか笑う。
正直好きになれない…傲慢な性格、自分しか考えてない…
ストラはそう心で呟いた。
『まぁいいわ、早くしないと置いてくわよ?』
『照れなくていいんだよマイハニー!』
『うっさい』
ドカッ!
ムカついたので腹に一発正拳突き。